NASAアポロ12号のシミュレーション Image: Patrick Moran, NASA Ames Research Center/Andrew Weaver, NASA Marshall Space Flight

アルテミス計画の一環としてNASAは複数の有人ミッションを予定しており、月面に注目している民間の月着陸機も到来するとあって、月はまさに賑やかな場所になろうとしています。

しかしNASAは何機もの宇宙船を送る前に、まずはこういった未来の月着陸船が月面に与える影響を理解しておきたいようです。

そういうわけで、これからのミッションのためにエンジンのプルーム(噴流のこと)が月の環境に及ぼす影響を予測する新たなソフトウェアツールを開発したと、先日発表したのでした。

そのソフトで1969年11月19日に月面に着地したアポロ12号の着陸船のシミュレーションを生成し、カリフォルニア州シリコンバレーのNASAエイムズ研究センターにあるスーパーコンピューター「Pleaides(プレイアデス、プレアデス)」で実行しています。

これから月面着陸するにあたって懸念されること

着陸船が月にタッチダウンする際、月の重力に抗して地面への降下をコントロールするためにエンジンが点火されます。エンジンが月面に向かって高温ガスの超音速プルームを放ち、塵、岩石やデブリが巻き上がります。

NASAによると、この塵の雲が視界を遮り、ナビゲーションや着陸船に搭載された機器類に干渉し、着陸船と付近のハードウェアに損傷を与え得るそう。プルームは月そのものの表面も削ってしまう可能性もあります。

こういった危険はアポロ計画時代には記録されていなかったものの、アルテミス計画用に開発されている着陸船はもっと大きくなります。そのため着陸地点の地面を削り、クレーターを形成してしまう危険性も大きくなり、着陸地点の安定性が損なわれてしまうかもしれません。

アポロ12号の着陸を再現、比較してみることに

チームはスーパーコンピューターを使って、月の表面と相互に作用するアポロ12号着陸船のエンジンプルームと、着陸時に生じたと予測される侵食を視覚化。エンジンが切られる前の降下の残り30秒のシミュレーションはプルームが平らな計算面に及ぼす力を示していると、NASAは説明しています。 

アニメーションでは、予測されるせん断応力(その面と平行方向に作用する応力)の激しさが波打つ放射状のパターンで示されています。低いせん断応力は濃い紫色、高いせん断応力は黄色で強調されているとのこと。

新たなソフトウェアは、エンジニアたちのプルーム-表面相互作用の理解向上に役立つことでしょう。リリースには、こう書かれていました。

「このようなツールは既に今度の月へのミッションでのクレーター形成と視界不良の予測に使われていて、NASAが将来の月面着陸ミッション時に宇宙船とクルーのリスクを最小限に抑えるのに役立ちます」

Source: NASA