皆さん、こんにちは。川崎フロンターレの中村憲剛です。

このたび『Goal』さんで僕の連載がスタートすることになりました。タイトルは『中村憲剛のMSN』です! 『MSN』は「M(マジで)、S(好きな選手を)、N(ノミネート)」の略です(笑)。バルセロナの3人とは関係ない……ということにしておいてください。これから末永くお付き合いいただけたらと思います。それではさっそく本題へいきましょう。

第1回のテーマはズバリ、『2016-2017シーズンのヨーロッパ・ベストイレブン』です。先にお断りしておくと、僕の選ぶイレブンは、たぶんチームとしては機能しません(笑)。その点はご了承ください。いきなり前のほう(オフェンス陣)から選ぶのもアレなので、まずは後ろ(ディフェンス陣)から選んでいくことにしましょう。

[GK]

ジャンルイジ・ブッフォン(ユヴェントス)

Gianluigi Buffon Juventus

まずはGK。ここは……ブッフォンですかね、やっぱり。というか、もう入れてあげたい(笑)。UEFAチャンピオンズリーグ(CL)の決勝でまた負けちゃいましたけど、あそこまで押し上げたのは間違いなく、ブッフォンでしたからね。

円熟味を増したGKとは、こういうものかと。もう名前だけで守れちゃう。相手のほうがシュートを打つ前から「際どいコースを狙わなきゃ」という無言の圧力を感じるわけです。一言で言ってしまえば、存在感。それが圧倒的でしたね。

もちろん、プレーもすごかった。CL準決勝のバルセロナ戦、左手一本で(アンドレス)イニエスタの決定的なシュートを防いだ場面とか。難しいセーブを簡単に見せてしまう。入ったと思ったシュートを止められるわけですから、相手の受ける精神的ショックも大きい。

ビッグセーブをしたあとに「荒ぶらない」のも、相手にとってはきついですよ。渾身の一発を何事もなかったように処理されちゃうわけですから。しかも、ここ数年、パスもつなげるようになった。欲があるんですかね。もっと、うまくなりたいという。あの年齢で、まだ成長している。もう、単純にカッコイイですよね、生き様が。

彼以外ではケイロル・ナバス(レアル・マドリー)も良かった。次点はナバス。あとは、イドリス・カメニ(マラガ→フェネルバフチェ)ですかね。ホント、彼のセービングは超人的。でも、やっぱり、ブッフォンがすごかった。ということで、次はセンターバック(CB)へ。

2017-07-28-kengoNakamura

[センターバック]

セルヒオ・ラモス(レアル・マドリー)
レオナルド・ボヌッチ(ユヴェントス→ミラン)

CBと聞いて、パッと浮かぶのはセルヒオ・ラモスとボヌッチですね。ベタですけど、仕方がない。2人ともハイパフォーマンスを演じていましたから。S・ラモスはパートナーがめまぐるしく代わる中でも安定していて、大事なところで点も取っていた。中でも一番のすごさは闘う気持ち。彼の凄味は全部がそこから来ている気がします。「俺がレアルというクラブを引っ張っているんだ!」という強烈な自負が伝わってくる。セビージャから来た選手ですけど、今や名実ともにレアルのキャプテンですね。若干、熱くなりすぎることはありますけど(笑)。

その意味で対照的なのが、ボヌッチ。いつもクリーンファイト。実際はダーティーな面もあるのかもしれませんが(笑)。攻撃面でも長距離砲(ロングパス)があるんですよね。正直、ここまでの選手になるとは思いませんでした。もう完全にヨーロッパ屈指のCBですね。通年で活躍した人となると、正直この2人以外の選手ってあまり浮かんで来ないんです。だからここは決まりですね。そういうわけで、サイドバック(SB)の人選に移りましょう。

[右サイドバック]

フィリップ・ラーム(バイエルン・ミュンヘン→引退)

[左サイドバック]

マルセロ(レアル・マドリー)

まず右サイドから。ここはやっぱりラームかな。相変わらず何でもできる人でした。だから、現役引退は本当に残念です。僕より若いのに(笑)。彼が抜けて、バイエルンは結構大変だと思います。ラーム以外では、ダニエウ・アウベス(ユヴェントス→パリ・サンジェルマン)が光っていたと思います。バルセロナは最後まで苦しみましたから、彼の穴埋めに。CL準決勝でユヴェントスが勝ち、バルサが負けたのも、彼の“いる”“いない”が大きかったかなと。

Marcelo, Real Madrid, UEFA Champions League, 03062017

左サイドはマルセロの一択でしょうね。守備面でブラジル人にありがちな“軽さ”が減ったぶん、攻撃面の強みが際立ちました。かつては突貫小僧みたいでしたけど、キャリアを重ねて、落ち着きが生まれた感じがします。プレーの選択にも無理がなくなり、周りをうまく使えるようになりましたね。それがアシストの数がぐっと増えた一因かな。それにしても何ですかね、あのタフさは(笑)。ずっと試合に出ているのにケロっとしている。ホント、ブラジル人のSBはすごい。フィリペ・ルイス(アトレティコ・マドリー)もそうですけど。左サイドでは他にモナコのベンジャミン・メンディやパリ・サンジェルマンのレイヴァン・クルザワも印象に残りましたけど、さすがにマルセロには及びませんね。

[ボランチ]

カゼミーロ(レアル・マドリー)

では、いよいよ中盤――。いの一番に「(セルヒオ)ブスケツ!」と言いたいところですが、さすがにここでカゼミーロの名前を挙げないわけにはいかないですね。やっぱりベストイレブンは「結果」も重要ですから。実際、カゼミーロのインパクトは大きかった。

とにかくバランスがいい。潰す力はもちろん、今シーズンはさばく仕事も良かった。やっぱりブラジル人なんだなと。彼が後ろでドーンと構えていることで、ルカ・モドリッチやトニ・クロースがさらに生きたと思います。レアルはチームとしてそこまで組織的な守備をしてないけど、個の力で守れちゃう。カゼミーロはその象徴的な存在だったかなと。

彼以外では、スティーヴン・エンゾンジ(セビージャ)も面白かったですね。ただ、通年となると、尻すぼみの感が否めない。ユリアン・ヴァイグル(ドルトムント)も昨シーズンほどのインパクトはなかったかなと。

それにしても………ブスケツを入れたかった(笑)。今シーズンも普通に良かったですから。ただ、結果が……。いやいや、ここでつまずいていたら、もっと頭の痛い前線の人選が進まないですね。BBCとか、MSNとか……もう、めまいがしてきた(笑)。ここはひとまず、ハーフタイムということで、仕切り直してもいいですか?

2017-07-28-kengoNakamura2

※中村憲剛が選ぶベストイレブン、注目の攻撃陣は!? 後編へ続く。

構成=北條聡