「あの、韓国の映画とかドラマによく出てくる緑の瓶のお酒、何?」

こんな質問をよく受ける。韓国を旅行した人はもちろん、日本でも韓国料理店が増え、それが「ソジュ」と呼ばれる韓国の焼酎であることはかなり認知されてきたと思う。「チャミスル」という商品名まで知っている人も少なくない。

映画やドラマで、失恋した後、上司にしかられた後、屋台でソジュを飲んで酔っ払うシーンは定番だ。ソジュを飲んで酔っ払って劇的に男女の関係が発展することもある。

映画やドラマの中だけでなく、実際、韓国ではソジュをよく飲む。

韓国は旧正月が連休となり、新年は1月1日だけが休日だ。私も1月2日から仕事で、今年は日本に帰らず韓国で年末年始を過ごした。案の定、忘年会から新年会へ、エンドレスの飲み会続き。

ソジュもいっぱい飲んだが、ワインバーへ行った時のこと。ワイングラスのコースター(日本ではあまり使いませんが)に、ハングルで「これ飲んだら俺たち付き合おう」と、あった。これは、韓国で知らない人はいないほど有名なセリフだ。

「これ飲んだら俺たち付き合おう」と書かれたコースター

映画「私の頭の中の消しゴム」(2004)で、屋台でソジュを飲みながらチョン・ウソンがソン・イェジンに言ったセリフ。ソン・イェジンはグイッとソジュグラスを傾け、一気に飲み干した。ここから二人の甘く切ないラブストーリーが始まる。

ソジュが出てくる名場面を問えば、このシーンを挙げる人が多い。

最近の映画では、昨年10月に韓国で公開された「最も普通の恋愛」のソジュを飲むシーンが印象的だった。この映画、コン・ヒョジンとキム・レウォンが演じる主人公たちがとにかくソジュを飲む、飲む。飲み過ぎては大胆なことを言ったり、過去の恋愛の傷を打ち明けたりして、翌日覚えていない(ふり)という繰り返しで、二人が近づいていく。

「最も普通の恋愛」主演のコン・ヒョジン(左)とキム・レウォン(右)=NEW提供

ソジュといえば、甘くて苦い味。二人の甘くて苦い恋愛をソジュで表現しているような映画だった。映画やドラマの小道具として、マッコリでもビールでもなく、ソジュの登場が圧倒的に多い理由だろう。

初めて二人きりで飲むシーンでは、口の動きで言葉を当てるゲームをしながら、負けた方が一気飲みという無茶な飲み方。ソジュグラスはおちょこのように小さいが、アルコールは17%ほど。これをストレートで飲むのだから、酔っ払わない方がおかしい。むしろ韓国でソジュを飲むのは、味わって飲むというよりも、酔っ払うために飲んでいるような気がする。ストレート以外の飲み方としては、ビール(メクチュ)と混ぜて飲む「ソメク」も人気だ。

同じ緑の瓶でも、ソジュは地方によって銘柄が違い、アルコール度数や味もちょっとずつ違う。首都圏でよく売っているのは、日本でもよく見る「チャミスル」、そして「チョウムチョロム」だ。チョウムチョロムは江原道のソジュだが、首都圏でも多くのお店で売っている。

首都圏でよく売られているソジュ「チョウムチョロム」

ただ、昨年はなぜか「日本製品不買運動」に巻き込まれた。一時は、瓶に「チョウムチョロムは大韓民国のソジュブランドです」というタグが付いていた。最初にそれを見た時は意味が分からず、どういうことか周囲に問うと、「チョウムチョロムの製造販売元がロッテ酒類だから不買運動の対象になっている」と言う。ロッテに日本のイメージがあるのは分かるが、韓国の企業だ。日本製品不買運動は、いろんな意味で納得のいかないことがたくさんあった。

「チョウムチョロムは大韓民国のソジュブランドです」と書かれたタグ

一方、昨年は「眞露イズバック」というレトロな瓶のソジュが発売され、7ヶ月で1億本が売れるヒットとなった。韓国では最近「ニュートロ」が人気だ。ニュー(new)とレトロ(retro)を合わせた言葉で、昔ながらのものに新たな感性を吹き込んだコンセプトだ。

昨年発売されたレトロな瓶の「眞露イズバック」

韓流ドラマが人気の中国では、ドラマの影響でソジュの輸入も増えているという。韓国ではドラマの中で商品の広告をするPPL(間接広告)が多く、主人公たちがドラマの中で飲んでいるソジュの銘柄がはっきり分かるのは、大抵PPLだ。今年あたり、「眞露イズバック」のドラマ出演も増えそうだ。