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実際どうなの?

さまざまな意見が飛び交う中発売された、Apple(アップル)のiPhone 16e。新搭載の部品が一つあり、それがAppleが自社開発した初のセルラーモデム「Apple C1」です。

AppleがIntel(インテル)から脱却して、独自のMac向けプロセッサを開発したのと同様に、今回のC1モデムはQualcomm(クアルコム)への依存を断ち切る大きな一歩になるかもしれません。さらに、Appleは今年中にもBroadcom(ブロードコム)製のWi-FiおよびBluetoothチップを廃止して、自社開発チップへと移行すると噂されています。

果たしてその性能はAppleシリコンの再来となるサプライズか、はたまた…その性能をMacWorldがテストしてくれました。

Apple C1モデム:評価の仕方

セルラーモデムを評価するために、厳密には世界中のさまざまな環境やネットワーク状況で数千回もの測定を行なう必要があります。ただ今回はそこまでの規模ではなくiPhone 16とiPhone 16eを持ち歩き、複数の場所でスピードテストを実施することで、Apple C1とQualcomm X71Mモデムのパフォーマンスを比較しました。

使用したアプリはOokla Speedtestで、各地点で3回連続で測定し、その平均値を算出する方法が採用されました。場所はカリフォルニア州サクラメントのVerizon(ベライゾン)ネットワークで行ない、以下のような多様な環境で測定されました。

• 屋内と屋外の両方(スーパーマーケット内、ジムのロッカールーム、ショッピングセンター、ゴールデン1センター周辺など)

• 通信環境が良い場所と悪い場所の両方

• 天候は良好で、主に午後の時間帯に実施

なお、Apple C1はmmWave(ミリ波)をサポートしていないため、今回の評価では「電波が弱い場所や混雑した環境での接続品質」に特に注目しています。

ダウンロード速度の比較→Qualcommの勝ち

自宅のオフィス(モバイル回線の接続が非常に悪い環境)を除けば、iPhone 16搭載のQualcomm X71Mモデムは、すべての測定地点でApple C1を上回る結果を記録しました。特にスーパーマーケットではC1モデムの性能が大きく落ち込み、わずか10Mbpsしか出ませんでした。一方、同じ場所でQualcommモデムは200Mbps以上を記録しています。

この結果の原因は、C1モデムがそのエリアで最適な周波数帯の電波を捕捉できなかった可能性が考えられます。しかし、複数回のテストでも同様の結果が出たので、単なる偶然ではなく、C1の設計上の問題である可能性が高そうです。 とはいえ、屋外の公園やゴールデン1センター周辺では、iPhone 16が1Gbps超のダウンロード速度を記録したのに対し、C1モデムはその半分程度の速度を記録しました。

ただし、数値で見れば大きな差を感じますが、この程度の速度差はスマートフォンの実用性や体験に大きな影響を感じることはありません。それは数百Mbpsの速度が出ていれば、通常の使用では十分だからです。

アップロード速度の比較→C1は特定の場所で性能が低下

アップロード速度については、Apple C1(iPhone 16e)とSnapdragon X71M(iPhone 16)の間で勝敗が入れ替りました。 ただし、注目すべきはジムやショッピングセンター内での屋内テストです。これらの場所では、QualcommモデムがApple C1を数倍上回る速度を記録し、特にジムではiPhone 16eが0.5Mbps未満のアップロード速度しか出せませんでした。ジムのように建物が大きく、金属製の機材が多く、利用者が多数いる環境では、C1モデムの性能が大幅に低下する傾向が明らかになりました。

全体的な評価 :まぁQualcommの勝ちかなぁ

各測定地点の平均値を算出した結果、アップロード速度はQualcomm X71M(iPhone 16)と同等レベルですが、ダウンロード速度はQualcomm X71M(iPhone 16)の約半分という結果となりました。 ただし、これは場所や状況に強く依存するため、あくまでも傾向として捉えていただければと思います。それでも、C1モデムの性能がQualcomm製モデムには及ばないことは明確な結果となりました。

バッテリー持ちがいいらしいけど

セルラーモデムの評価では、バッテリーの持ちや通話の安定性も重要な要素になってきます。 テスト中、両端末(iPhone 16 / iPhone 16e)で通話を行ないましたが、音質の違いや通話の途切れは確認できませんでした。もちろん数回の通話テストなので参考まで。

バッテリー消費については、中国のYouTuber「极客湾Geekerwan」が詳細な測定を行った結果、Apple C1はSnapdragon X71Mよりも「理想的な環境下で約25%省電力」であることが判明しました。ただ、電波が弱い場所ではその差は小さくなることがわかっています。

この省電力性はバッテリー駆動時間に大きなインパクトはあまりありません。実際、iPhone 16eのバッテリー持ちは、モデムのおかげではなく、16eのバッテリー容量が従来の6.1インチiPhoneより12%大きいことが主な要因になっています。

結論:Apple C1はフラッグシップモデルにはまだ不十分

Apple C1は、iPhone 16eのような廉価モデルには十分な性能を発揮しますが、フラッグシップモデルには物足りないというのが今回の結論になりました。なので全モデルにC1モデムを搭載するのは時期尚早かもしれません。特にProを買うような人は納得しにくいかも。もしもiPhone 17 ProにC1モデムが搭載されたとしたら、カメラバーとの相乗効果でめっちゃスルーされそうです。

現時点でApple C1はSnapdragon X71Mの対抗馬になれておらず、さらに言うと最新のSnapdragon X80や昨年のX75と大きな性能差があります。とはいえ、Appleはすでに次世代のC2モデムやC3モデムを開発中とされており、今後の進化によってQualcomm製モデムとの差が縮まる可能性は大いにあります。

とりあえず、Appleが完全にQualcommを排除できる日は、どうやらまだまだ先になりそうです。

Source: macworld

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