サラーがポジションについた時、ウィガン・アスレティックのディフェンダー3人が彼を囲うようにしてマークしていた。しかし彼のスピードには3人のディフェンダーたちも追いつかない。“レッズ(リヴァプールの愛称)”のユニフォームを着た最初の45分を鮮やかにスタートさせ、角度のないところから精密なシュートを放つなど、さらにその存在感をアピールしていた。そしてその実力の高さが証明されたのは前半終了間際の出来事だ。彼は早くもリヴァプールでの初ゴールを決めている。

コウチーニョからロベルト・フィルミーノへパスが渡ると、フィルミーノは自分のことよりチームを優先してサラーにボールを渡した。そしてサラーはそのボールをきっちりと受けウィガンのアレックス・ギルビーによって先制された試合を、タイへと戻したのであった。

HD Mohamed Salah Roberto Firmino

電光石火のような走りと得点を記録したことにより、25歳のサラ―はユルゲン・クロップ監督の求めるワイドアタッカーであることが証明された。予測の正確さ、矛盾のない動き、柔軟性、アタッキングサード内で力を発揮できる能力、ボールを取り返すことへの強い意欲……。その全てを彼は持ち合わせていたのだ。

この日のサラ―は、右サイドバックのトレント・アレクサンダー・アーノルドの印象的な動きを見事に理解し、コウチーニョやアダム・ララーナとのコンビネーションもよかった。また、リヴァプールの新たな9番、フィルミーノがより深い位置やサイドに動いたときは、中央のエリアをケアし、監督の命令である「常にオプションであれ。本職でなくとも、プレーに対する手を抜くな」を、きっちりと実践したのだ。

クロップ監督はサラーのプレーに満足したようで、早くも彼を認めるかのようなコメントを公式サイトの中で残している。

「サラーは非常にファンタスティックな選手で、スピードもある。昨シーズン終了後にも話したが、すでにトップクラスの出来を誇るチームでも、トライすべきことはいくつかあるんだ。例えばスピードをつけたり、フィニッシャーのような選手を置いたり、さらにチャンスメイクを生み出すことを考えるとかね。でもこのプラスアルファの効果を、彼は全て持ち合わせているんだよ。彼には天性の才能がある。最速のスピードでいつまでも走っていられるしね。それは素晴らしいことだよ」

HD Jurgen Klopp

しかしもちろん改善すべき面はある。続けてクロップ監督はこうも指摘している。

「彼はチームが行っている守備のシステムについて知らなかったんだ。だから試合でも全くと言っていいほど守備に関わっていなかったね。僕も驚いて声をあげそうになったくらいさ。でもこれまで全く違う守備の仕方をしていたのだから、今はまだ慣れていなくても仕方がないね」

リヴァプールがサラーをASローマから3690万ユーロ(約47億円)もかけて獲得したことは、ある意味賭けのようなものだったのかもしれない。彼にとってもプレッシャーとなっていただろう。しかし少なくともその金額に見合うだけのプレーが期待できるスタートダッシュは切ったのだ。監督、チーム、ファンの信頼を早くも勝ち取ったサラーは、このままの勢いでシーズンを走り去るに違いない。

文=メリッサ・レディ/Melissa Reddy