現地時間6月29日にフランクフルトと4年契約を結んだ鎌田大地は、チーム始動日の7月1日からトレーニングに参加。アメリカ遠征(6〜19日)にも帯同し、チームメイトとの相互理解やニコ・コバチ監督のサッカーへの理解を深めている。

本稿執筆時点でプレシーズンマッチには2試合中2試合出場。加入後初の実戦となった4日のSVヘフトリヒ(ドイツ8部)戦では4-2-3-1のトップ下としてスタメンに名を連ねると、格下が相手ながら2アシストとまずますのスタートを切った。

1-1の引き分けに終わった8日のシアトル・サウンダーズ戦でも、鎌田は先発に名を連ねた。ポジションは4-3-2-1の2列目、いわゆるシャドーだ。ゴールに結びつく活躍こそ見せられなかったが、22分には相手DFラインの裏を突く絶妙なタッチダウンパスで、ブラニミール・フルゴタのシュートチャンスを演出するなど持ち味を発揮した。

長谷部誠をリベロにコンバートしたように、コバチ監督が「身体のサイズがあり、洗練されたスピードと技術を持ち合わせる」(フレディ・ボビッチCEO)鎌田をウイングやボランチ、インサイドハーフで試す可能性もなくはない。ただ、ここまでの起用法を見るかぎり、鎌田が攻撃的MFのレギュラー候補と見なされているのは確かだ。

フランクフルトが昨季同様の3-4-2-1を基本システムに据えるなら、鎌田は2シャドーの定位置を僚友たちと争奪することになる。ライバルはメキシコ代表の技巧派MFマルコ・ファビアン、セルビア代表のミヤト・ガチノビッチ、ドイツU-19代表のアイメン・バルコク、そしてCFが本職ながら2列目にも対応するフルゴタか。攻撃の要として君臨するファビアンを不動と見なせば、実質的には他の3人と1枠を争う構図になる。

ドリブルを得意とするガチノビッチ、パワーと技術を兼ね備えるバルコク、フィジカルに長けるフルゴタと、三者三様の持ち味を持つライバルたちと比較した場合、鎌田はパスセンスで上を行っているはずだ。この中では唯一の新加入選手ゆえにコバチ監督の戦術を知り尽くしていない懸念はあるが、新顔だからこそチームに新たな側面をもたらす可能性を秘めているのも事実だろう。

レギュラー奪取のポイントを挙げれば、コバチ監督の要求に応えながら目に見える結果を残せるか。コンパクトな陣形を保ちながら攻守にアグレッシブに戦う集団を作り上げた指揮官は、アタッカーにも例外なく激しい守備を求める。昨シーズン、ファビアンがチームで2番目に多い10枚、ガチノビッチが同4番目となる9枚のイエローカードを貰ったのは偶然ではない。この両雄とともに2列目での起用が多かったアンテ・レビッチ(今夏に退団)も、やはり10枚と前線でプレーする選手にしては異例の多さだった。

高い位置での激しいチェイシングの実践に加え、カウンター発動時に長駆する走力も求められる。この点に関しては、鳥栖でみっちりと鍛えられた鎌田に大きな不安はないだろう。むしろ懸念が生じるのは、早い段階でレギュラーの座を掴んだ場合だ。Jリーグからブンデスリーガに戦いの場を移した鎌田は、ほとんど休暇なしで長丁場のシーズンに臨まなければならない。蓄積疲労に伴う筋肉系のトラブルには注意が必要だ。

先日、ケルンの大迫勇也は飛躍できた一因として、チームメイトに自分の力が認められたことを挙げていた。コミュニケーションも重要だが、なによりピッチの上で結果を残すことは当然ながら鎌田にも求められる。7年前、21歳にしてブンデスリーガを席巻した香川真司も、やはり結果を残しつづけることで周囲を認めさせたのが大きかった。

まもなく21歳の誕生日を迎える鎌田の新たなチャレンジに期待したい。

文=遠藤孝輔