「MT-28」「MTIウェッジ」など数々の名器を世に送り出し、日米両ツアーで多くのプロ支給品を手がけたクラブ設計家、宮城裕治氏が流行に惑わされないクラブ選びとクラブ設計の真実をクールに解説。今回はロースピン系ドライバーについて話してもらった。

ロフトが立ったヘッドを選ぶ女子プロが多かった

みんゴル取材班(以下、み):モデル名の後に『LS』とか『◆◆◆』とかがついているロースピン系ドライバーはアベレージゴルファーにとってハードルが高めです。それにも関わらずヘッドスピードの変わらない女子プロがふつうに使えているのはなぜでしょう。

宮城:ロースピン系が登場する以前から女子プロは9度とか9.5度といったロフトの立ったドライバーを使っていましたね。逆に男子プロのほうが10度、10.5度を使う選手が多くいます。

み:ヘッドスピードを考えたら逆転していますね。

宮城:男子プロがロフトのあるクラブを使うようになったのは、ボールのスピンが少なくなったことが要因です。それはボールの特性を生かし、打ち出し角を上げて高弾道・低スピンで飛ばすためです。一方、女子プロの多くはキャリーよりもランを重視してロフトの立ったヘッドを選んできました。キャリーが200ヤードしか飛ばなくても、ランで50ヤード転がればいいという考えがあるからです。

み:ロースピン系を使うのも同じ理由ですか。

宮城:もうひとつ考えられる理由はスウィングプレーンの違いです。女子プロは身長に対してレングスの長いクラブを使うので軌道がフラット、また、ほとんどの選手がドローボールを打っています。インサイドのアンダーからヘッドを入れてアッパー気味にロフトを増やしながら当てるので、ロースピン系と相性がいいわけです。

やはりティーショットもキャリーを重視したい

み:なるほど。ヘッドスピードだけでは決まらないわけですね

宮城:ヘッドスピードが目安とよくいわれますが、実際はボールスピードなんです。ロースピン系のヘッドは芯を外すと難しいけれど、女子プロはミート率がいいのでヘッドスピード以上にボールスピードを上げられます。

み:やはりふつうのアマチュアにはロースピン系は難しいですか。

宮城:よほどスピンが多いとか打ち出しが高い人以外は手を出さないほうがいいでしょう。アマでも9度やロースピン系を使っている人はいますがほとんどしゃくって打っている人です。

そもそも日本の女子ツアーはティーショットが打ち下ろしで、ランが出たほうが有利になるコースが多いように思います。打ち上げのホールや米ツアーにある210ヤードの谷を越えないと先に進めないホールなどはキャリーが出ないとお手上げです。やはり、ティーショットもキャリーで計算するべき。ボールスピードに対して適正な打ち出し角とスピン量になるものを選びましょう。

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