機会は、突然訪れた。

開幕戦の前半5分。この時点で1点のビハインド。チームとしても、個人としても得点がほしい場面で、岡崎慎司が輝いた。

レスター・シティは左CKのチャンスを得ると、マーク・オルブライトンのクロスをファーサイドにいたハリー・マグワイアが折り返す。アーセナルのGKペトル・チェフが左右に揺さぶられたスキに、岡崎が頭でボールを押し込んだのだった。

昨シーズンは岡崎にとって試練の1年だった。2015−16シーズンに奇跡の優勝を成し遂げたチームは、そのオフに大型補強を敢行。攻撃陣にはイスラム・スリマニが加わり、競争は熾烈化した。岡崎はベンチを温める機会が増え、ようやく初ゴールを決めたのが開幕から約2カ月が経過した10月22日のクリスタル・パレス戦だった。

シーズン終盤は監督交代の影響もあって信頼を取り戻し、ピッチに立つ機会が増えた。しかし、それでもなかなか得点を奪えず、リーグ戦では計3ゴールのみに終わった。岡崎の場合、持ち前の運動量と献身性によって得点以外の部分が評価を受けがちだが、ストライカーとして1年で3度しかゴールネットを揺らせなかったのは「悔しさ」以外の何物でもなかった。

実際、岡崎は昨シーズンの終盤にこんなことを口にしている。

「自分が一番できなかったことは、やっぱり点を決めきれなかったこと。僕がチャンスをしっかり決めて、7〜8点取っていれば、また状況が違っていたかもしれない」

「1シーズンで10ゴール以上とったときに何かが変わるかもしれない。ただ、それはすっごい、ハードル高いですよね? でも、そういうことを追い求めにプレミアリーグにやってきたので」

迎えた今シーズン。レスターは攻撃陣にケレチ・イヘアナチョを補強した。マンチェスター・シティでシーズン14ゴールを決めた実績を持つ若武者だ。競争はより、激しさを増した。

しかし、開幕戦で岡崎は先発の座を勝ち取った。そして、“待望”と表現するには早すぎる段階で、ゴールを決めることができた。結果としてチームは敗れてしまったものの、「10ゴール以上」を目指すストライカーとしては上々の滑り出しとなった。

開幕戦で1ゴールを決めたからといって、立場を確立できたわけではない。しかし、ゴールを決めないより、決めたほうが周囲の信頼を得られるのは確かだ。

今季でプレミア3年目。岡崎慎司はどんな1年を歩んでいくのだろうか。少なくとも今の段階では「10ゴール以上」に向けて、「上々のスタートを切った」と表現しても言い過ぎではないはずだ。