Jリーガーたちが世界トップレベルの選手に挑む――。

鹿島アントラーズは22日の『明治安田生命Jリーグワールドチャレンジ2017』でスペインのセビージャと対戦する。

チームとしての激突も去ることながら、注目されるのが“個と個のぶつかり合い”だ。ヨーロッパリーグを計5回制覇した実績を持つ強豪には、世界トップレベルのプレーヤーが在籍している。彼らと対じし、鹿島の選手たちはどんなプレーを見せるのか?

今回はスタッツとプレースタイルをベースに、両チームのストライカーを比較し、試合の見どころを紐解いていく。

■コンビネーションが鍵のペドロ

ペドロ・ジュニオールは新天地の鹿島で、開幕からなかなか得点できない試合が続いていたが、ここ5試合で6得点と乗ってきている。その大きな理由として、チームが彼の特徴を理解し、自身も仲間の特徴を分かってきたことが挙げられる。ペドロ・ジュニオールの特徴の1つに、スピードのあるドリブルからのシュートがある。今季のドリブル数は1試合平均3.6回。これはJリーグで10試合以上出ている選手の中では最も高い。

もっとも彼は、止まって足下で受けるよりも、動きながら縦向きパスを引き出し、ファーストタッチから加速して正確なシュートに持ち込むことを得意としている。つまり、ドリブラーでありながら、完全に個で打開するより、周りとのコンビネーションの仕上げにドリブルを付けているのだ。

また、タイミングよくゴール前のスペースに動き出し、速いクロスをボレーで合わせるなど、アクロバティックなフィニッシュも有効なレパートリーとなっており、それが1試合平均2.6本という高いシュート数にもつながっている。

 

Pedro-Yedder

■異なるラストパスまでの過程

ペドロ・ジュニオールが主に2トップで、相棒のFWと組むのに対し、セビージャのエースであるベン・イェデルはホルヘ・サンパオリ監督(現アルゼンチン代表監督)が率いた昨季、主に1トップで起用されてリーグ11得点を記録している。17日に行われたセレッソ大阪との試合では、エドゥアルド・ベリッソ新監督の採用する[4-3-3]のシステムで1トップを担い、2得点と得点力を見せ付けた。

1トップと言っても170センチと小柄。クサビのパスをリターンするようなポストプレーはしばしばこなすが、前線でディフェンスと駆け引きしながら、周りがボールを運ぶ間に鋭く角度のある動きでスルーパスやスペースを突くショートパスに合わせることを得意としている。シュートの数は1試合平均1.4本。FWとしては多くないが、59パーセントという枠内シュート率は、シュート力だけでなく、ゴール前でマークを外してラストパスを受けられるポジショニングによるところが大きい。

C大阪戦ではワルテル・モントーヤのミドルシュートをGKキム・ジンヒョンが弾いたこぼれ球を押し込んで1点目を奪うと、後半には途中出場のホアキン・コレアが獲得したPKをきっちりと決めた。ペドロ・ジュニオールと違い、中央でドリブルを仕掛けてシュートまで持ち込む回数は少ない。

ただし、C大阪戦の40分に左サイドを突破し、フランコ・バスケスの惜しいヘディングシュートを演出したように、ワイドに流れた場合は、単独のドリブルからクロスに持ち込むような形もオプションとしている。

両者の比較で興味深いのは、セビージャのドリブルが1試合平均19.1本で、同15.3本の鹿島より多いこと。セビージャは周りの選手がドリブルを織り交ぜて切り崩し、最後はベン・イェデルが少ないタッチでフィニッシュする形を持っている。それに対して鹿島は、周りは少ないタッチのパスで、最後にペドロ・ジュニオールがスピードに乗ったドリブルからシュートという王道パターンがあるのだ。

ただし、リーグ内の順位を見ると鹿島のドリブル回数は3位で、セビージャは8位。このデータから、全体としてスペインのクラブの方がチャンスメイクにドリブルを使う傾向が強いことが分かる。そうした違いもあり、2人のストライカーにラストパスが渡る過程に注目しても面白いはずだ。

文=河治良幸