1歳3カ月差の年子を育てるアラフォーママ(新聞記者に復帰)です。育休中、1歳半の長男(シンシン)と3カ月の次男(ルールー)を連れて敢行した親子留学の体験をあるがままに綴っています。フィリピン・セブ島の親子留学専門校に入学した私の日々は、日本人ママメートとの間でEnglish Only Policyを作ったことで楽しさと刺激が増しました。家政婦兼シッターさんがお休みの週末は、私たちはよく子連れで街に出ました。

■シッターさんのいない週末 どう過ごす?

私が入学したセブ唯一の親子留学専門学校「kredo kids(クレドキッズ)」では、月〜金に家政婦兼シッターさんによる家事やベビーシッティングサービスが、留学費用に含まれる。お願いすれば料金を追加して働いてもらうことも可能だった。ただ、私はほとんど頼むことはなかった。

フィリピンでは90%以上もの人がキリスト教徒である。私の担当家政婦のジョセさんも熱心なクリスチャンで、「金曜の夕方と日曜日は教会に行くため、できれば残業は避けたいです」と言っていた。

なので、留学期間中、金曜の夕方から土日は、日本と同じように子どもだけと過ごすことになった。そうすると次は、有り余るシンシンとルールーの体力をどう消耗するか、どこに外出すれば良いのか、という悩みが生まれる。

私は、留学仲間とよく外出した。子どもと3人だけでいるよりも、やはりママメートと過ごす方が楽しい。それに、English Only Policyを始めてからは「ママ友と過ごす時間も英語の勉強」になるため、学校での授業とはまたひと味違う刺激があった。

セブ市でも歴史ある古い街並みのコロンストリート。スリやひったくりも多いので注意が必要だ=今村優莉撮影

■コップやお皿、ひっくり返す我が子に……

よく行くところに、「コロンストリート(Colon Street)」があった。古くから地元の人々に愛されるショッピングスポットで、周囲にはフィリピン最古の教会のひとつ、サント・ニーニョ教会や青空市場などもあり、観光名所の一つでもある。安くていろいろなものが買えるが、私たちが住むセブシティの中でも「治安が良くない」と言われ、学校からは「スリやひったくりが絶えないので出来れば行かないように」と言われていた。

私は、初めのうちは宿舎のあるコンドミニアムのすぐ横のショッピングモール内で過ごしていた。モール内には子ども向けの室内遊びスペースがいくつもある。すべて有料で、靴下をはいていないと入場できないが、大きな滑り台やブロックなどの遊具もあり、子どもと一緒に安全に過ごすことはできる。

 どんなに小さなレストランにもハイチェアが標準装備されているのも特徴的だ。子どもが水の入ったコップやお皿をバシャーンとこぼしてテーブルや床をびしょびしょにしても、店員は笑顔でさっと拭いてくれる。Sorryと頭を下げる私に、「No problem!」と返し、こぼした本人に「Hi, baby~~~」と手を振ってくれる。

子どもの世話でいっぱいいっぱいの私に、「抱っこしてもいい?」と言ってくれ、店員数人がかりで交代にあやして「さあ、今のうちにママはたっぷり食べて!」と言ってもらったのも1度や2度ではない。

 スーパーでは、重そうな荷物を抱えている私を見て「出口まで持っていきますよ!」と警備員が手伝ってくれたことも。チップを渡そうと財布を取り出そうとすると「oh no, いらないよ!」と言って「Bye bye, baby~~」とサッサと引き返してしまった。いつでも、最後は子どもたちに向かって笑顔で笑いかけてくれる。そんなホスピタリティーに私は癒やされたものだ。

 ただ、モール内ではコーヒーを飲むにも買い物をするにも、価格は日本とあまり変わらない店も多く、「せっかくセブまで来たし、地元の安い店とか歴史ある街並みをみたいなあ」という思いも抑えられなくなった。

■「治安悪い」街へ 店員の態度にびっくり

「今度の週末、コロンに子連れで行こうと思うんだけど……」

同じ時期に親子留学していたエミさん(31)とカオリさん(42)に相談してみると、
「行こうよ!」
と勇ましい返事。

私たちは、学校の先生に言われた通り「比較的人が少ない」日曜日の午前中を狙うことにした。流しのタクシーもたくさんあるが、配車サービスアプリのGrab(グラブ)で呼んだほうが安心だと教えられた。スマホのアプリにダウンロードして配車を頼むと、呼んでから5分くらいで自家用車タイプの車がコンドミニアムの駐車場に来た。3人の大人と4人の子どもとベビーカー2台で乗り込む私たちに嫌な顔一つせず、「コロンストリートのどこに行くの?」と聞く運転手に私たちは、現地で一番大きな「メトロガイサノコロン(以下メトロコロン)」というデパートへ行ってほしいとお願いした。宿からはおよそ15分で、約110ペソ(約230円)だった。

キッズ用の水着も豊富にあった。価格はブランド品でなければどれも200ペソ(約400円)以下と手頃だ=セブ市のコロンストリートで、今村優莉撮影

実は、私はどうしても買いたいものがあった。水着だ。
セブは常夏で、海にも近い。学校は近くのプール付きホテルと契約していて、週末は無料で利用できる。
だが、私は水着を持ってきていなかった。
まさか親子留学しながら、赤ちゃん連れでプールを楽しむなんて、そんな余裕あるわけないだろう、とはなから決め込んでいたのだ。エミさんもカオリさんも持ってきていなかった。

メトロコロンの婦人服売り場の一角に、水着売り場はあった。
ベビーカーを揺らしながら近づくと、すぐに店員が3人ほど私たちの方に近づいてきた。そして、店員はここでも、最初に腰をかがめて、「Hi, baby~~~」と子どもたちをあやし始めた。

私とエミさんがそれぞれ押す2台のベビーカーにのる2人の子どもに手を振って話しかける。女性だけではない。男性の若い店員もやってきて、ベビーカーを囲んで「wow~~ cute~~! How old are you?」などと、言葉も発さない我が子たちに笑顔いっぱいでおしゃべりしてくれる。

嬉しい。お店でこんなに熱烈歓迎されたことは、出産後初めてかもしれない。今のうちに物色だ。

さすが地元の人に人気のデパート。水着も競泳用からビキニ、ワンピースタイプにラッシュガードと豊富で、価格もとても安い。

大人用Tシャツ売り場=セブ市のコロンストリートで、今村優莉撮影

でも、どうやって試着しよう?
エミさんとカオリさんと、交代で子どもを見ながら1人ずつ試着室に入る…ということを模索していると、店員らは「私たちがbabyを見ているから、一緒に行ってきて良いですよ!」と言ってくれた。
何というありがたい申し出だ。

だが、トラブルがあってはいけない。私たちは、2人ずつ試着室に入って、残りの1人が店員と残って子どもたちを見る、という具合で試着をした。ベビーカー2台に対して赤ちゃんは4人。抱っこひもごと渡してあやしてもらう、なんてお願いも喜んで引き受けてくれた。

ベビーカーから降りて売り場を歩き回るシンシン。常に店員さんが相手してくれ、時には一緒に遊んでくれたので安心して買い物が出来た=セブ市のコロンストリートで、今村優莉撮影

結局、私たちはメトロコロンに2時間以上いた。ベビー用品やおもちゃ、Tシャツなどが安く、想定よりも多くの買い物をした。いろいろな売り場を回ったが、どこの売り場でも赤ちゃん連れの私たちを店員らは笑顔で迎えてくれ、品物を見ている間、彼らが子どもたちをあやしてくれた。

自転車のような機械にまたがり、はさみを研ぐ職人。他にもハンコ屋や果物屋などが並ぶ=セブ市のコロンストリートで、今村優莉撮影

■タクシー乗り場でも 赤ちゃん連れが最優先

コロンストリートは大きな街の中に細い路地も多く、それぞれに数多くの店が立ち並ぶ複雑な形をした街並みのため、Grabで車を呼ぶにしても場所指定が難しい。帰りは配車は諦め、私たちはメトロコロンデパートの近くにあるタクシー乗り場に並ぶことにした。多くの人が並んでタクシーを待っていて、年配の女性係員が客にあらかじめ行き先を聞いて運転手に伝えていた。彼女は、子連れの私たちを見るとすぐに「こっちに来なさい」と呼んでくれた。私たちは列をなす人たちを追い越す形でタクシーに案内された。

戸惑う私たちに女性は笑顔で「Priority(優先)だから」と言った。並ぶ人たちも別に気に留める様子はなかった。

日本の電車の優先席でもなかなか席を譲ってもらうことが少なかった妊婦時代、子連れ外出に慣れていた私は、両手にいっぱい抱えた荷物と子どもとママメートと、笑顔で帰宅した。

「コロン、どうでしたか。安全に買い物できましたか?」。翌月曜日の朝、家政婦兼シッターのジョセさんは家にくるなり心配そうに私に聞いてきた。

「ぜんぜん!それどころか、店員さんがみんな子どもにフレンドリーに面倒をみてくれて、こんなに買っちゃった!」とおもちゃと水着を披露すると、安心した表情を見せた。

治安が良くない面もあるだろうし、もちろん今後も十分に注意は必要だろう。だが、赤ちゃん連れだったからこそ「スリやひったくり」だけではない一面を知ることができた。私はそれからも、カバンと財布に細心の注意を払いながら、ちょくちょく子連れでコロンを楽しんだ。

***シッターさんがいなくても、子どもに優しいフィリピン人のホスピタリティーのおかげで週末も楽しく過ごしていた私。ある日、カオリさんからとんでもない話を聞かされました。彼女は、私たちが住む「新築・高級」がウリのコンドミニアムでハエに悩んでいました。