月の「晴れの海」の縁から岩石サンプルを採取したアポロ17号の宇宙飛行士
Photo: NASA / GSFC / Arizona State University

どうなることやら…。

月面探査ミッションの着陸地として、NASA(アメリカ航空宇宙局)も中国も同じ場所を候補に挙げたので、月の南極地方は混み合うことになるかもしれません。どちらもそこに存在するわずかな資源を手にしたいようです。

両者とも水が得られそうなポイントを狙っている

NASAは先月、男性と女性を月面に送ること目標とするアルテミス3ミッションの着陸候補地として、月の南極付近の13地点を発表。アルテミス3が目指す月の南極地方は、そこにある永久影に水氷が存在するかもしれないことから、特に重要な場所といえます。月に存在する水はロケットの燃料の生成に活用できる可能性があるので、未来の宇宙探査のための主要な資源となり得ます。月が火星のような遠方の目的地への玄関口となる可能性が高まるのです。

当然ながら、南極の資源を活用したいと思っているのはNASAだけではありません。中国のJournal of Deep Space Explorationに発表された論文の中で、嫦娥4号の月ミッション指揮官Zhang He氏率いる研究者のグループは、着陸の候補地として南極に近い10カ所を明らかにしました。NASAと中国の研究者らのどちらもシャクルトン、ハワース、ノビレ・クレーター付近の場所を挙げていたため、都合の悪いことに着陸候補地が少し被ってしまっているとSpace Newsがまず報じました。もっとも、月の南極に閉じ込められているかもしれない水氷を調査するローバーなどを送り込む「嫦娥7号」ミッションは、無人の任務になるとのこと。現時点では2024年に打ち上げが予定されています。

月の南極は、影となっている場所と太陽光を浴びている場所が混在するため、着陸にふさわしい地点探しは一筋縄にはいきません。この太陽光と暗闇の比率はたった数マイルほどのわずかな距離で変動し、宇宙機を着陸させるなら、温度制御のため太陽光の当たる領域というだけでなく、水が閉じ込められているかもしれない影の領域にも十分に近い場所が理想となります。ですから、NASAと中国の宇宙開発局のどちらにとっても選択肢は限られているわけです。

協力関係を築くのは難しそうだが…

この月面の着陸地点決めの状況をさらに厄介にするのが、合衆国と中国の宇宙での覇権争いで月探査を競っているという事実。どちらも2030年代のどこかで月の南極に月面拠点を建設することを目指しており、二国間に協力する気はまったく見られません。NASAのビル・ネルソン長官は、8月28日放送されたNBCのインタビューで中国は秘密主義で協力的でないと発言し、同国の宇宙へのアプローチを批判。その翌日には、アルテミス1ミッションの打ち上げが延期になったことを受けて、今度は中国のメディアがNASAの月面プログラムを批判していました。

月へのミッションの日程が近づくなかで、どちらの国も着陸地点候補の絞り込みに取り組んでいますが、既にバチバチしている二国が南極の同じ地点を目指すとなったらどうなってしまうのでしょうか…。

今からたった12年後に? 中国は2033年に火星に人類を送りたい 中国運搬ロケット技術研究院のWang Xiaojun氏が、2033年に火星へ有人探査を実現させようという野望を語る。 https://www.gizmodo.jp/2021/06/china-is-trying-to-make-a-trip-to-mars-in-2033.html

Source: Journal of Deep Space Exploration, Space News, NBC News, Global Times