ロシア・ワールドカップの組み合わせが決定し、日本代表はポーランド、セネガル、そしてコロンビアと同じグループに入った。いよいよ、世界との戦いが間近に迫ってきている。

11月に行った欧州遠征ではブラジルとベルギーと対戦し、白星を挙げることができなかった。もっとも、本番は来年6月。その経験を糧にし、12月に開催されるEAFF E-1サッカー選手権2017などの限られた機会で新戦力を発掘、強化を図り、チーム力を底上げしていくことが期待される。

では、世界は現在の日本代表を、日本のサッカーをどのように評価しているのか?

『Goal』は柴崎岳が所属するヘタフェでスポーツディレクターを務めるラモン・プラネス氏に話を聞く機会を得た。日本人プレーヤーをクラブに招き入れた張本人が、日本サッカーと日本人の可能性を語ってくれた。

■日本代表への評価は?

プラネスSDは日本サッカーの成長ぶりに関して「目を見張るものがある」と力説する。その根拠として挙げるのは、欧州でプレーする選手が増えていること。それが日本代表にもプラスに働いていると考えているようだ。

「ロシア・ワールドカップに向けて、目覚ましい成長を遂げていますよね。日本サッカー協会は素晴らしい仕事を実現していますし、それに欧州で多くの選手がプレーしています。長友(佑都)、香川(真司)、岡崎(慎司)、そしてスペインにいる乾(貴士)とガク……。欧州の強豪リーグでプレーすれば、個人のレベルは間違いなく引き上げられますし、そのレベルアップは代表チームに還元されます。日本のリーグはまだ強大なものではないですし、今は欧州でプレーする選手を増やすべきです」

「欧州でプレーする選手を増やすことが重要」というのは、日本サッカー界における一種の通説だ。しかし、なぜそれほどまでに欧州でプレーする必要があるのか。本当に欧州でプレーすることがレベルアップに直結するのだろうか?

その疑問に対してプラネス氏は、最も身近にいる日本人の例を挙げて説明してくれた。

「例えば、鹿島でプレーしていたガクは、今と比べれば走ることも守ることもしていませんでした。しかし、ここスペインではボールを巧みに扱うだけではなく、誰よりも懸命に走っています。現在の日本代表が、どこまでの高みに到達するかは分かりません。けれども欧州で活躍する選手たちが増えていけば、強大なチームに対して不快感を覚えさせる存在ではあると思います」

柴崎は鹿島時代も特筆すべき活躍をしていた。タイトルの獲得に貢献し、リーグを代表する選手として多くのサッカーファンに認知されていた。

しかし、今の彼に比べると「走ることも守ることもしていなかった」と表現できてしまうほどしか力を発揮していなかったことになる。だからこそ、多くの選手が環境を変え、ヨーロッパでプレーする必要があるのだという。一人ひとりの選手が自分の殻を破ることで、日本サッカー全体のレベルアップにつながるのだから。

■新たな日本人選手獲得の可能性も

最後にもう一つ気になる質問をぶつけてみた。プラネス氏は柴崎や日本人選手に対し、一貫して一定の評価を与えてきた。では、ヘタフェが将来的に、新たな日本人選手を獲得する可能性はあるのだろうか。

「もちろん(あります)。U-20日本代表には、将来的に獲得に動く可能性がある選手が二人います。他クラブが目を向けることを避けるため、名前は伏せておきますが。ただ、その二人は本当に気に入っていて、ここでプレーするレベルに達していると確信しています。来季、ガク以外の日本人選手がヘタフェでプレーしている可能性を否定することはありません。可能性はありますが、現在は獲得すべきという確信を得るために、彼らを追い続けている段階です」

欧州のクラブが日本人選手を獲得するのは、マーケティング戦略の一環ともされている。だがプラネスはそうした考えに拒否反応を示す。ヘタフェが柴崎を獲得した理由も、選手が生み出す金よりも、ピッチ上で放つ魅力にこそあると断言する。

「ここにやって来る選手は能力が高くなくてはいけません。スペインのフットボールはこれまで、エキゾチックな選手を引っ張ってこようとして失敗を犯してきました。注目を集めることで、ユニフォームが売れると考えたわけですが、私にとっては無意味なことでした。フットボールはビジネスでもありますが、ピッチ上で貢献できるレベルの高い選手を獲得することが大前提なのです。確かにガクのユニフォームは、ヘタフェのどの選手よりも売れています。ですが、私たちはそのために彼を獲得したのではなく、これから獲得に動くかもしれない日本人選手についても、ピッチ上の成果だけで考慮しています」

インタビュー=ホセ・アントニオ・デ・ラ・ロサ(スペイン紙『アス』ヘタフェ番記者)

翻訳・文=江間慎一郎

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