ベストスコアを出すためには技術だけでなくメンタルマネジメントも大切。プロも教えるメンタルコーチ・池努氏によれば「自己効力感を高めるためのイメージトレーニングは、よい結果にも繋がりますよ」という。詳しく話を聞いてみよう。

2022年もスタートし、今年こそはベストスコアを更新しようと意気込んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか? 今回はキャリアハイを更新するために役立つメンタルマネジメントについて紹介します。

どんな競技でもいいプレーをしたアスリートは次のような言葉を発することが多いです。その言葉とは「今日は試合前からいける気がしていた」という類のものです。つまり、その言葉の意味とは、今日はなぜかいいプレーができるイメージがして、実際のそのイメージに近いプレーができたということです。

みなさんも学生時代のスポーツ経験やゴルフ経験で同じような体験をされたことが、ひょっとしたらあるかもしれません。実際に契約サポートしているプロゴルファーもビッグスコアが出るときは「スタート3ホールの出だしがよく、今日はスコア出るかもと思った」などとコメントするケースもこれまで多くあります。つまり、ハイパフォーマンスが出せるときのひとつの要素として「できる気がする」という根拠のないような自信があります。

もちろん、「今日はいける気がする」という自信があっても技術的要素の影響やマネジメントミスによりベストプレーにつながらないことがありますが、この「できる気がする」という心理的要素はこれまで数多くの競技ゴルファーのメンタルサポートをしてきた経験から、確信を持って重要なポイントだと言えます。スポーツ心理学でもこの一般的に言われる自信、専門用語でいう自己効力感の大きさがパフォーマンス発揮に大きく影響することは数多くの研究からも実証されています。

では、どうすればこの「できる気がする」「今日はベストを出せる自信がある」という自己効力感を高めた状態でゴルフをすることができるかについて解説していきます。

この自己効力感を高める方法の1つとして、実際にツアープロなどにも提供しているメンタルトレーニングに「想像的体験」があります。これはイメージトレーニングのことで「自分がどのようにベストスコアを出すのか?」「自分がどんなプロセスでビッグスコアを出すのか?」を詳細にイメージし、脳内での想像で「ベストスコアを出す」という体験をしていくことです。この想像的体験を積み重ねることで自己効力感が高まると言われています。

実際にこのトレーニングをある女子プロゴルファーに提供した例を紹介します。その選手(以下I選手とする)はJLPGAのツアー選手でしたが私にメンタルトレーニングの依頼がある前、8割の試合で予選が通過できていない状況でした。予選を通過できても決勝ラウンドでは下位に沈んでしまう。このような状況で自分のゴルフにまったく自信がもてておらず「予選ラウンドを通過できるイメージが湧かない」と言っていました。

I選手のその時点での目標は「予選ラウンドを通過し、決勝ラウンドでも淡々と自分のゴルフを発揮し、20位以内に入る」というものでした。そこでその目標に対して「できる気がする」という自己効力感を高めるために次のイメージトレーニングを積んでいくようにI選手へリクエストしました。そのイメージは「予選2日間でどのようなゴルフを展開するか? そして、決勝ラウンドではどんなゴルフを展開するか?」というものです。

一部分だけ紹介すると次のようなイメージです。

『初日から自分の頭で余裕を感じることができている。一生懸命ワンショットに向き合うことができ、自分を追い込まないゆとりと余裕がある。肩の力も抜けている状態でテンポよく、淡々とゴルフができている。』

『ゴルフ面ではショットは○○、アプローチは○○、そして、チャンスが来たらバーディを取るという意識で実際にバーディもきている。』

『パッティングでは○○、○○に集中し、「入りそう」と思えた状態でパッティングすることができている。1日目、2日目と自分らしいゴルフをすることで予選通過することができた。』

『勝負の3日目・4日目は同様にパーをしぶとく拾いながらチャンスをしとめバーディも増えてきた。一生懸命に自分とコースとゴルフと向き合いながら自分のスタイルをまっとうすることができ、最終的に20位以内の成績を残すことができた!』

このイメージトレーニングを朝と夜、1日2回、1週間継続して行うことでI選手は次の試合で予選通過し、その次の試合で実際に20位以内に入ることができ、それ以降の試合は多くの試合で予選通過し、ランキングを上げることに繋がっていきました。

どうですか? 今回はベストスコアを出すためのメンタルマネジメントというテーマで自己効力感を高めるためのイメージトレーニングについて紹介していきました。上記I選手の例のように自身がどのようなプロセスでベストスコアを出すかというイメージを言語化し、イメージトレーニングをすることで自己効力感が高まり、ベストを更新できる可能性にもつながるとと思います。ピンときた方はぜひ実践してみてください。