当たり前のようにチタンがヘッド素材として使われているゴルフクラブ。今回は、ギアオタクでクラブフィッターの小倉勇人に、素材の歴史について話を聞いてみた。

多種多様な金属素材から、最終的に残ったのがチタン

クラブフィッター小倉です。先日、担当編集の方が「このあいだ、iphone15が発表されましたね。15のProはチタンを使うことで、軽量化したことを売りにしています。ゴルフクラブは、90年代半ばくらいからチタンですけど」なんて言っていました。そこで今回は、ドライバーヘッドの素材の歴史について、改めて考えていきたいと思います。

ゴルフクラブには、様々な素材が使用されていますが、現在のドライバーには主にチタンが使用されています。ドライバーなどウッド類は、40年ほど前は木材で出来ていました。木材の中でも硬い柿の木を使用して本体を作成し、フェースにカーボンプレート、ソールにステンレスを埋め込んだものが一般的でした。

それが1990年代になると技術が進歩し、様々な金属素材のウッドが開発されていきます。私が記憶している限りですが、ステンレス、アルミ、ジュラルミン、チタン、クロームモリブデンなど、多種多様な金属のドライバーがありました。そしてだんだんと絞られていき、最終的に残ったのがチタンです。

チタンが残った理由は、強度を保ちながら軽く仕上げられるという点でしょう。大型化していくドライバーの進化の過程で、最も都合がよかったのだと思います。もしドライバーのヘッドサイズが小さいままだったらチタンではない別の素材がとってかわっていたかもしれませんね。

チタンヘッドは、ボディやフェースすべてのパーツをチタンで構成したフルチタンヘッドと、ボディの骨格とフェースにはチタンを採用し、クラウンやソールなどにカーボン素材を使用したカーボンコンポジットヘッドがあります。

カーボンコンポジットヘッドは、フルチタンのヘッドに比べて、より軽量に仕上げることができます。軽く仕上げることができれば、より大きな余剰重量が生まれ、重心コントロールがしやすくなり、より個性の強いヘッドを作り出すことができるのです。しかし異なる素材を組み合わせるため、成形が複雑になり、コストが高くなりがちです。またインパクト時の反響による打音のコントロールが難しくなるといった側面もあります。

テーラーメイドのステルスシリーズで話題になったカーボンフェースは、ヘッドパーツの最も重い部分であるフェース周りを軽量化できるのが最大のメリット。カーボンフェースは、過去に何度か登場していて、性能的にチタンに見劣りするものではありませんでしたが、フィーリング面で継続的な支持を得られることができず、単発モデルとなっていました。ステルスシリーズのカーボンフェースは、性能はもちろん、フィーリング面も素晴らしい仕上がり。今後どのように進化していくのか楽しみです。

ゴルフクラブにはまだまだ進化の余地が残されていると思います。ただどのように進化していくのかを予想するには、なかなか難しいところがあります。PGAツアーなどのトッププレーヤーの意見と、世界のアマチュアゴルファーの意見が混ざり合い、さらにそこにルールを司るR&Aなどの意向も影響してきますからね。

個人的には、飛距離を抑えるような方向には、いってほしくないと思っています。今までの常識を覆すようなびっくりするような素材とかが見つかってくれないかなぁ。