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引き際の美学が絶滅危惧種になってきたようです。

新型コロナ対策で自国の上院から大量殺りく者とまで呼ばれているブラジルのジャイール・ボルソナーロ大統領が、3週間以上前に敗れた大統領選の決選投票に異議申し立てを行なっています。APの報道によると、ボルソナーロの弁護士を務めるMarcelo de Bessaは、ブラジル全土で使用された電子投票機の59%に「ソフトウェアのバグ」があったため、多くの投票は無効だと主張しているとのことです。

異議を申し立てるも具体的な証拠はなし

APによると、33ページに及ぶ訴状で、疑惑の投票機の問題は「故障による修復不可能な機能不全」と表現され、使用開始から2年以上経過したすべての投票機に影響が及ぶとされています。そして、問題があったとされる約28万台の投票機による投票を無効にするよう求めています。具体的には、ボルソナーロの自由党に採用された監査人が、投票機に個体識別番号がなかったと主張していますが、選挙結果にどのような影響を及ぼした可能性があるかについては説明しなかったとPoliticoが伝えています。

選挙結果を疑う材料は見つからず

サンパウロ大学理工学部のコンピューターエンジニアであるWilson Ruggiero氏は選挙結果について、「なんら信頼性や信憑性を損なうものではない」とAPに述べています。

以前ブラジルの選挙システムのセキュリティーテストに参加したことがあり、デンマークのオーフス大学でシステムセキュリティーを研究しているDiego Aranha氏も同じ見解なのだそう。なんでも、機械の識別番号は投票機のログには表示されなかったものの、各候補者の得票数を集計するために印刷されたレシートにはちゃんと表示されていたのだとか。

ブラジルの選挙当局はすでにボルソナーロの敗北(とルーラの勝利)を宣言しています。そしてその結果を、ボルソナーロ支持者の多くを含むブラジル中の政治家が幅広く受け入れているんですよね。四面楚歌(そか)っぽくなっていますね…。

Politicoによると、ボルソナーロの新たな異議申し立てに対し、ブラジルの高等選挙裁判所の裁判官は、自由党が10月初めに勝利した連邦議会選挙を含めて新たに提訴しない限り、選挙結果を再審理することはないと述べたそうです。

悪あがきっぷりがまるでトランプ

電子投票機に故障や脆弱性があるという言いがかりは、ブラジルの民主主義を弱体化させるためにボルソナーロが何年も繰り返してきたことなんですよね。しかしながらAPによると、1996年から使用され、定期的に点検を行なってきた電子投票機から不正や悪事の証拠が見つかったことは一度もないそうです。

この申し立てが政府の行動に直接影響を与えたり、選挙関係者を動かしたりすることはなさそうですが、ボルソナーロ支持者による継続的な抗議行動をあおる可能性は高いとのこと。ボルソナーロが公式に敗北を認めないことに勢いを得て、何万人ものブラジル人がデモに参加するなど、大統領の敗北を拒否しています。まるでドナルド・トランプ前米大統領の選挙否定のやり口をコピペしているかのようです。

あんまり往生際が悪いようだと、トランプみたいに次の選挙で自分の所属する党が惨敗するシナリオまでコピペすることになるかもですね…。