男子ツアーに「異変」が起きている。プロ・アマ問わずにハタチ前後の選手の活躍が止まらないのだ。彼ら強い若手たちは、今後日本の男子ゴルフ界を変えていくのだろうか?

「異変」の最初の兆候が起きたのは、やはり2007年だろう。15歳のアマチュア・石川遼がマンシングウェアオープンKSBカップを制したニュースは日本全国を駆け巡り、社会現象となった。2007年といえば今から13年前。現在ハタチ前後の選手が小学校に上がったくらいのタイミング。日本を覆った“遼くんブーム“は、多くの次世代のジュニアゴルファーに影響を与えたと言っていいはずだ。

石川が勝つまで、アマチュアが男子レギュラーツアーで勝ったのは、1980年に倉本昌弘が中四国オープンに勝った一例しか存在しなかった。しかし、その後2011年には松山英樹が三井住友VISA太平洋マスターズで勝利。2019年には同じ試合を金谷拓実が制覇と、アマチュアのツアーでの活躍は徐々に“当たり前“になってきている。

そして、2020年のダンロップフェニックスはプロ転向直後の金谷拓実が制覇。プレーオフを戦ったのは大学生プロ(日本ウェルネススポーツ大学)の石坂友宏。もちろん両者ともプロだが、金谷拓実も東北福祉大4年生であり、大学生同士の戦いだったというのは特筆すべきことだ。

そのうえ、トップ10には米澤蓮と中島啓太、ふたりのアマチュアが名を連ねている(8位タイ)。中島は前週の三井住友VISA太平洋マスターズの3位に続く連続トップ10入りで、もはやいつ勝ってもおかしくない。米澤がマークした最終日の「63」はこの日のベストスコアだ。日本オープンでのアマチュア選手たちの活躍も記憶に新しい。

金谷拓実は、ダンロップフェニックスの初日終了後のインタビューで「アマチュアの頑張りを見て、負けられないと思うか?」と問われ、こう答えている。

「アマチュアだけどプロと同じような実力を持っているし、一緒にずっと過ごしてきたような選手ばかりだし、上手いの知っているし、プロとアマの垣根というのがどんどん薄れてきていると思うし、プロだから負けられないということはなくて、強い人が勝つようになってきたと思う」

ではなぜ彼らはこんなにも強いのか。よく言われるのが、インターネットやYouTubeによって情報の格差が少なくなったことだ。スマホが一台あればトップ選手のスウィングを分析することができ、最新理論にも触れられる。テクノロジーの恩恵という意味では、弾道計測器によって自分の課題を可視化し、効率的かつ合理的な練習を行えることも大きい。

もちろん、ゴルフをはじめた当初から大型のチタンドライバーに慣れ親しんでいることの影響も見逃せない。さらに、トレーニングの重要性に早くから触れていること、ナショナルチームで徹底的にマネジメントを学んでいること……数え上げればキリがないが、かつてのように若者たちがゴルフ場で研修生として働きながらプロを目指して少ない空き時間で腕を磨いた時代と比べたら、圧倒的に上達に寄り道や回り道がない。

世界のスケールに当てはめてみると、今年全米プロを制したコリン・モリカワは1997年生まれ。金谷は渋野日向子ら女子の黄金世代の多くと同じ1998年生まれ。石坂、米澤は1999年生まれで全米オープン2位のマシュー・ウルフと同じ。中島啓太は2000年生まれだ。洋の東西、男女の区別を超えて、ハタチ前後の選手の活躍は際立っている。

ナショナルチームメンバーとして戦う中島や米澤は、金谷と同じく国際大会の経験も豊富で、11月24日現在の世界アマチュアランクで中島は3位、米澤は14位につけている。その実力は、すでに世界基準にある。

今の大学生世代は男子の“黄金世代“。そんな風に言われることもある彼らは今後、日本のゴルフ界を変えていく存在となるのか? 当分の間、目が離せそうにない。

撮影/姉崎正