ブライソン・デシャンボーが「48インチをテストする」と公言したことで、PGAツアーではにわかにプチ“長尺ブーム”状態に突入しつつあるが、男子ツアー「三井住友VISA太平洋マスターズ」を現地で取材中の週刊ゴルフダイジェストのツアー担当・ケンジロウによれば、日本にもジワジワと「長尺化」の流れが来ているという。現地からレポート!

こんにちは、ケンジロウです。今週はマスターズウィークですね。皆さん寝不足じゃないですか? 私も現地オーガスタから記事をお届けします、、、と言いたいところですが、実は同じマスターズでも私は“三井住友VISA太平洋マスターズ”の担当。静岡県の御殿場市より情報をお届けします。

ということで、今週は男子ツアーの4戦目、太平洋VISAマスターズです。今年は試合が飛び飛びなので、選手たちも試合のリズムをつかむのは大変ですが、来年までのスケジュールの中で少しでも今年のうちに成績を出しておきたいというのが本音のところでしょう。

さて、VISAの練習日に取材していて気づいたことがあります。アメリカのPGAツアーで起きている「長尺化」の流れが、じわじわと日本に来ているということです。

長尺と言ってもパターじゃありませんよ。ドライバーの長さの話です。情報の早い方はご存じかと思いますが、アメリカではトップ選手の何人かが長尺ドライバーをテストしていて、すでに実戦投入している選手もいます。

今回のブームの震源地はブライソン・デシャンボーでしょう。デシャンボーが48インチを試し、マスターズに向けてさらなる飛距離アップを計ってきたのは既報の通り。そこに触発されてかフィル・ミケルソンは47.5インチを実戦使用、アダム・スコットも46インチに長さを伸ばし、さらにビクトル・ホブランは48インチと47インチをテストし、データ上はいい数値が出たと言います(実戦投入はまだ)。

2、3年前までは44.5インチとか44.75インチなどの短尺を使う選手が多く短尺ドライバーでミート率を上げて飛ばすというような短尺ブームが来ていたのが、ここにきて形勢が一気に変わりましたね。横の打席で長尺を打っているのを見たらPGAツアーのトップ選手たちが刺激を受けないわけないですよね。まだテストをしていない選手も、今週のマスターズが終わったら確実に試すでしょうね。

これだけ流行ると来年以降発売の市販ドライバーの長さにも影響が出てきそうな気がします。

さて、話を日本に戻します。太平洋クラブ御殿場コースの練習場で選手の動きを見ていると、すでにアメリカの情報をキャッチしてか、長尺のテストをしている選手がチラホラいました。

そのうちの一人がPINGと契約の大槻智春選手。ドライバーを打ってはカチャカチャして、シャフトを入れ替えて、1球ごとにトラックマンの数値とにらめっこしていました。

その数値をのぞいてみると……。

ヘッド速度51.3m/s ボール初速76.3m/s スピン量2687回転  ミート率1.49 キャリー288ヤード  トータル300ヤード という数値。

今までは45インチのG400MAXドライバーを使っていて、今回はG425MAXの46.5インチをテスト中。聞けば普段はヘッド速度50m/sぐらいだそうで、1.5インチ伸ばしたことで、ヘッドスピードがだいたい1m/s近く上がっていることになります。最初は10.5度のロフトを試しましたが、スピンが増えすぎたので、9度のロフトをチョイス。実際にはネック調整機能でロフトを1度立てて8度にしています。

シャフトもグラファイトデザインのプロトタイプシャフト(5X)を長尺用にと特別に作ってもらっていました。クセがなくてハリのあるシャフトとのこと。今週テストするためにあらかじめ用意していたということですよね、大槻選手、情報が早い。

本人に話を聞くと、「アメリカでみんな長尺試しているって聞いて、トライしてみました。キャリーで10ヤード近く上がるなら僕も変えてみたいですね。打ってみた感じ、46.5インチぐらいまでなら違和感なく振れますね」とのこと。

打っている球を見ると、高弾道のストレートボールを連発していました。その後もトラックマンの数値はどの球も似たよう値を出していましたが、PINGのツアー担当の方の発案で、ヘッドのお尻のおもりを重くしてみました。

「球を見ていて、もうちょっとスピンを少なくして球が上がってもいいかなと思い、お尻側を3グラム重くしました」(同ツアー担当)

これが劇的な変化を生んで、「すごい振りやすくなりました」(大槻)と数値が上向きに。

その結果がこちらです。

ヘッド速度52.2m/s ボール初速78.1m/s スピン量2183回転 ミート率1.50 キャリー300ヤード  トータル322.9ヤード

ついにキャリー300ヤードを記録。これだと大槻選手が言っていたキャリープラス10ヤードどころか、12ヤードも伸びています。

グローブを外して満足気な大槻選手に再び話を聞くと……。

「もうちょっとタイミングを合わせられれば、試合でも行けますよね。こうなってくるとドライバー2本入れるのもありですよね。飛ばし用の長尺1本と、狙って飛距離を出す1本と。そうなるとスプーンいらなくなる!?」

予選ラウンドは現状のエースドライバーで行って、決勝ラウンドでは長尺を投入の可能性もあると言っていた大槻選手。現在予選ラウンドを終えてトップと1打差の4位タイ。こりゃ優勝争いで長尺が爆発するかな?

もう一人、長尺を試していた選手がいます。というより、いきなり実戦投入を決めた選手がいます。日体大ゴルフ部2年生の河本力選手です。彼の日本オープンでの活躍は記憶にも新しいかと思います。

今週の試合で45インチのドライバーから46.5インチのドライバーにスイッチ。彼はそもそも320ヤード近く飛ばしますからね。もう飛距離は十分でしょ! と言いたいところですが……。

元々はキャロウェイのマーベリックサブゼロ(トリプルダイヤモンド)にフジクラのベンタスブラック6Xを差していました。

そこから、同じヘッドのロフト8度に替えて、シャフトはベンタスブラック(6X)と同じくフジクラのTR661(TX)の2種類をテスト。水曜日の練習日にコースで試して、最終的にベンタスブラックの46.5インチがバッグに入りました。トラックマンの数値では、ボール初速81.1m/s、キャリー336ヤードを記録。

ボール初速80m/s越えは、PGAツアーの上位クラスですからね。しかもキャリー336ヤードって……。“デシャンボー発長尺ブーム”その波が、日本にも本格的にやってきそうな予感がします。

写真/有原裕晶