地域に根ざした大衆的な中華料理店「町中華」にスポットが当たって久しいが、同じように地域に根ざしたゴルフショップといえば「ゴルフ工房」がある。経験豊かなクラフトマンが使い手の要望に合わせ、ヘッドとシャフトを組む「カスタムクラブ(地クラブ)」が人気だ。そこで、人気工房の「飛ぶスペック」を週イチで紹介! 試打者はゴルフダイジェストで四半世紀にわたり世に出たほぼすべてのクラブを打ってきた堀越良和プロだ。

飛距離は欲しいけど人と同じが嫌なゴルファーに

連載第8回目は、工房というよりゴルフのセレクトショップとして全国から顧客が訪れる東京都目黒区にあるヴォクス ゴルフ オブ アメリカの店長・佐々木敦史さんがオススメする1本を紹介! 佐々木さんは父親で代表の均さんが運営するヴォクス ゴルフ オブ アメリカに入社してゴルフを始めたという遅咲きゴルファー。とはいえ、ゴルフ歴は12年で買い付けなどはすべて自身で米国に足を運ぶほどの熱量で店を切り盛りしている。

ギアからアイテム、ウェアに至るまで米国ブランドにこだわるヴォクス ゴルフ オブ アメリカ。「店のルールは①アメリカンブランドであること。②他店で扱っていないモノであること」といい、特に熱量が高いのはアーノルド・パーマー関連のグッズ。顧客はこだわりのあるゴルファーが多く、人と被らないことも重視されているのだとか。「今回、オススメするドライバーは『アダムスゴルフ』のモノです。10数年前にテーラーメイドに買収されたブランドですが、昨年復活。テーラーメイドでは“スピードポケット”と言われるソールのフェース寄りにある溝ですが、これはアダムスが最初に考えた技術で“ベリシティ スロット”と呼ばれています。この“溝”が欲しいからアダムスを買収したといわれるほどで技術力の高さは折り紙付きのブランドです」と佐々木さん。

今回オススメしてもらった『アダムス IDEA』と『ツアーAD DI』の組み合わせはどういうゴルファーに合うのかを聞くと、「まず『IDEA』はテーラーメイドのOEMで作られているヘッドなのですが、そのテーラーメイドで発売してきた『ステルス』や『ステルス2』はつかまりを抑えたモデルでした。この『IDEA』はOEM先の前述した2モデルよりも万人向けというか、アベレージゴルファーでも使いやすいように、球がつかまってしっかり上がるので飛距離が伸びるヘッドです。『ツアーAD DI』はいわずもがな、松山英樹プロやアダム・スコット選手が使用する超ロングセラーモデル。やはりウチならではということで、日本未発売の『ツアーAD DI BLACK』にしました。10年前のシャフトとはいえ高弾道のロースピンシャフトであることから現代のヘッドにもマッチする設計です。手元と中はマイルドに、先端剛性を固くすることによりインパクト時のロスを軽減し飛距離を安定させますよ」とのことだ。

●●ヘッド/アダムスゴルフ IDEA (9.0度)

クラウンにはカーボンを使用し、ソールはチタンがメインとなっているが、トウ側にカーボンを使用し、その対極に“プレシジョンドローウェイト(精密なドローウェイト)”を搭載し、つかまりをよくしている。また、“ベロシティ スロット”と呼ばれるソールの溝は他メーカーよりも広大に取られており、下めに当たったときのボール初速のロスを和らげる効果がある。価格(税込)/6万6000円(USTマミヤシャフト付)

●●シャフト/グラファイトデザイン ツアーAD DI-6 ブラックバージョン(S)

発売は2010年11月というから、すでに13年以上前のモデルで、新製品が出たら消えてしまうシャフトが少なくない中で色あせないどころか、使用プロが増えている伝説級シャフト。先端部分の剛性を高めることで、インパクト時のヘッドのブレを抑え、芯のある深く厚いインパクトを実現。シャフト全体のしなりを重視し、インパクトでボールを押すイメージを出すことでコントロール性を向上させた。日本で発売しているオレンジのシャフトと性能は一緒だが、アダム・スコットの要望でこのカラーに。価格(税込)/4万6200円

HS42m/s以上なら試す価値あり!

ここからは堀越プロの試打結果とインプレッションをお届けしよう。

「アダムスゴルフは懐かしい響きですね。トム・ワトソンが使っていた『タイトライズ』は誰もが一度は手にしたクラブでした。10年くらい前にテーラーメイドに買収された頃は『タイトライズ』や『IDEA』ブランドは出ていた記憶がありますが、いつの間にか消滅していたのですね。復活したヘッドの性能、楽しみです。構えてみた感じは、『少し前のテーラーっぽさ』を感じます。17年に発売した2代目『M2』のような印象です。多くのプロや識者から名器と呼ばれる2代目『M2』はシェイプとしては完成形だったのでしょう。今回の『IDEA』には通じるものがあり、スッとターゲットにスクエアに構えられて据わりもいいですね。ブラックコスメとはいえ、『ツアーAD DI』はやはり『DI』。9.0度のロフト角も含めて、このスペックなら43、いや45m/sのゴルファーがターゲットではないでしょうか」と堀越プロ。

いつもどおり弾道計測器にはラプソード『MLM2 PRO』を使用する。「とりあえず、HS42m/sくらいで打ってみましょう」と1球目を打つ堀越プロ。「シャフトが『DI』なので、そこまでつかまらないだろうと思っていましたが、球のつかまりが半端ないですね!」と驚いた様子。「打感もどことなく2代目『M2』らしさがあります。あの当時はカーボンクラウンの影響からか少し硬めな打感で、この『IDEA』も硬質な感じがします。とはいえ、嫌な打感というわけではなく、弾いてくれそうなイメージが湧きますし、飛んでくれる気がします」と好感触。数球打ってみると、「何球打っても1900〜2500rpmの間に収まっているので低スピン性能が高いといっていいと思います。9.0度のロフトだからかやや球が上がりづらく、このスピン量であればHS42m/sくらいのゴルファーならまずは10.5度を試してみるのもいいでしょう」(堀越プロ)

なお、ヘッドスピード42m/s前後で5球を打っての平均は下記のとおり。

ボール初速●61.3m/s
打ち出し角●13.7度
スピン量●2302rpm
キャリー●223.0Y
総飛距離●244.7Y

●総評

「ヘッド後方のウェイトが利いているため、思った以上に球をつかまえてくれます。また、オフセンターヒットしたときのボール初速の減速はそこまでなく、ミスに強いモデルと言えます。ディープフェースなので重心深度は思ったよりも浅く、低スピン性能に優れ、シャローなヘッドなので投影面積が大きく構えたときの安心感につながります。『ディープフェースなのにシャローヘッド?』と言葉にすると少しおかしな表現になりますが、いいバランスでヘッドを作っている証拠だと思います。この『IDEA』はクルマで例えるとアルピーヌ。メインの製品ではないけれど、こだわりが詰まっていて、好きな人はとことん好かれる。そんなヘッドです。シャフトは『ツアーAD DI』でハードではありますが、ヘッドとのバランスはいいです。HS40m/s以下では少し厳しいかもしれませんが、HS42m/s以上あれば、ロフト角やシャフトの重量、フレックスの変更で低スピンの強い球が打てると思います」(堀越プロ)

ヴォクスゴルフ オブ アメリカ

ファッションの街・自由が丘と、スポーツのメッカ・駒沢公園に程近い、目黒区八雲に位置。洗練された街並みに相応しい、明るくファッショナブルな店内に、よりステイタス性と付加価値の高い、USPGA GOODSを展開。

住所/​東京都目黒区八雲5-14-19 IST 5010 1階
営業時間/12時〜19時(不定休)
☎03-5731-7731