こんにちは。川崎フロンターレの中村憲剛です。前回は『2016-2017シーズンのヨーロッパ・ベストイレブン』の前編(前編はこちら)として、GKからボランチまで、後ろの6人を選んでみました。今回は後編ですね。残るは5人……全員、前線かな(笑)。ともあれポジションに関係なく、さっそく選んでいきたいと思います。まずは、この2人から。

[センターフォワード]

クリスティアーノ・ロナウド(レアル・マドリー)

さすがに外せません、この人は。この数年間で完全にタイプが変わりましたよね。サイドアタッカーからボランチへ転向した往年のライアン・ギグス(元マンチェスター・ユナイテッド)ばりのチェンジ(笑)。それくらいの衝撃があったかなと。あれだけのドリブラーが、今やボックス内で勝負する人ですからね。UEFAチャンピオンズリーグ(CL)決勝の2ゴールも、ともにワンタッチ。点を取るためのプレーが見事に研ぎ澄まされていました。

[右ウイング]

リオネル・メッシ(バルセロナ)

タイトルこそ取れませんでしたが、彼自身のパフォーマンスは素晴らしかったと思います。全世界が注目する『エル・クラシコ』での決勝点が、通算500得点目のメモリアルゴールというマンガみたいなことも起こりましたしね(笑)。そういう意味でのインパクトもありました。単純に彼の“いる”“いない”でバルセロナのサッカーが全然違ってきますから。やっぱり今シーズンもベストイレブン入りは妥当かと。

というところで、他に選べるのは3人。難しいんですよね、“MSN”(メッシ、ルイス・スアレス、ネイマール)と“BBC”(カリム・ベンゼマ、ギャレス・ベイル、C・ロナウド)の取捨選択が。でも、今シーズンの“BBC”はB(ベンゼマ)とC(C・ロナウド)だけでした、レアルにとって、ベイルの戦線離脱は返ってプラスに作用したんじゃないかと思っているんです。代わりに登場した「あの人」の存在が、かなり大きかったと思いますから。

[インサイドハーフ]

イスコ(レアル・マドリー)

好みのタイプですね、イスコは。彼がスタメンに加わって、レアルの良さがぐっと引き出されたように思います。“BBC”が並ぶと、どうしても前と後ろが分断されがちなんですけど、彼が潤滑油となることで各々の性能が引き出され、面白い攻撃が可能になったんじゃないかと。

もともと天才肌の選手ですが、走るようになったし、闘えるようにもなった。また、サイドではなく、ダイヤモンドヘッド(菱形中盤の頂点)で使われるようになって自由に動き回り、彼の良さがさらに生きましたね。守備でもハードワークできるので、“BBC”がそろう時よりも、攻守のバランスも改善されていたと思います。

特にアトレティコ・マドリーと戦ったCL準決勝のゴールは見事でした。決勝でも神出鬼没。ユヴェントスのディフェンス陣も彼を捕まえ切れませんでした。とにかくシーズン終盤のうなぎ登り感はすごかった。レアルのCL連覇のキーパーソンでもあったので、ベストイレブンに加えたいですね。

[左ウイング]

ネイマール(バルセロナ→パリ・サンジェルマン)

さて、残る2人……1人は彼ですね。着実に“ネクスト・メッシ”の階段を上がってきていると思います。昨夏のリオデジャネイロ・オリンピックで初の金メダルをもたらすなど、ブラジルでは不動のエースですけど、バルサでの存在感もシーズンを重ねるごとに大きくなってきました。伝説となったパリ・サンジェルマンとのCL準々決勝第2戦でも見事な直接FKをねじ込みましたしね。リーガでも彼が出場停止の時は、穴埋めに苦労していました。最近のバルサは明らかにネイマールへの依存度が高くなっていると思います。

[ニューヒーロー賞]

キリアン・ムバッペ(モナコ)

新鮮な驚きと言えば、ムバッペですね。確かに能力とアイディアはすごい。ただ……彼をあっさり選んだら“にわか”な感じがしてしまう(笑)。さすがにベストイレブンにはまだ早い。Jリーグ風に言うと、ニューヒーロー賞ですかね。この枠で他の候補者を探すと、(ウスマン)デンベレ(ドルトムント)も良かった。でも、ベストイレブンじゃない。選ぶならむしろ、(ピエール・エメリク)オーバメヤン(ドルトムント)でしょうね。(アントワーヌ)グリエズマン(アトレティコ・マドリー)も入れたかったですけど、昨シーズンのほうがインパクトは大きかったので。

[功労選手賞]

フランチェスコ・トッティ(ローマ→現役引退)

いっそトッティを選ぶ? いや、彼は功労選手賞ですね。それにしても、退団セレモニーのスタジアムの雰囲気が……ひょっとして、自分の時もこんな感じになるんだろうかって、もう感情移入がすさまじかったですよ。あのトッティでも泣くんだなと。ともあれ、伊藤宏樹さん(現川崎Fスカウト)が引退した時以来の感動的なシーンでした。

思えば、僕とほぼ同年代のシャビ・アロンソ(バイエルン)やラームが引退して、テリー(アストン・ヴィラ)は移籍しましたね。でも、彼らのあとを追うつもりはありませんよ、当分は(笑)。

では、いよいよ最後の1人を。

[インサイドハーフ]

ルカ・モドリッチ(レアル・マドリード)

イスコと並ぶ、今シーズンのMIPですね。若い頃から優秀な選手でしたけど、円熟味を増して完成度の高いMFになりましたね。(ジネディーヌ)ジダンが監督になってからインテリオール(インサイドハーフ)に定着し、さらに持ち味が生きるようになった。レアルの中盤の構成力はバルサのそれに肉薄するものですけど、その原動力と言っていいでしょうね。もちろん(トニ)クロースも良いですけど、二択ならモドリッチのほうかなと。正直、欲しいですよ、バルサに(笑)。

こうして改めて11人の顔触れを見ると、ビッグネームばかりになっちゃいましたね。初回から奇をてらうのもアレですから、ここは王道ということで。あれっ? 気づいたらレアルの選手ばっかり(笑)。“バルセロニスタ”の僕としたことが……でも、仕方がないです。何度も言いますけど、ベストイレブンですから。しかし何の因果か、中盤の3人が全員レアルって(笑)。まあ、バルサにいても、全く違和感なくプレーできる人たちですから。それにしても……(セルヒオ)ブスケツ、入れたかったなあ(笑)。

■中村憲剛セレクト 『2016-2017シーズンのヨーロッパ・ベストイレブン』

[GK]
ジャンルイジ・ブッフォン(ユヴェントス)

[DF]
フィリップ・ラーム(バイエルン・ミュンヘン→現役引退)
レオナルド・ボヌッチ(ユヴェントス→ミラン)
セルヒオ・ラモス(レアル・マドリー)
マルセロ(レアル・マドリー)

[MF]
カゼミーロ(レアル・マドリー)
ルカ・モドリッチ(レアル・マドリー)
イスコ(レアル・マドリー)

[FW]
リオネル・メッシ(バルセロナ)
ネイマール(バルセロナ→パリ・サンジェルマン)
クリスティアーノ・ロナウド(レアル・マドリー)

構成=北條 聡