今季よりバレンシアに加わったブラジル人DFが今季好調の理由、そしてチーム内にもたらした変化を『Goal』に語ってくれた。一体何がバレンシアをこれほどまでの好調へと導いているのだろうか。

■絶好調のワケは?

バレンシアは開幕から14試合を終えてバルセロナに次ぐ2位をキープ。クラブ史上初の8連勝を飾るなど最高の序盤戦を送っている。今シーズンからバレンシアでプレーするガブリエウは、このような素晴らしいスタートダッシュを予想していたのだろうか。

「ここ数年のクラブの状況や成績は良いものとは言えなかった。特に昨シーズンはすごく難しいシーズンだった。このクラブの歴史を考えると僕らは毎年、上位で戦わなくてはいけない。今シーズン開幕直後はまだこれまでのスランプの兆候を払拭できずにいた。でも今シーズンはマルセリーノ・ガルシア・トラル監督がチームを率いることになり、チームを良い状況に導いてくれると確信していた。でもここまで良いスタートダッシュが切れるとは思っていなかったよ」

バレンシアはここ2シーズンで12位に沈んでいた。かつてはチャンピオンズリーグなど欧州で躍進していたチームが残留争いに巻き込まれるなど、雰囲気は良くなかったとガブリエウは話す。しかし、新任の指揮官がすべてを変えたという。

「このクラブに来てからチームメイトにクラブの状況やロッカールームの雰囲気に関して聞いたよ。みんな最悪だったと言っていた。みんなが互いに責任を擦り付けていた。だが今シーズンのチームの雰囲気は全く違う。一人ひとりが自分たちの責任やクラブ、監督の仕事を称賛している。マルセリーノ監督がつまらない監督だと言っていた選手とプレーしたことがあるが、自分は全くそのように思っていない。むしろ選手に良い具合のプレッシャーを与えてくれて、選手一人ひとりに質の高いプレーを要求する。さらに彼が見込んだ選手にはもっと高いレベルのプレーを要求してくれる。そんな監督のスタイルが自分には合っていると思う」

あなたがバレンシアに好調をもたらした?と問うと、笑顔で「そんなことはないと思う」と話すガブリエウは、やはりマルセリーノ監督の手腕によるものと主張する。

「チーム全体がもたらしている結果だと思うし、特に監督の影響が一番強いと思う。開幕当初は彼のプロフェッショナルな考えがうまくチームに浸透していなかった。特に食事管理の面でね。監督の哲学・理論を理解するのに戸惑っていた選手もたくさんいた。でも今は自分も含め監督の求めていることを理解しているから、他の同僚や若手にアドバイスすることができるよ。選手自身が尊重さえすれば、結果は自然と付いてくる」

■「ゲデスには輝かしいキャリアが待っている」

指揮官が復活に一役買っていることはガブリエウの言葉から明らかだが、あくまでもピッチ上で結果を残し続けているのは選手たち。それでも、ガブリエウは一人の力ではなく、チーム全体で好成績を収めていると考えているようだ。

「チームの団結が一番かな。チームには若い選手がたくさんいるので、監督一人でチーム全体をコントロールすることは難しい。一つ言えるとしたら、チームには見栄や虚栄心がない。例えば今だとセンターバックの先発が、エセキエル・ガライ、ジェイソン・ムリージョ、そして自分と、選手の組み合わせがローテーションで変わっても、みんなそれを尊重しているからチーム一丸となって戦っているという感覚なんだ」

では、ピッチ上では誰が際立っているとガブリエウは感じているのだろうか。新加入ながら10試合に出場しているガブリエウ自身やリオネル・メッシに次いでリーガで多くのゴールを挙げるシモーネ・ザザ(9ゴール)、守護神のネトなど、一時はキャリアを停滞させたと思われる選手が、バレンシアでは躍動している。ガブリエウは、同じく一度は失意のときを味わった選手の名前を挙げた。

「ジョフレイ・コンドグビアだね。球際のテクニックがずば抜けているし最高の選手だと思う。ディフェンス面でも積極的に働いてくれているし、間違いなくチームの中心選手だよ。あとはゴンサロ・ゲデス。彼は非常に若くていい選手だ。守備陣をフォローしてくれているし、彼のスピードは誇れるものがある。一日でも早くケガから復帰できることを願っているよ」

また、パリ・サンジェルマンからレンタルで加入しているゲデスのポテンシャルの高さにも言及。クリスティアーノ・ロナウドに並ぶような選手になれるかという質問にはこう答えている。

「間違いないね。彼には輝かしいキャリアが待っている。まだ成長できる部分や学ばないといけないことがたくさんあるけど、数年後のポルトガルサッカー界で間違いなく中心選手になると思っている」

■自らのスタイルを確立するまで…

ガブリエウの欧州初挑戦は2013年。今と同じリーガの舞台だった。ビジャレアルではスペインサッカーの適応に苦しんだことを明かしながらも、その時間があったからこそ今の地位までたどり着けたと考えているようだ。

「常にあのときを忘れないようにしている。スペインに来た当初はプレースタイルの違いやゲームスピードの速さに苦しんだ。マルセリーノ監督は自分のキャリアの基盤となっているし、彼も自分に絶大な信頼を置いてくれている。リーガ移籍当初の自分はどうしたらいいか何もわからなかったし、泣きながら家に帰る日も少なくなかった。『自分はサッカーを知らない』。そんなことあり得ないと常に自分に言うことしかできなかった。ブラジルで常にプレーしていたヴィトーリアを出てスペインに来たが、3カ月間試合に出ることはなかった。その間は凄く辛かったけど、自分には学ぶことがたくさんあると気付けたんだ。監督は毎日改善点や自分に求められることを叩きこんでくれた。ビジャレアルでは先発で出れるようになり、50試合後には新天地のアーセナルでプレーすることになった」

当時を振り返り、何を思うのだろうか。ビジャレアルでの2年間、その後のアーセナルの2年間をこう語っている。

「自分は今バレンシアという素晴らしいクラブでプレーし、良いスタートダッシュが切れているという点を考慮しても、時々一度立ち止まって過去の自分を振り返るようにしている。その時に”自分は成長した”といつも感じる。あの頃の自分は、若さゆえ自分の思うままに何も考えずにがむしゃらにプレーしていた。けど今は経験を積んで、過去よりも良いプレーができているし、シーズンごとにコンディションやプレーの質を上げることができている。アーセナルではペア・メルテザッカーやローラン・コシールニーから多くのことを学んだしね」

■今季のリーガで下克上なるか

バルセロナ、レアル・マドリーという2大勢力が存在するスペインでは、その他のクラブは3位争いを余儀なくされる。ここ数シーズンはアトレティコ・マドリーやセビージャがしのぎを削ってきたが、今季はバレンシアがその間に割って入った。しかし、ガブリエウは見据える目標はさらに上だ。

「ここ数年のチームの状況は良い状況とは言えなかったが、今のチームは日々進化し続けている。新しい歴史を作りたいとみんな思っているし、3位争いとは言わず、バルセロナやレアル・マドリーを追い抜きたいと思っている。実際のところバレンシアの下にバルセロナやレアル・マドリーがいれば最高だね(笑)」

現在2位のバレンシアは、ガブリエウの語るように2大巨頭を下に置くことはできるのか。バレンシアは首位バルセロナとは勝ち点5差で、直接対決でも引けを取っていない。近年最大の下克上はそれほど遠くにある目標ではなさそうだ。

インタビュー・文=ブルーノ・アンドラーデ/Bruno Andrade

翻訳・構成=Goal編集部

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