2019-20シーズンのツアー選手権を制し、見事年間王者に輝いたダスティン・ジョンソン(DJ)。同シーズンではユーティリティや7番ウッドなど“やさしいクラブ”を投入し話題となったが、そのクラブセッティングを在米ゴルフジャーナリストアンディ和田がレポート。

6月にPGAツアーが再開してからもっとも稼いだのはダスティン・ジョンソン(以下:DJ)です。3勝を挙げ、メジャーでは優勝に届きませんでしたが全米プロ2位、全米オープンでは6位。ツアー選手権も制して年間王者に輝き、4カ月弱で約22億円を稼ぎ世界ランク1位に返り咲いています。

さて、そのDJですが、クラブをいろいろ使い分けていてクラブマニアの間で注目されています。 「トラベラーズ選手権」では19度と22度のユーティリティ(SIM MAXレスキュー)2本を使って優勝、その後「ツアー選手権」では同じくSIM MAXの7番ウッドをバッグに入れて優勝を挙げます。

そして「全米オープン」では契約メーカーであるテーラーメイドの「SIM DHY 2番」というロングアイアンを試していました。先週テーラーメイドでツアー担当を務めるキース・サバーバロ氏と直接話す機会があり、DJのクラブのこだわりについて話を聞く事ができたのでご紹介致します。

サバーバロ氏はアリゾナ州立大学ゴルフ部出身でフィル・ミケルソンに次いで2番手でプレーをしていた経歴があり今でもアンダーパーでプレーをします。 DJがプロ転向時からクラブフィッティングを担当し、ツアーでキャディを務めたことがあるくらい信頼関係があるんです。

以下、インタビュー形式でそのときの模様を振り返ってみます。

22度のUTで250ヤードを打ち、7番ウッドで255〜265ヤードを打つ

アンディ和田(以下、和田):DJがこの夏は素晴らしい成績を収めていますね。ユーティリティを2本使用して優勝というのも驚きましたが、その後7番ウッドというのもパワープレーヤーのDJらしくないというか、意外な選択と感じました。どのような背景、経緯だったのですか? クラブマニアのためにいろいろ細かく教えて下さい。

キース・サバーバロ(以下KS): まずはユーティリティクラブを使った経緯を話しますね。 ツアー選手が集まる撮影会(昨年11月)で選手たちは新製品を試打していたんです。 力があり、スピードがでる選手はどちらかというとこれまでユーティリティには興味を示していませんでした。つかまりすぎて左にミスをするのを嫌がる傾向があったんです。

我々も実際のところ撮影会に来ていた主力選手達が興味を持つという期待はなかったのですが、ロリー・マキロイが「これメチャメチャ良いじゃん!」って一目惚れしてくれて、ツアー選手の間で年明けからブレークしました。

選手からは、5番ウッドと同じかもう少し距離を出すことができるという点と、高さのコントロールがしやすいという意見が多かったですね。ロリーは「これは左に引っかけないし、7番アイアンを振っているぐらいのやさしさだよ」と話していました。DJは19度のモデルがとても気に入って使用していました。 260から265ヤードぐらいをカバーします。 その後DJからのリクエストで250ヤードぐらいの距離を打ちたいと相談され22度のUTを用意しました(シャフトはプロジェクトX HZRDUS Black 105 6.5 TX)。

和田:なるほど、その後DJは7番ウッドを使用して大きな大会で素晴らしい成績を残しましたが、使い始めたのは全米プロからですか?

KS:はい、そうです。 全米プロが開催されたTPCハーディングパークでした。 ユーティティーよりも更に高い弾道の球が打てるクラブが欲しいというリクエストがあり、ロフトのあるフェアウェイウッドを用意しました。最初は5番ウッドを試したのですが270-275ヤードのキャリーがあり、彼の求めている距離よりも飛び過ぎてしまうという結果でした。

しっかり高さが出て255〜265ヤードの距離をカバーするクラブだと7番ウッド(シャフトはプロジェクトX HZURDUS Black 95 6.5)が良かったんです。 ご存じのようにツアー選手は試合会場のコース設定や天候に応じてクラブを変えて対応します。 ツアー選手権開催のイーストレイクの最終ホールは左足下がりになるので高さを出せるクラブは安心があったと思います。

和田:全米オープン開催のウィングドフットでは2番アイアンを試したようですね

KS:はい、全米オープンではティショットで多用したいというリクエストで2番アイアン(SIM DHY 2番 プロジェクトX HZRDUS Smoke Black X)を用意しました。ロリーからも似たような相談を受けますが、彼らは250-275ヤードの距離をカバーするクラブの選択で高さとスピン量、そして操作性を求めています。

クラブの長さももちろん関係していますが、一番低くコントロールできるのはドライビングアイアン、中弾道がユーティリティ、そして一番高弾道なのが5番または7番ウッドです。もちろん気候も影響しますし、 風が強いときは7番ウッドを使う可能性は低いですよね。

和田:なるほど、そうなんですね。 最後に教えてほしいのですが、ツアー選手が使う「SIM MAX レスキュー」は市販モデルとなにか違う点があるのですか? たとえばトウ側内部に接着剤や消音材を流してウェート調整がしてあるとか?

KS:いいえ、内部はまったく変更していないんですよ。クラブヘッドをDJ用にセッティングをしたということではありません。今年のモデルはツアー選手に人気だったので来年以降のモデルでは選手からの意見や要望を取り入れて更に進化したツアー選手にも一般ゴルファーにも気に入ってもらえるユーティリティを用意できるようにプランを立てているところなんですよ、期待していて下さい。

和田:そうですか、それはとても楽しみですね。 今日は話を聞かせていただきありがとうございました。

(以上、インタビュー)

さて、DJは全米オープン終了後にしばらく休暇を取って釣りに行くんだと話していました。マスターズまでいよいよあと5週間です。 10回目の挑戦となるオーガスタで選ぶ260ヤードのクラブはどうなるのか? そしてどのようなパフォーマスを魅せてくれるのか? 現時点での優勝オッズはDJ、デシャンボー、マキロイ、ラームの4人が並んで人気となっているようです。