武藤嘉紀(マインツ)

前半戦の結果:13試合出場(先発11)・3得点・2アシスト

チーム内の序列:FWのレギュラークラス

前半戦採点:55点。負傷離脱もあり、及第点には至らない

後半戦の目標:ゴールラッシュでチームの残留に貢献する

文=遠藤孝輔

■10月以降に無得点の前半戦は文字通りの尻すぼみ

マインツ加入3シーズン目の武藤嘉紀が開幕前に期待されたのは、ケルンに移籍したジョン・コルドバに代わる前線の牽引車となることだ。ケガに泣かされた過去2シーズンを上回るパフォーマンスを期し、本人もゴールの増加に並々ならぬ意欲を示していた。

その目標達成に向けた“第一関門”は突破した。昨夏に加入したボスニア・ヘルツェゴビナ代表のFWケナン・コドロとのレギュラー争いに勝ち、1トップの定位置を掴んだのだ。ブンデスリーガの開幕スタメンに自身初めて名を連ねると、国内リーグで順調に得点を重ねる。しかも、その全てがビューティフルゴール。第3節レヴァークーゼン戦での左足のダイレクトボレーは「マインツ日本人の空手キック」(ビルト紙)と話題を呼び、第5節ホッフェンハイム戦では鮮やかな3人抜きゴールで度肝を抜いた。そして、第7節ヴォルフスブルク戦では技ありのヘディングシュートで貴重な同点弾を記録している。

LSKハンザ(4部)を3-1で下したDFBポカール1回戦を含めれば、公式戦8試合で5ゴールと上々のスタート。風邪でコンディションを崩した時期(第4節のバイエルン戦で先発落ちした要因だ)がありながら、新たな得点源としての地歩を着実に固めていった。

豊富な運動量を活かした前線での守備も特筆に値した。かつてマインツに所属した岡崎慎司を想起させるハードワークを怠らず、ボールを奪いきれなくてもパスコースを限定するなど、ファーストディフェンダーの役割を全う。身体を張ったポストワークをこなしてから、瞬時の動き直しでライン裏に飛び出すプレーなども光り、就任1年目のザンドロ・シュヴァルツ監督からは「全幅の信頼を寄せている」と称賛された。

だが、突如としてゴールから見放される。10月以降の公式戦12試合(うち4試合は腰のケガで欠場)で1得点も挙げられなかったのだ。チームに良質なパサーが少ない事情を考慮したとしても、限られたチャンスをモノにするのがスモールクラブのエースに課された宿命だ。本人も前半戦の結果に満足していない以上、及第点以上はつけられない。

■新戦力ウジャーとの“共存”を予想する現地メディアも

エース格からスタメンが保証されていない立場まで序列が下がったとはいえ、武藤は後半戦もゴールの量産を目標に掲げる。それを実現するには、再びチーム内での定位置争いを勝ち抜かなければならない。ライバルは多い。今冬の移籍市場で2012年夏以来となる古巣復帰を果たしたアンソニー・ウジャー、武藤の負傷離脱時にアピールした194cmの大型CFエミル・ベルグレーン、1月7日のテストマッチ(対ボルシア・メンヘングラードバッハ)で先発出場したデンマーク代表のヴィクトル・フィッシャーなど、だ。前述したコドロは指揮官の構想に入るか微妙で、1月中に移籍する可能性がゼロではない。

1枠ないしは2枠というFWのレギュラー争いで、ポールポジションにつけるのは新戦力のウジャーか。1月6日のテストマッチ(対ザンクト・ガレン)で先発すると、早速1ゴールと結果を残した。ここ1年半は中国の遼寧足球でプレーしていたが、ブンデスリーガで2年連続の二桁得点をマークした(14-15、15-16)実力が健在なら、前線の絶対的な柱になっても不思議はない。アフリカ出身者らしいバネと瞬発力、得点力と実績が強みだ。

14-15シーズンのケルンで大迫勇也と2トップを組んだ経験を持つこのナイジェリア人FWと、武藤がタッグを組む可能性もなくはない。実際、後半戦の初戦となる1月13日のハノーファー戦で、両者の先発出場を予想する現地メディアは存在する。同時スタメンの場合は2トップ、もしくはウジャーがCF、武藤がトップ下という縦関係になるだろう。とはいえ、冬のキャンプでは二人が連係を構築する時間はほとんどなかった。ハノーファー戦に“ぶっつけ本番”で臨むのか。まずはシュヴァルツ監督の選択に注目だ。

武藤が再浮上するには、良好なコンディションの維持も欠かせない。過去2シーズンだけでなく、今シーズン前半もケガに歯車を狂わされたのは周知のとおりだ。それでも2シーズン半で計15ゴールと、それなりの結果を残してきた武藤の点取り屋としてのクオリティーは、ウジャーに勝るとも劣らない。そもそも前述したホッフェンハイム戦のようなゴールを決められるFWなど、ブンデスリーガ全体を見渡しても5人もいないはずだ。

期待値の高いウジャーより目に見える結果を残し、マインツの1部残留に貢献した暁には、日本代表でのレギュラー待望論が浮上するかもしれない。

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