「ゴルフ科学者」ことブライソン・デシャンボーの「教科書」であり、50年以上も前に米国で発表された書物でありながら、現在でも多くのPGAプレイヤー、また指導者に絶大な影響を与え続ける「ザ・ゴルフィングマシーン」。その解釈に向かい続け、現在はレッスンも行う大庭可南太に、上達のために知っておくべき「原則に沿った考え方」や練習法を教えてもらおう。

みなさんこんにちは。ザ・ゴルフィングマシーン研究者およびインストラクターの大庭可南太です。さて、前回の記事では「ザ・ゴルフィングマシーン」におけるスウィングの考え方、「構成主義」についてお話しました。

「ザ・ゴルフィングマシーン」では体のいろんな部位や機能を「コンポーネント」と呼称し、それらを選択、組み合わせた結果として、一つの「スウィング」が完成されるという考え方をとっています。このコンポーネントは全部で24個存在するとされており、さらに各コンポーネントは、より上位の分類である「三つのゾーン」に属しています。この「三つのゾーン」は、スウィングにおける基本的な役割、あるいは運動の目的と言えるものです。

今回の記事ではこれらコンポーネントが属している「三つのゾーン」とその役割について紹介します。

ゾーン1「ボディ」:バランス

このゾーンの目的は、「バランスを取ること」であり、スウィング全体の「土台」を構成しています。

このゾーンに分類されるコンポーネント群は、ピボット(体幹のターン)、ショルダーターン、ヒップターン、ヒップアクション、両ヒザのアクション、両足のアクションの6コンポーネントが含まれます。

「ザ・ゴルフィングマシーン」で特徴的なのは、これらコンポーネント群はあくまで「バランス」を取っているだけで、直接的にパワーの源になっているわけではないという考え方をしていることです。パワーは「ゾーン2」のコンポーネントによるものとしていますが、「ゾーン2」のパワーが大きくなるほど、「ゾーン1」のバランス能力も高くなる必要があるとしています。

ゾーン2「両腕」:パワー

このゾーンの目的は、インパクトに向けての「パワーの創出」になります。

このゾーンに含まれるコンポーネント群としては、グリップのタイプとその運用、右ひじのポジション、両腕のモーション、インパクトポジションの決定、アドレス、フェース開閉量の決定、左手首のアクション、ラグロ−ディング、トリガータイプ、パワーパッケージアセンブリーポイント、パワーパッケージロ−ディングアクションなど、13個のコンポーネントが含まれます。

意味不明な単語が並んでいることは重々承知ですが、個々のコンポーネントの説明は今後の記事で紹介できればと思います。

ゾーン3「両手」:方向性

最後の「ゾーン3」の目的は、弾道の方向性、つまり弾道の高低や、曲がりを制御することになります。

このゾーンに含まれるコンポーネント群は、プレーンライン、プレーンアングルの基本とバリエーション、デリバリーパス、リリースの種類の5つになります。

レッスンにおける各ゾーンの関係

ではこれら「ゾーン」という概念が何の役に立つのでしょうか。
実はこの各ゾーンの目的がどの程度達成されているのかを確認することで、レッスンにおいて修正するべきポイントの優先順位が決定するのです。

たとえば思い切りスウィングすると全く当たらないという場合は、バランスに問題があります。よってまずは下半身の動作を少なくして、ハーフスイングなどからインパクトを作る必要があるでしょう。つまりゾーン1のコンポーネント群の修正が糸口になります。

またある程度当たるが飛距離が出ないという場合には、ゾーン2のコンポーネント群がうまく機能していない場合があると考えられます。

そしてある程度バランス良くスウィングできて、それなりヘッドスピードも出ているけれども、異常にボールが曲がるという場合にはゾーン3に問題が発生している可能性があります。

平たく言ってしまうと、私が実際にレッスンを行う際に、スウィング修正の優先順位をつけるとすれば

  1. バランス良く(よろけたりせず)スウィングできているか
  2. 効率的にボールにエネルギーを伝えられているか
  3. ある程度の再現性をもってボールの方向性を制御できているか

という順番で進めていることになります。

この順番をしっかり守らないと、前述の「補填(ほてん)行動」を行うことになり、長期的に見れば成長が遠回りすることがあります。次回はその「補填行動」について紹介します。