全英オープン最終日。最終組ひとつ前のスミスとヤング、最終組のマキロイとホブラン、この4人による優勝争いとなり、64の8アンダーで回ったスミスが逆転で優勝したが、4人がティーショットで打ち続けていたのが、“振れば飛距離が出て”、“時には刻める”、飛ぶフェードボールだった。

今年のセントアンドリュースは、大会前から、「地面が硬く、落ちてからのランがすごい。そのため、フェアウェイに点在するポットバンカーがいっそう効いてくる」と言われていた。

一方、18ホールのトータルヤードは7297ヤードと、メジャーのなかでは短い。パー5は、2ホールだけだが、1オンできる可能性のあるパー4が、7番・9番・12番・18番と4ホールあり、6番・16番も風次第では「あわよくばグリーンエッジ」というセッティング。

当然、飛距離の出る選手が有利になるが、ただ飛ばせばOKというわけではなかった。「グリーンに近づけながらも、ポットバンカーを確実に避けなくてならない」。「キャリーを出しながらも、転がり幅を計算していきたい」。

“飛ばしながらも、止める”。ある意味、ゴルフ球技の原点でもあり、究極でもある難条件をクリアするショットが、上位4人の選手が打ち続けた「飛ぶフェード」だった。

最終組でスタートし、優勝に最も近いと評されていたマキロイは、ここ2年で持ち球をドローからフェードに替えた。テレビ解説で青木功プロが言っていたように、最終日、ティーショットの安定感はピカイチだった。300ヤード付近で口をあけるバンカーをキャリーで越すフェードはマキロイならでは。

バンカーの配置と風向き次第では、曲がり幅を大きくしてバンカーの手前に刻むフェードも駆使していた。ただし最終日は、3日目までとは違い、パットが決まらなかった。

ホブランのフェードは、マキロイほど飛距離が出ないが、低スピンで風に強く、曲がり幅も小さくストレートに近い。最終日も狙ったエリアを確実に捉えていった。ドライバーを使わないレイアップも多用した。

粘り強くプレーしていたが、唯一のティーショットのミスがバーディ直後の13番で出てしまう。280ヤード先のポットバンカーにつかまり、2打目を出すだけで、結局ボギー。流れを悪くして4人による優勝争いから脱落していった。

最終ホールで1オン&1パットのイーグルを見せて2位に入ったヤングは、まさにフェードで飛ばすパワーフィッターの代表的な選手。飛ばすうえに、マキロイ以上に高さを出すのも得意で、落ちてからのランを狙い通りに抑えることができていた。

最終ホールだけでなく、最難関の17番、ホテルギリギリのティーショットはオールドコースホテルの屋上よりも高いフェードでフェアウェイのベストポジションに置いた。セカンドもスピンの効いたショットでバーディチャンスにつけたが、パットが決まらずにパー。終盤のもったいないこの1打が響いた。

スミスは、この3人の安定感のさらに上を行くゴルフを見せた。ティーショットは、この飛ぶフェードを軸に、300ヤードから350ヤード先のフェアウェイをとらえ続けた。唯一、ドローで攻めたのが15番パー5。ティーショットで320ヤード飛ばして、2オンを狙った2打目はグリーン奥へ。そこから寄せを決めて5連続のバーディ。ここで首位を走っていたマキロイとの形勢を逆転させた。

飛ぶフェードに加えて、ここ一番で、ドローまでも操りきったスミスのショット力。優勝の原動力であり、持ち前のパッティングも冴えていた。

150回記念大会、ゴルフの聖地・セントアンドリュースを攻略した弾道・飛ぶフェード。そういえば、今年の4月、「ドローが絶対有利」と言われるオーガスタナショナルをフェード一辺倒で制したのは、S・シェフラーだった。これから先、世界のツアーで「必須の弾道」になりそうだ。

写真/姉﨑正

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