地域に根ざした大衆的な中華料理店「町中華」にスポットが当たって久しいが、同じように地域に根ざしたゴルフショップといえば「ゴルフ工房」がある。経験豊かなクラフトマンが使い手の要望に合わせ、ヘッドとシャフトを組む「カスタムクラブ(地クラブ)」が人気だ。そこで、人気工房の「飛ぶスペック」を週イチで紹介! 試打者はゴルフダイジェストで四半世紀にわたり世に出たほぼすべてのクラブを打ってきた堀越良和プロだ。

上級者を唸らせる美しい“顔”と“素直な挙動”

連載第1回目は、昨年の10月にビル改修工事のため江東区南砂へ一時移転している「ゴルフレンド日本橋」の店主・大野和昭さんオススメの1本。

「『ゴルフレンド日本橋』には競技ゴルファーが多く集まるので、うちの工房が薦めるヘッドは、まず構えやすい“顔”であることが重要です。そして、打ってみるとインパクト音は上級者が好む締まった音で、球離れが遅く、コントロールできるイメージを打ち手に持たせてくれます。とはいえ、しっかり初速は出ますし、何より低スピンなので、『飛ぶ』と評判です。シャフトの振動数は220 cpmと軟らかめなので、ヘッドスピードが速いと暴れそうと思われがちですが、変な挙動がなく、振れば振っただけ応えてくれるシャフトです」(大野さん)

●●ヘッド/ムジーク オンザスクリュー ブラック エクスパイヤー(10.5度)

ムジーク初のマルチコンポジットヘッド。フレームとフェースは811チタンを採用した一体成型で軽量化を実現し、フェース周辺部は2.55ミリ、フェースセンター部は2.8ミリと周辺薄肉化設計。軽量かつ高強度のカーボンクラウン&ソールに、ヘッド後方には鋳造アルミバンパーを搭載することで、余剰重量が生まれ、深・低重心設計になっている。また、ロフト角やライ角を調整してもシャフトが回転しないオリジナルスリーブを採用し、スパインやグリップのバックラインの位置を考えずに調整できる。 価格(税込)/10万7800円

●●シャフト/シンカグラファイト ジンガー5(45.5インチ/マルチフレックス)

シンカグラファイト ジンガー5切り返しの間とタメを手元側の大きなしなりとトルクにより、増幅する設計を採用。しなりとトルクの大きなシャフトはスピン量の増加や、シャフトが暴れやすくなるが、シンカグラファイトならではの設計とシャフト巻き技術で克服。価格(税込)/6万500円

弾道が安定し、平均飛距離が伸びるクラブ

ここからは堀越プロの試打結果とインプレッションをお届けしよう。

まず、アドレスでの印象を聞くと「トウ寄りの後方(時計の文字盤でいう1〜2時方向)にボリュームがありつつも、フェースのヒール側が少し出ていて、バランスの取れた形状です。ロフト角が10.5度ありますので、その分、フェースが見えやすく、ややつかまってくれそうな顔をしていますが、かぶって見えることはないので、本当に構えやすい顔です。ムジークのヘッドは昔から知っていますが、丁寧な造りは変わってないですね」と高評価。次にワッグルすると「おっ、と声が漏れてしまうくらい、シャフトは緩めですね。アベレージゴルファーだと上手くタイミング取れるか少し心配です」とのこと。

「では、打っていきます」と1球目。ややトウ寄りでインパクトするも、弾道計測器(ラプソードMLM2PRO)では、真っすぐの弾道。「打感が抜群にいいですね。そして、ヘッドとシャフトの組み合わせがいいので、振りやすい。『初心者が性能を最大限に使えるのか』と言うと厳しいですが、このクラブで真っすぐ打てるということは手ではなく体で打てている証拠。なので、本当に上達したいゴルファーなら、腕前を問わず試しても問題ないでしょう」。

2球、3球とトウ、ヒールと打ち分けるも、ラプソードの画面上ではセンターから5ヤードもズレていない。「ヘッドの要素もあると思いますが、曲がり幅が少ないのはシャフトのおかげだと思います。低スピンなので、曲がり幅が抑えられている印象です。また、芯がヒール寄りにあるのか、ヒールヒットでも初速の落ちが少ない。この点はヒール寄りでインパクトしてしまうアベレージゴルファーにもやさしく感じる要素だと思います」という。

ヘッドスピード42m/s前後で5球を打っての平均は下記のとおり。
ボール初速●63.0m/s
打ち出し角●11.1度
スピン量●2573rpm
キャリー●227.0Y
総飛距離●248.9Y

●総括

「構えてみると、『左に行く』とか『抜けそう』とか、そういう悪いイメージがまったくわかない、本当に“いい顔”です。ただし、10.5度のヘッドにしては、打ち出し角の平均が11.1度ということで、少し低めという印象です。おそらく重心がそれほど深くないのだと思います。また、シャフトの挙動は素直ですが大きく、トルクがあるので、切り返しが速いゴルファーよりも、ゆったりめなタイプがいいでしょう。打ち出し角がそれほど高くなく、10.5度のロフト角でスピン量が2500rpm台とクラブとして低スピン性能が高いので、HS43m/sくらいは欲しいですね。HS41m/sだと球がドロップしてしまう可能性があります。少しヘッドスピードが速いゴルファーが方向性の良い、安定した飛距離が出せるクラブだと思います」(堀越プロ)

ゴルフレンド日本橋

店主の大野和昭さんはクラチャン経験のあるトップアマ。大野さんの話はゴルフのヒントになり、大好きなゴルフ談義ができると、いつもシングルやクラチャンレベルの常連たちで賑わう
住所/東京都江東区南砂1-9-7