Image: Victoria Song - Gizmodo US

ケーブルまみれの日々が終わるのか、それとも?

EU(欧州連合)は今まで、いろんなデバイスの充電規格共通化を目指してきました。そして先週EUから、すべてのスマホといくつかのガジェットに関し、USB-Cを唯一の規格として強制していく法案が発表されました。

USB-Cを共通規格とするEUの方針

法案には4つのポイントがあります。ひとつは、USB-Cを「共通ポート」として、「デバイスやブランドにかかわらず」どんなデバイスでも充電できるようにすること。2つめは、各社が意図的に充電速度を制限することの禁止。3つめは、今までデバイスを買うとほぼ必ず充電ケーブルが付いてきましたが、それを分離すること。そして4つめに、充電性能や急速充電機能の有無といった、情報提供の義務付けです。

欧州委員会の報告によれば、2020年にEUでは4億2000万台のスマホが売れたそうで、消費者はみんな何らかの充電器を3本持っているそうです。それらのうち毎年1万1000トンが、ゴミとして捨てられています。自分のガジェット周りを見てみても、USBにAとCがあるだけでも普通のUSB-A-to-USB-CとかUSB-C-to-USB-Aアダプタが必要になってるのに、LightningがあることでUSB-A-to-LightningとかUSB-C-to Lightningとかも必要になり、パソコン机やカバンの中がケーブルだらけです。もし全部USB-Cに統一されれば、デバイス周りがだいぶすっきりしそうな気がします。

EUの法案では、USB-Cを全スマホ、タブレット、カメラ、ヘッドホン、スピーカー等々の標準の充電ポートにすることになってます。これが欧州議会で承認されれば、企業はその後24カ月以内に対応を完了しなきゃいけません。といってもAndroidスマホは前々からUSB-Cを使ってきたわけで、主に問題になりそうなのはApple(アップル)がどう動くか、です。

iPhoneではLightningにこだわるApple

我々は、1種類のコネクタのみを義務付ける厳しい規制は、イノベーションの奨励どころか鈍化につながり、その結果ヨーロッパおよび世界の消費者に対し害を与えるのではないかと懸念し続けています。

Appleはあちこちに発表した声明で言ってます。

この反応はまあ、予想通りです。Appleは今までも、充電規格を標準化しようとするEUの動きに対し、不便、イノベーション阻害、ムダなどなど、かたくなに否定してきました。とはいえ最近はAppleもiPadではUSB-Cを導入してるし、MacBookもしかりです。でも最近はMacBookでMagSafe復活の噂もあって、今後の予想は難しいんですが、著名AppleウォッチャーであるBloombergのMark Gurman記者によれば、USB-Cポートも残るとのことです。それでもiPhoneに関しては、AppleはかたくなにLightningだけを使ってきました。

一方欧州議会は、Appleの主張を受け入れていません。

ヨーロッパの消費者は、互換性のない充電器が引き出しに溜まっていく状況にさんざん不満を感じてきました。

欧州議会のエグゼクティブバイスプレジデント、Margrethe Vestager氏は言います。「業界には解決策を考案する時間を十分に与えてきました。共通充電器の法制化に向けて、機は熟しています。」

完全ワイヤレス化のきっかけに?

この法案が通れば、AppleはiPhoneでもUSB-Cを使わざるを得なくなるかもしれません。またはどこかで、どんでん返しが来るのかもしれません。The Vergeが指摘するように、欧州議会の提案は有線での充電のことしか触れてないので、スマートウォッチみたいにワイヤレス充電が基本のものには影響しません。ウェアラブルデバイスの場合、小さすぎてUSB-Cの充電パーツが入らなかったりして、標準化しにくい面があるんです。

…ということは、iPhone 13がポートなしになるという噂は実現しなかったものの、AppleはiPhone 14とか15あたりで有線充電をなくす方向に動くかもしれません。もしくは、EUが2009年にmicroUSBを推してたときにLightning-to-microUSBアダプタを売り出したように、アダプタで解決することになるのかもしれません。みんなの家のアダプタがまたひとつ増えるのか、EUの狙い通りケーブルが減るのか、はたまた有線充電そのものがなくなる方向に行くのか…引き続き注目です。