PGAツアーでフィル・ミケルソン以来、33年ぶりのアマチュア優勝を飾ったニック・ダンラップ。優勝した「ザ・アメリカンエキスプレス」3日目に60のビッグスコアを叩き出したスウィングをみんなのゴルフダイジェスト編集部員でプロゴルファーの中村修が解説。

幼少期から突出した才能を発揮していたというニック・ダンラップ。PGAツアーのアマチュア優勝がミケルソン以来なら、「全米ジュニア」と「全米アマ」の2冠を達成したのはタイガー・ウッズ以来というので、スター候補というのは間違いないでしょう。とはいえ、プロデビュー戦となった「AT&Tペブルビーチプロアマ」ではいいところなく最下位に。2人のレジェンドの軌跡をどこまで辿れるか、それとも追い越すのか、これからの活躍に期待ですね! では、スウィングをじっくり見てみましょう。

アドレスは少し背中を丸めていますが、トップではしっかりと胸郭をターンさせ胸を張っています。股関節の角度をキープするために右の太ももに張りが見て取れますが、飛ばしのエネルギーを蓄える下半身の強さを感じられます。

足裏にかかる圧力を計測できるスウィングカタリストの分析では、始動で左から右、切り返しで左、インパクトで右、フィニッシュで左、つまり左→右→左→右→左と5回地面を踏み込むように荷重されているといいます。そうやって地面を踏み込むことで回転力に変換し、クラブを効率よく加速させています。

左右両足の踏み込むタイミングをイメージしながらダンラップのスウィングを見ると、見え方も変わってくるのではないでしょうか。そうやって踏み込むタイミングとクラブを振るタイミングを同調させると体の動き出しの順番が理解でき、高い再現性のスウィングを習得できます。

インパクトでは左腕よりも右ひじが低いことで“手元の通り道”を確保している点と、お尻がボール方向に近づかない点も真似したいチェックポイントになります。

右ひじが左腕より下にあるとインサイドからクラブを下ろせたチェックポイントになりますし、お尻がボール方向に近づかなければ、前傾姿勢をキープしたまま骨盤をターンさせられたことになります。

アプローチ練習の一コマを見てみると、両わきにタオルを挟んで練習しています。この古くからある練習ドリルは、手先を使い過ぎず胸をしっかり回して打つことでクラブの軌道と距離感を安定させます。シンプルなドリルですが、続けてみる価値はあるはずです。

優勝した「ザ・アメリカンエキスプレス」ではドライビングディスタンスが2位と、飛ばし屋の片鱗をみせています。そして、パットをことごとく決めて見せた3日目の12アンダーはショートゲームの繊細さも持ち合わせていることを示しました。

ジャック・ニクラスやタイガー・ウッズの記録を破る選手になるのではないかと期待せずにはいられないニューヒーローが誕生しました。

写真/Blue Sky Photos