日本女子オープンでは優勝した原英莉花と、同組でプレーした小祝さくらが大会を大いに盛り上げ、海の向こうの米女子ツアーでは畑岡奈紗が優勝争いを繰り広げ、渋野日向子、河本結も予選を通過。先週はとくに1998年度生まれの「黄金世代」の活躍が目立っていた。なぜこれだけの有力選手が同じ年生まれなのか? ジュニア指導の専門家で代々木高校ゴルフ部監督の吉岡徹治氏に聞いた。

「強い“世代”が生まれる背景を、僕は『四つ葉のクローバー理論』と呼んでいます。普通クローバーは三つ葉ですが、たまに四つ葉を見つけることがありますよね。四つ葉のクローバーはなかなか見つからないけれど、ひとつ見つけると3つもつも見つけられる。つまり、一人“四つ葉”が生まれると、周りはその子に影響されて引っ張られ『自分にもできるんじゃないか』という心理が働き、高め合って行けるんです」(吉岡氏)

そして、1998年度生まれの黄金世代には、3つの「四つ葉」が誕生している。まず最初の四つ葉は、2014年に15歳で「KKT杯バンテリンレディス」に勝った勝みなみだ。

周りのジュニアゴルファーたちにしてみれば、自分たちとジュニアの大会、アマチュアの大会で切磋琢磨しているライバルがプロの試合で勝ったことで、「自分たちでも、やればできる」と感じたであろうことは想像に難くない。

そして、次なる“四つ葉のクローバー”は畑岡奈紗だ。2016年にアマチュアとして史上初めて日本女子オープンに勝利。その年の米女子ツアーの予選会を通過して、参戦初年度は苦戦したものの2年目の2018年、まだ10代のうちに米女子ツアーで勝利を挙げた彼女の活躍は同年代の選手たちにとってひとつの目標となり続けている。

今年日本女子オープンを制した原英莉花は当時を「勝みなみちゃん、奈紗ちゃんたちが勝つのを見て、すげーなーっていう立場」だったと優勝インタビューで振り返りつつも、「練習と、強い気持ちを持っていれば、上には来れるんだなという風に感じています。今でも奈紗ちゃんとは差があると思うけど、1歩1歩詰めていければいいと思います」と語っている。まさに“四つ葉のクローバー理論”だ。

「単独でなにもないようなところから、ポンっと出て活躍するのは難しいものです。グループでいることが大事で、その中で1人が勝てば『私も行けるのではないか』という心理が働きます。ゴルフは個人スポーツとはいえ、仲間で、チームで、切磋琢磨していくことで技術もメンタル面も高め合っていけるんです」(吉岡氏)

そして、黄金世代の3つ目の四つ葉のクローバーといえば渋野日向子だ。2019年に渋野が全英女子オープンでメジャー制覇という偉業を達成したことで、「日向子ちゃんにできるなら、私にもチャンスがあるはず」そう語り、目の色を変えた同世代の選手は多くいた。このように、黄金世代には勝みなみの勝利、畑岡奈紗の勝利と米国での活躍、渋野の優勝と、次から次へとモチベーションを高める“起爆剤”が存在している。

勝みなみ、畑岡奈紗、渋野日向子ら“四葉のクローバー”たちの活躍で名前の通りに輝きを放つ黄金世代。その輝きは、実はそのさらに下の世代にまで影響を与えている。吉岡氏は言う。

「畑岡奈紗選手と(教え子の)笹生優花はアマチュア時代にマッチプレーで戦っていて、笹生が勝っているんです。ゴルフはどのくらい上手くなったのか測りにくいスポーツ。畑岡がさん活躍することで、笹生の中で世界との距離感が測れるようになったのは大きかったと思います」

畑岡と今季2勝とブレークした2001年生まれのルーキー・笹生優花の対戦は2016年の全米アマ準々決勝。当時中学3年生だったら笹生は、畑岡に勝ってベスト4に進出。その経験が、笹生の中に世界との距離を測る物差しとして生き続けていたのだという。

輝きを放ち続ける黄金世代の選手たち。そして彼女たちに影響を受け、彼女たちよりもさらに強い輝きを放とうとする後輩世代の選手たち。次の「四葉のクローバー」は、もうどこから芽生えてきてもおかしくはない。