チーム内序列:レギュラー候補
ノルマ:イヘアナチョとスリマニとのレギュラー争いに勝ち、定位置を確保
目標:昨季は3得点に終わったリーグ戦での二桁得点

文=田嶋コウスケ

■ライバルのポテンシャルは折り紙付き

「レスターにとって良い補強になったし、ケレチ・イヘアナチョにとっても素晴らしい移籍だ。前所属先のマンチェスター・シティで、彼は起爆剤だった。あらゆる所で戦いを仕掛け、ベストを尽くしてゴールを決める。今後、彼がジェイミー・バーディーとどのように相互作用していくかも興味深い。岡崎慎司と同じ役割をこなすのか? 岡崎がレギュラーポジションをキープするのか? あるいは、チームがさらに冒険的な布陣を採用するのか? クレイグ・シェイクスピア監督が従来の4−4−2や4-4−1−1を用いるかどうかは分からないが、イヘアナチョは良い補強になったのは間違いない」

こう指摘するのは、元フランス代表FWで現在は英テレビ局『スカイスポーツ』で解説を務めるティエリ・アンリである。

アンリの言葉通り、マンチェスター・Cから獲得したイヘアナチョはレスターの力になるだろう。20歳のナイジェリア代表FWに支払った移籍金は2500万ポンド(約36億円)。金額の大きさもさることながら、特筆すべきはそのポテンシャルの大きさだ。

2014年にマンチェスター・Cに入団すると、当時18歳の2015−16シーズンにトップチームデビュー。マヌエル・ペジェグリーニ前監督の信頼も厚く、公式戦35試合に出場、14ゴール・7アシストを記録した。鋭いゴール嗅覚を活かした決定力の高さが一番の持ち味で、シュート精度も高い。20歳とまだ若く、成長の大きな伸びしろも秘めているのポイントだ。プレミア挑戦3季目を迎える岡崎にとって、このイヘアナチョがポジションを争う最大のライバルになりそうだ。

■岡崎に付け入る隙があるワケ

ただし、付け入る隙がないわけではない。イヘアナチョのウィークポイントは希薄な守備意識。プレースタイルがジェイミー・バーディーと被っている点も起用に難しさがある。

マンチェスター・Cではボールを失っても敵を追いかけない場面が多く、こうしたことがFWにもディフェンスを徹底させるジョゼップ・グアルディオラ監督の構想から外れる引き金になったとみられる。レスターでも2トップにバーディーとイヘアナチョを並べると、守備のバランスとプレッシングの精度が悪化し、得意のショートカウンターを繰り出すチャンスも減ってしまいそうだ。

対照的に、岡崎の持ち味はチームに活力を注入するハードワークにある。プレッシング時における敵の追い込み方も的確で、「速さのバーディー」と「献身性の岡崎」という補完関係も強固。攻守のバランスを最適にする岡崎の投入効果はクレイグ・シェイクスピア監督も強く認識しており、少なくとも格上クラブとの対戦時には日本代表FWを先発させるだろう。

ただ、岡崎本人としては、チームプレーを円滑にさせるだけの“脇役”に甘んじるつもりは毛頭ない。自分の役割をこなしながら、いかに得点力を高めるか。ハードワークや守備での貢献度は広く認識されているだけに、得点数を伸ばすことがもう一歩、前に進むためのテーマになる。昨季終盤にも決意を次のように明かしていた。

「自分が一番できなかったことは、やっぱり点を決めきれなかったこと。僕がチャンスをしっかり決めて、7〜8点取っていれば、また状況が違っていたかもしれない。ちょっとやそっとじゃ、今の立ち位置は動かないと思っています。それを変えるには、何試合もゴールを決める、もしくは定期的にゴールを決める。1シーズンで10ゴール以上とったときに何かが変わるかもしれない。ただ、それはすっごい、ハードル高いですよね? でも、そういうことを追い求めにプレミアリーグにやってきたので」

ハードワークというストロングポイントでチームのパフォーマンスを昇華させ、且つゴールを貪欲に追い求めてチャンスをモノにする──。岡崎の言葉通りハードルは極めて高いが、その壁を乗り越えようという気概に満ちている。

まずは11日に行われるアーセナルとの開幕戦で積極的にゴールを狙いたい。

文=田嶋コウスケ