日本でもお馴染み国内ツアー2勝の李京勲(イ・キョンフン)が米男子ツアーのAT&Tバイロン・ネルソンで連覇を達成した。メジャー5勝、ツアー通算52勝の故ネルソンの冠大会での連覇はサム・スニード、ジャック・ニクラス、トム・ワトソン(3連覇)に続く史上4人目の快挙。童顔の30歳が歴史にその名を刻んだ。

バーディ合戦の様相を呈した大会の最終日、松山英樹が最終ホールをイーグルで締めて10アンダー、62の猛チャージで3位タイに食い込み、次週おこなわれるメジャー第2戦の全米プロゴルフ選手権に弾みをつける中、松山を2打上回る通算26アンダーで優勝を飾ったのが李だった。

連覇が決まった瞬間、幼い娘ユナちゃん(生後10カ月)を抱きしめ「家族の前で勝てたなんて本当に信じられない最高の気分。夢を見ているみたいです」と感激をあらわにした李。

初日60をマークしトップを快走してきたセバスチャン・ムニョスに4打差の6位タイからスタートしたファイナルラウンド、パットが面白いように決まりバーディを量産すると12番では林越えの第2打をピンそばに寄せてイーグル奪取に成功。あっという間に首位の座を奪うと17番でアプローチを寄せきれず長いパーパットを残すもののそれを沈めてガッツポーズ。ジョーダン・スピースに1打差をつけて勝ち切った。

20歳で来日し日本でも活躍したが、優しい人柄で関係者の間で人気が高かった。通訳の韓国人女性が「本当に可愛いんです。息子にしたいくらい」といったりライバルたちからも「いいヤツ」という声しか聞こえてこなかった。

13年に日本オープンで優勝した小林正則は国内ツアーデビュー間もない頃の李にこんなアドバイスをしてもらったことがあるという。

「そのころ僕、パッティングがひどくてあまりにも入らなくて悩んでいたら、一緒にラウンドした無口な若者(李)がホールアウトしてから“コバヤシさん、パットがこうなっています”とジェスチャーで教えてくれたんです。気の毒で見ていられなかったんでしょうね。でもそのおかげで日本オープンのときはパットが入ってくれ(優勝した)たんですよ」(小林)

プロゴルファーになる前、李は歌手を目指していたという。歌のレッスンに明け暮れ歌手を夢見ていたが13歳で本格的にゴルフに転向し19歳でプロになった。母国・韓国では韓国オープン2連勝で賞金王に輝いたこともある。日本で2勝を挙げたあと渡米しまずはコーンフェリーツアー(下部ツアー)で実績を積み19年からPGAツアーを主戦場に。昨年のバイロン・ネルソンで初優勝したときは悪天候に苦しんだが、今年は快晴のもと妻、長女に加え両親も応援に駆けつけ最高のフィナーレを迎えた。

連覇でレジェンドと肩を並べた感想を尋ねられると「本当に信じられません。できればみなさんに僕の名前を覚えてもらいたい。ほかの試合でも頑張るので名前を覚えてください!」と柔和な笑み。

いつかカラオケで評判の美声を聴きたいものだ。