決して“懐古厨”になるわけではない。今もこれからも、フットボールは面白く、魅力的であり続けるだろう。

だが、昔話をするとき「あの頃は熱かった」と言いたくなる時代を誰しもが持っている。今をおとしめるのではなく、素晴らしくて懐かしい思い出として、心の中に残っている瞬間があるからだ。

1990年代から2000年代前半にかけ、ラ・リーガ(リーガ・エスパニョーラ)の熱狂を心のなかにとどめている人なら、この男の名前を聞いただけで数々のシーンが浮かんでくるのではないか?

フェルナンド・モリエンテス――。

ラウール・ゴンザレスとともに“史上最高の2トップ”としてレアル・マドリーに数々の栄光をもたらした名ストライカーである。その後、モナコやリヴァプール、バレンシアといったクラブでも活躍した元UEFAチャンピオンズリーグ得点王はこの度、ラ・リーガのアンバサダーとして来日。忙しいスケジュールの中、『Goal』と『DAZN』の独占インタビューに応じてくれた。

白い巨人のレジェンドは、現在のマドリーをどのように見ているのだろうか?

■レアル・マドリーの哲学は常に同じ

――今シーズンのラ・リーガについてうかがいます。古巣のレアル・マドリーは昨季、4シーズンぶりの優勝を果たしました。今季をどう見ていますか?

基本的にレアル・マドリーの哲学は常に同じです。守備面でリスクを背負いながら多くの選手で攻撃していくこと。素晴らしい選手でチームを作ること。(ジネディーヌ)ジダン監督も、昨シーズンと同じようなスタイルを目指していくのではないかと思います。

――移籍市場に目を向けると、ハメス・ロドリゲスとアルバロ・モラタがマドリーを去りました。補強しなければいけないポジションはどこになりますか?

まずハメスが抜けたところには、移籍してきたダニ・セバジョスが入ると思います。モラタが抜けてできた穴に関しては、もしかしたら新しい選手と契約して埋めるかもしれませんね。まだ市場はしまっていませんから、話はあるでしょう。ただし、競争力のあるチームなので大体どのポジションにも2人ほど素晴らしい選手がいる。(補強がなくとも)大丈夫ではないかと思います。

――2人ほどの選手が出場機会を求めてチームを去ったように、マドリーではなかなか若手の出番がありませんよね。例えば、マルコ・アセンシオは「スペイン代表に入る力がある」と言われるほど、才能に溢れた選手です。それでも十分な出場機会は得られていません。一度、移籍して経験を積む必要があると感じますか?

私はそうは思いません。残ったほうがいいと思いますよ。昨シーズンも出場機会はそこそこ与えられていましたし、マドリーでやっていける選手だと思います。ポジション争いは厳しいですが、ジダン監督も気に入っているのではないかと感じます。今、ハメスとモラタが抜けたので、逆にチャンスは増していますしね。

――先ほど、モラタの抜けた穴が埋まりきっていないという話がありましたが、クラブに獲得を進言したい選手はいますか?

なかなか難しいですね。例えば(キリアン)ムバッペのうわさ話は聞きますが、彼がモナコから出ることはないのではないかと思います。まだ若いですから、あと一年くらい経験したいのではないかと。そういう意味では、ジダンはモラタの穴を埋めるという考えより、ベンゼマとロナウドの2トップにして、アセンシオを左サイドで起用するという考えに傾くかもしれませんね。

――なるほど。ジダン監督の名前が出ましたが、現役時代を知る仲間として彼をどう見ていますか?

選手時代もそうでしたが、とても落ち着いていて、クリアなビジョンを持っています。監督としてもそれを発揮しているのではないでしょうか。ただ選手と監督は違います。監督の場合、戦略や技術的な面を選手以上に考えて学ばないといけませんからね。よくやっていると思いますよ。

――元チームメートとして、「すごい!」と思ったエピソードはありませんか?

具体的な記憶や思い出はあまりないのですが、素晴らしいプレーヤーであり、コーチだったので、一緒にプレーできて多くのことを学びました。性格的にとても静かで落ち着いている人ので、なかなか象徴的なエピソードを挙げるのが難しいんですよ(笑)。

※第3回に続く

インタビュアー=大川佑(Goal編集長)

■フェルナンド・モリエンテス独占インタビュー掲載予定

第1回  元スペイン代表FWが抱く日本の印象と、鹿島対セビージャの注目点は?
第2回  モリエンテスに聞く古巣レアル・マドリーとジダン監督
第3回  モリエンテスが予想するリーガ優勝クラブは?レアル、バルサではなく…
第4回  「乾貴士と柴崎岳に良い印象を持っている」と元スペイン代表FWが語るワケ