Image: Kyle Barr / Gizmodo US

日本でもいろんな方面で話題になっているUbisoft(ユービーアイソフト)の『アサシン クリード シャドウズ』。

本作品について、米GizmodoのKyle Barr記者がレビューをしています。米国ゲーマーから見て、本作はどのように映ったのでしょうか? 以下、レビューをお届けします。

『アサシン クリード シャドウズ』は、描写の鮮やかな戦国時代アクションだけど、コントローラーを叩きつけたくなるほど苛立たしくなる瞬間も。

よい部分と悪い部分

Image: Kyle Barr / Gizmodo US

私が、本作をプレイして感じたのが、2007年の初代『アサシンクリード』にあったコンセプトの崩壊。ステルス、パルクール、戦闘、3つの柱が、美しく、荒々しく融合した歴史ドラマとしての『アサシン クリード』を求めていた私にとって、本作は「ステルス」と「パルクール」の柱が根本的に破綻しているように感じられました。よい点、悪い点は以下の通り。

よかった点

・非常に美しく作られたワールド

・レベルを上げるとさらに奥深くなる迫力満点な戦闘

・2人の主人公による多様なゲームプレイ

悪い点

・楽しさよりもストレスが勝るパルクール

・敵AIによって台無しになったステルスシステム

・意味のあるキャラクターやテーマに欠ける冗長なストーリー

ステルス、パルクール、戦闘、3つの柱

Image: Kyle Barr / Gizmodo US

プレイアブルキャラクターは、身軽なくのいち「奈緒江(なおえ)」と屈強な黒人「弥助(やすけ)」の2人。戦闘は一般的なアクションゲームに近いシステムですが、シリーズ特有のバイオレンスな表現や、スキルツリーの存在などで、より魅力的なものに仕上がっています。

一方、残念なのがパルクールとステルス。パルクールについては、操作精度の粗さによって移動がかなり苦痛。楽しさ以上にストレスを感じます。船の帆柱から水中に飛び込もうとしても、デッキに落下して死亡してしまったり、近くの建物に飛び移ろうとしても地面に飛び降り敵に包囲されてしまったり…。こうした問題は、新要素の「鉤縄」によってやや緩和されますが、この鉤縄が別の問題の元凶にもなってしまっています。

というのも、鉤縄を使えば敵が登ってこられないような場所にも侵入可能になっており、ステルス体験が崩壊してしまうのです。これまでのシリーズでは、敵もプレイヤーを追跡して高所に登ってきたものの、本作では敵がこうした行動をとらない仕様に。これにより、敵からの逃走が容易になり、他のステルススキルの存在意義が曖昧になってしまいます。

『アサシン クリード シャドウズ』は、簡単なゲームではありませんが、敵AIが屋根に登ってこられないという根本的な問題のせいで、攻略難易度が下がり、ステルス要素が台無しになってしまっているのです。

奈緒江は暗殺者らしい操作感に

Image: Kyle Barr / Gizmodo US

シリーズほぼ全ての作品を遊んできた私ですが、昨今のタイトルは戦闘重視であっただけに、本作『シャドウズ』にはステルスやパルクールといった要素の復権を期待していました。ところが、本作においてステルスをフルに活かしたゲームプレイができるのは主人公・奈緒江のみ。

弥助は、そのパワフルさもあり、複数の敵を同時に相手取れるキャラクターですが、大柄な彼は、そもそもスニーキングができるデザインではありません。「暗殺」をする際も、槍で相手を貫き、持ち上げ、叫ぶ敵を地面に叩きつけるといった有様です。また、シリーズ特有の高所から飛び降りるスタイリッシュなアクション「イーグルダイブ」を試みても、弥助は絶叫しながら地面に転落してしまいます。

対する奈緒江は、長時間の戦闘には向かないものの、『アサシンクリード』らしいスタイリッシュな戦闘能力を有するキャラクターになっていました。奈緒江は、スニーキングのシステムも充実しており、「うつ伏せで隠れる」といったアクションも可能です。奈緒江のステルスアクション自体はシリーズでも屈指のクオリティだと感じます。

プレイしてみて感じたこと

ゲームを10時間ほどプレイした時点では「根本的な欠陥はあるものの、ステルス体験を追求した野心的な作品」といった印象でした。しかし、プレイ時間が20時間を過ぎると、かなりストレスを感じるように。とはいえ、40時間ほど遊ぶと「本作はこういうものだ」と受け入れて楽しめるようになりました。

本作は、やりこみ要素が多いだけに、ゲームの方針が曖昧になってしまっているように感じます。広大なオープンワールド、プレイ必須のサイドミッション、まとまりのないシナリオ、こうした部分はどうしても気になってしまいます。「もう少しコンパクトに収まっていればなあ」と思う瞬間は少なくありませんでした。

物語は地味だが、中世日本の描写は見事

Image: Kyle Barr / Gizmodo US

ゲームはボリューム満点で、弥助を操作できるようになってからのメインパートは、ゆうに数十時間かかるほどの大容量。マップ上のエリアや敵にはレベル制限があり、サイドミッションをこなして経験値を稼いでいくシステムになっています。

しかし、プレイを進めて行っても弥助、奈緒江、それぞれのキャラクターに深く感情移入することはできませんでした。登場キャラクターは皆「暴政からの解放」にこだわっている中、「正義」の信念のもとに無数の農兵や武士を手に掛ける主人公の行動には、共感できない部分があります。 一方、Ubisoftの世界観構築は素晴らしいものでした。街や村はいきいきとしており、時間と共に季節が移り変わっていく。鮮やかな四季の描写は、『レッド・デッド・リデンプション 2』や『ウィッチャー3 ワイルドハント』以来の感動があります。

本作『アサシン クリード シャドウズ』は、光る部分こそあるものの、やはり「ステルス・パルクール」に大きな問題がある点がどうしても気になってしまいました。 それでも、本作は、近年私がプレイしたタイトルの中でも屈指の美しいゲームです。よい点も悪い点も長く記憶に残る作品になると感じるため、このゲームはプレイする価値のある作品だと考えます。

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