バイエルン・ミュンヘンに所属するドイツ代表FWトーマス・ミュラーが、『Goal』の独占インタビューに応じ、昨シーズンやここまでの戦いぶりについて語ってくれた。

■不本意だった昨季

まず話し始めたのはカルロ・アンチェロッティ前監督初年度となった昨季のことについて。元ドイツ代表DFフィリップ・ラーム、元スペイン代表MFシャビ・アロンソといったレジェンドのラストシーズンとなったが、バイエルンはチャンピオンズリーグという大きなタイトルを逃した。いつものようにリーグ優勝を果たしたものの、DFBポカールではドルトムントの前に敗れ去り、やや不本意な新体制1年目となった。

「チャンピオンズリーグではレアル・マドリー相手にアンラッキーな敗北を喫した。何人かの選手をケガで欠いていたために、戦前の状況はベストとは言えないものだった。マドリーもベストな状態ではなかったと思うけどね。試合は延長までもつれ込んだ。アウェーのサンティアゴ・ベルナベウで、90分を知らせる笛が鳴る前にマドリーを2-1で倒すことができるチームはそう多くないだろう。延長戦で2つのゴールはオフサイドの判定により取り消された。僕らにとっては苦い結果となったよ」

「そしてDFBポカールでは、試合を支配しながらもドルトムント相手に敗れた。3-1、4-1にリードを広げるチャンスがありながら、結果的には2-3で負けてしまったんだ。それが1週間の間に起きたことだよ。僕らは悪いサッカーをしていたわけではなかったんだけどね。ブンデスリーガは2位に15ポイント差をつけて優勝した。輝かしいシーズンだったとは言えないけれど、少しの運が足りなかったに過ぎないよ」

チームの不調に引きずられるように、ミュラーにとっての2017年も良いものとは言えなかった。ミュラー自身も「パーフェクトではないことは間違いない」と話す。ポジションなどをその理由に挙げた一方で、得点数のみで選手としての評価を下してほしくないという。

「特に春のころ、僕が望んでいたポジションでプレーすることができなかった。今年の後半はかなり良いプレーができたと思うけどね。多くのゴールを決めることはできなかったけれど、アシストは記録することができた。20ゴールを決めたシーズンもあったけど、それが15アシストに変わったんだよ。ゴールだけが自分の特徴ではないと思うし、それだけが僕の価値ではないはずさ」

この1年で難しい時期も過ごしたミュラーだが、「できるだけ平静を保ち、チームの一員としての役割を果たす必要がある。でも自分の欲や野心も消し去ることはできない。僕は常に監督やチームメートからの信頼を感じていたよ」と話す。

■「衝撃が走った」指揮官交代

一方で、ミュラーをあまり重用しなかったカルロ・アンチェロッティは今シーズン途中で解任。1年目でタイトルを取りながら、ミュンヘンを去ることとなった。ミュラーは今シーズンが始まる前から良くない予兆を感じていたと明かす。

「プレシーズンは良いものではなかった。僕らのリズムを見つけることができなかったし、自分たちのやりたいサッカーができなかった。それが尾を引き、パリでの0-3の敗戦の後にクラブが決断を下したんだ」

そして、そのアンチェロッティの後任としてやってきたのが、一度は監督業を引退したユップ・ハインケスであった。ミュラーも「チームに衝撃が走ったよ」と語る。

「ユップ・ハインケスがどう思ったかはわからないけれど、監督交代の責任はチームにある。世界最高峰の戦術で戦いながらも、僕らはここでミスを犯したんだ。僕らは僕らの望むようなプレーができなかったんだ。ユップ・ハインケスは彼の経験と直感を生かしてチームを束ねた。3試合連続で1-0と勝つことができたけど、まだまだ改善の余地はあると思う」

Lewandowski, Tolisso, Ribery, Bayern Munich vs PSG

■ブンデス前半戦はドラスティックなものに

バイエルンがハインケス復帰後V字回復したのとは対照的に、最大のライバルと目されていたドルトムントがシーズンの半ばを前に急失速。12月には今夏から指揮を執っていたピーター・ボス監督が解任されている。

「間違いなく大きな動きのあった前半戦だったね。極端な変化があった。僕らが苦戦していたころ、ドルトムントは素晴らしかった。そんなに差をつけられていたわけではなかったけれど、5ポイントは離されていた。監督交代によって僕らはコンスタントに勝ち星をあげられるようになり、ドルトムントは数週に渡って勝てなくなっていた。クレイジーだし、それがフットボールというものだよね。9月には、僕らが11ポイントもリードしてウィンターブレークを迎えるとは思いもしなかったよ」

パリ・サンジェルマンに0-3と敗れ、クライシスへと陥ったバイエルン。しかし、上記の通り、ハインケス就任後は強さを取り戻し、ホームでのリターンマッチでは3-1と完勝を収めた。2試合はともに好対照のパターンとして、大きく取り上げられることとなったが、ミュラーは結果のみに目を向けた報じ方には疑問を隠せない様子だ。

「サッカーとは結果に左右される非常に極端なスポーツだ。こんな話だってすることができる。U-21ヨーロッパ選手権で僕らが優勝したときに2つの記事がインターネット上に誤ってあがった。ひとつはドイツの若い世代を批判したもので、もうひとつは称賛するものだった。それは冗談だけどね」

「だから、ファンの人たちが目にしている記事の中には、サッカーのリアリティからは遠くかけ離れたものがよくあるということなんだよ。最終的には結果が重要だということは間違いない。でも試合の成り行きが時に完全に見過ごされていることには全く理解ができないんだ」

■ハインケスへの信頼

ミュラーに大きな期待をかけるハインケスは、決勝点を挙げたシュトゥットガルト戦後には「ゴールを決めた左足は普段はただ立っているためだけにあるのに」と冗談を飛ばした。こういったジョークにも関係性の良さがにじみ出る。

「僕らはとてもポジティブなフェーズにあるんだ。ハインケスは、常に皮肉や冗談を言うことができるし、周りを喜ばせることができる。あれはそこまでシリアスなインタビューの場ではなかったけれど、彼はああいう形で僕への要求を伝えたんだろうね。それもわかっているよ。アメとムチだね。これまで多くの監督からそういう部分は見てきたよ」

最後に来る2018年の目標にも言及。改めて、最高の2017―18シーズンとすることを誓った。

「とにかく楽しみたいね。バイエルンもドイツ代表も、大きな可能性を秘めている。ブンデスリーガで2位に11ポイント差をつけているというのは、贅沢なシチュエーションと思われるかもしれない。後半戦の立ち上がりから良い状態で臨み、他を寄せ付けないようにしなければならない。チームとしても、僕個人としてもこれまでの経験を生かして、タイトル獲得に向けて突き進んでいくよ」

取材・文=ニクラス・ケーニッヒ/Niklas König

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