ユン・ジョンファン監督に率いられて明治安田生命J1リーグで首位に立つセレッソ大阪。ハードワークを強く求める指揮官のリクエストにしっかりと応えて結果を出しているチームにあって、そのスタイルを右サイドで具現化しているのが、かつてサガン鳥栖で同監督に師事した経験を持つ水沼宏太だ。

持ち前のスタミナと献身的な動きで果敢なプレスと素早い攻切り替えを披露し続けて攻守に貢献。サッカーに対して真摯に取り組む姿勢と明朗快活なキャラクターで加入1年目ながら早くもチームに欠かせない存在となっている。

正確な右足キックでセットプレーキッカーも託されるアタッカーは、果たして好調のチームをどのように見ているのか。そして迎えるセビージャ戦で何を手にしたいと考えているのだろうか。

――明治安田生命J1リーグは首位で中断期間を迎えました。スペインの名門、セビージャとの対戦を前に好調を維持しています。

最初は“勢い”と言われていましたけど、それをうまく利用しながら目指しているサッカーが固まりつつ状況だと思います。セレッソ大阪はもともとポテンシャルの高い選手がそろっている中で、なかなか結果を出すことができなかった。僕は昨シーズンまで外から見ている立場だったので、あまり比較することはできませんが、ユンさん(ユン・ジョンファン監督)が来たことで勝てなかった原因を見直して、しっかりと前に進むことができたんじゃないかと思っています。監督はとにかく球際の強さと切り替えの早さを求めていますし、規律ある守備にも取り組んでいます。正直、短期間でここまで変われたのはすごい。ユンさんは勝つために必要なものを投げ掛けてくれる。僕たちがピッチ上でそれを体現できているのが、好調の要因だと思っています。

――技術の高い選手たちに、ユンさんの求める“ファイト”が浸透してきたわけですね。

そうですね。やっぱり粘り強く体を張って守る部分はユンさんがずっと求めているところだし、とにかく「勝つために何をするのか」を強く強調しています。例えば先日のFC東京戦(J1第17節)ですよね。前半は先制点を許しただけじゃなく、相手より戦っていないし、走れていなかった。そこでハーフタイムに監督が「じゃあ、それをやろう。勝つためにはそれが必要だよ」と話して、後半はみんながファイトして逆転勝ちすることができた。今のC大阪は本当に伸びしろがあるチームだと思うんです。FC東京戦のように逆転勝ちできる力がついてきたし、それを自信に替えることもできています。もちろんまだまだ成長できることはたくさんあるし、課題として改善しなければいけないところもある。それをしっかりと見つめて楽しみながら、そして試合に勝ちながらやっていけたらいいですね。

――もう完全に勢いではなく、しっかりと手応えを感じながら結果を出している印象です。

開幕からリーグ戦とカップ戦を合わせて25試合以上を戦ってきましたが、その中でまだ2試合しか負けていないんですよ。確かに勢いだけではそこまで結果を出せないです。僕としてはリーグ戦だけでなく、メンバーを多く入れ替えて戦っているYBCルヴァンカップでもしっかりと勝てていることがチームの成長を証明していると思っています。もちろん、みんなリーグ戦のメンバーに入って結果を出すためにやっているんですけど、とにかくルヴァンカップ組の好調さがチーム内のメンバー争いを激しくさせていますから。僕も最初は思うようにリーグ戦で出場機会を得られなかったので、彼らの気持ちはすごく分かります。そんな中、ユンさんは調子の良い選手を使ってくれる。みんなが試合に出るために切磋琢磨できているのは、ユンさんの雰囲気作りも大きいと思います。

――そんなチームが今回、StubHubワールドマッチ2017でセビージャを迎え撃ちます。非常に好調を維持しているだけに、選手としてもチームとしても、絶好の腕試しになるのでは?

そうですね。ただ、この時期の国際親善試合は難しいところがあるんですよ。どうせ相手は本気で来ないだろうという雰囲気もみんなにありますし。でも、試合が始まったら絶対に真剣勝負になる。僕たちとしてはとにかく相手を本気にさせたいし、前半から僕らのサッカーを出し続ければ、やっぱり向こうにもスペインの上位クラブというプライドが出てくるはず。そうやって本気にさせることができれば、本当に面白い試合になると思います。

――若手時代には年代別代表で海外の選手たちと多く対戦してきました。そういう経験から得たもの、感じたことは?

海外の選手は本当に球際が強いし、個々の能力の高さは毎回感じていました。組織的なプレーよりも個人能力を押し出してくる感じですね。その中で日本は組織的に崩していくことに取り組んできた。そういう意味で考えると、今の僕たちはすごく組織的なサッカーができています。みんなで攻撃して、みんなで守れているから、いい戦い方ができるイメージはありますよ。

――セビージャ戦は、まさにC大阪らしさを出す試合になりそうです。

そうですね。セビージャはキヨ(清武弘嗣)が在籍していたことで話題になりましたけど、本当に飛び抜けたスーパースターがいるわけではありません。ただ、個々の能力は間違いなく高いし、キヨも「本当にすごかった」って言っていました。その一言に尽きますよね。その選手たちと対峙することで吸収できるものはあると思うので、個人的には何かを試したり、チャレンジするのではなく、いつものプレーがどれだけ通用するのか、自分がどの位置にいるのかを感じたいです。

――注目のセビージャ戦、ファンの皆さんはどこを観たら楽しめるのでしょうか。

僕たちは今、Jリーグの中でも「一番」と言っていいくらい好調だと思うんです。その僕たちがヨーロッパで結果を出しているセビージャ相手にどれだけできるのかを見てもらいたいですね。もちろん選手個々のマッチアップも面白いと思いますけど、チームとしてセビージャにどんなサッカーができるか。相手を本気にさせて勝つことができれば、改めて僕たちの強さを証明できるし、ここで勝つことがセレッソ大阪というクラブの価値、そして選手の価値を上げると思うんです。とにかく相手を本気にさせて、その上でチームとして強さを証明したいですね。

インタビュー・文=青山知雄