ジネディーヌ・ジダンが計画したバルセロナの連係を減ずるという興味深くも危うい戦術的な争い、そしてそのために生まれた均衡は、セルヒオ・ブスケッツの足元にボールが収まったときに砕片となった。

レアル・マドリーはその前から苛立ちを表していた。時間は52分。ブスケッツはピッチ中央でボールを受けた。それまで勢いがあった白い選手たちは彼にプレスを仕掛ける。だがバルサMFはチャビのスタイルよろしく、その場で何度もターンしてボールを支配下に。まったくエレガントで堂々とした勝者はラキティッチにスルーパスを通し、ラキティッチはボールを持ち運んで横のセルジ・ロベルトにパスを送り、セルジ・ロベルトは計算された一級品のグラウンダーのクロスを送り、そしてルイス・スアレスがネットを揺らした。

そこで試合は終わった。マドリーがバルサの連係、パス回しを減じていた意味は失われた。それ以降に行われたのは、バルサの永遠なるロンドである。彼らはカルバハルの退場によって生じた数的優位性、そして気が滅入ったマドリーに付け入って、ずっとパス回しを行っていた。エルネスト・バルベルデのチームはくつろいだ様子でボールに触れ、連係を見せ、さらに2ゴールを加えて絶対的な支配者であることを誇示した。

■またもコバチッチを先発で起用したマドリー

ジネディーヌ・ジダンはスペイン・スーパーカップと同様にコバチッチを先発で起用。その代わりにイスコをアセンシオ、ベイルとともにベンチに並べている。フラットな4-4-2のシステムで、カセミロと並んで中盤の中央に位置したコバチッチは、今回2つの任務を担っていた。一つは相手陣地でプレッシングを仕掛ける際にブスケッツに圧をかけること、もう一つは自チームが後退してバルセロナがポジショナルな攻撃を見せる際にメッシの近くに位置することだった。

■前半、マドリーが前から仕掛けたプレッシング

勝利を絶対的に必要とするマドリーのプレッシングは、普段通りミドルゾーンまで後退するほか、バルサがGKからプレーを開始するときには前から仕掛けられている。前へ出る際には、バルセロナの各選手にマークを付けた。クリスティアーノ・ロナウド&ベンゼマが両センターバック、コバチッチがブスケッツ、モドリッチがイニエスタ、クロースがラキティッチ、カセミロがパウリーニョ、カルバハル&マルセロが相対するジョルディ・アルバ&セルジ・ロベルト……。この蜘蛛の巣のようなプレッシングを前に、テア・シュテーゲンはどうプレーするかという決断を再三再四にわたって迫られている。

一人だけプレーが制限されていないバルサGKは、驚嘆すべき落ち着きで責任を背負った。蹴ったボールが奪い合いにならぬよう、チームメートたちの動き出しを冷静に見極めて最善のパスを出していったのである。またチームメートが見つからない場合には、パウリーニョ&ルイス・スアレス目掛けて正確なボールを蹴り、相手と競わせている。L・スアレスは身長で劣るヴァランと相対したが、空中戦で負けていなかった。

■後半になって歩き始めたメッシ

後半にさらなる勢いを手にしたバルサだが、その変化はメッシの姿勢からもたらされている。メッシは後半からその速度を歩行レベルに遅め、まるで彼だけが行き先を知っているかのような動きを見せた。ボールがある場所から距離を取り、その後に意表を突く形で姿を現して決定的なプレーを披露。コバチッチはこの「歩くメッシ」に付きっきりとなった。例えば、冒頭に記した先制点の場面においては、ラキティッチがボールを運んでいるときにコバチッチがカバーできる位置にいたが、そばのメッシを気にして素通りさせている。

コバチッチのマークから解放され、楽になったブスケッツが攻撃の糸を操れるようになり、バルサは普段のポゼッション率を取り戻した。ジダンはベイルとアセンシオをピッチに入れようとしたが、出場の準備が整いサイドラインに立つ彼らは、バルサのプレーが途切れるのを5分間も待ち続けることになった。

文/エンリケ・オルテゴ(Enrique Ortego)
翻訳・構成・加筆/江間慎一郎

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