第150回「全英オープン」の最終日、首位と4打差の3位タイから出たキャメロン・スミスは8バーディ、ノーボギーでプレーしメジャー初優勝を飾った。最終日のプレッシャーの中、フェアウェイをとらえ続けたスウィングをプロゴルファー・中村修が解説。

キャメロン・スミスがついにメジャー初優勝を飾りました。20年の秋に開催されたマスターズで2位、22年1月のセントリートーナメントオブチャンピオンズで優勝、3月のプレーヤーズ選手権優勝、4月のマスターズで優勝争いの末3位タイと、今季はここまでマスターズを制したスコッティ・シェフラーとともに大躍進の成績を残していました。

現地取材に恵まれたマスターズでは、13番のパー3でトリプルボギーを叩くまでは首位のシェフラーに迫りプレッシャーをかけ続けていました。スミスは、飛距離があるほうではなく、正確なアイアンショットに入り出したら止まらないパットで積極的に攻めるゴルフが特徴です。

今大会でもドライバーのボール初速は175マイル(約78m/s)ほどで、飛距離は300ヤードといったところ。ローリー・マキロイや同組のキャメロン・ヤングの185マイル(約83m/s)をコンスタントに出し平均で300ヤードをゆうに越えてくる選手に比べると劣ります。

しかし、フェアフェイが硬くポットバンカーが点在し、大きく曲げるとブッシュの待つセントアンドリュース・オールドコースで大きく曲げることなく、トラブルらしいシーンはほとんど見られませんでした。ではそのスウィングを見てみましょう。

マスターズで見たスミスのスウィングは立ち姿の美しいアドレスから、よどみなく振り抜き持ち球のフェードをコントロールするのが印象的でした。連続写真を見てみると、左手をかぶせたストロンググリップで右手はほぼスクェアに握っています(画像A左)。テークバックでは右への移動は見られず軸をセンターにキープしていることが見て取れます(画像A右)。

左手をストロングで握っていることで、トップでのフェース向きは空を向くシャットフェース。左手首もやや甲側に折れています。(画像B左)。ダウンスウィングでも左手首の掌屈(手のひら側折れる動作)は見られません。左への踏み込みやスライドも多くはなく軸をセンターにキープし続けています(画像B右)。

インパクトゾーンでも左手の甲が正面から見え、手首が返るタイミングもスクェアやウィークグリップに比べて遅めになり、左手をストロンググリップで握る特徴が見られます。左手首を掌屈させることや、インパクト前後で左腕を外側に回旋させる動き(回外)が苦手な人は、スミスのように左手をストロンググリップで握ってみることをオススメします。

体の動きに注目すると、平均で300ヤード近く飛ばすスウィングではありますが、大きな体重移動や極端な上半身と下半身の捻転差、左への踏み込みから足を伸ばす地面反力など、飛ばしに効果的なエッセンスはあまり取り入れていないことが見て取れます。

こういったスウィングからもスミスのプレースタイルは、飛距離をアドバンテージにするタイプではなく、方向性や正確性や再現性といったスウィングを磨いてきたことが感じられます。そのぶん、パッティングに強みをもつことでバーディ率を高めボギーの数を減らすプレースタイルがスミスのプレースタイルといえるでしょう。

マスターズ優勝のスコッティ・シェフラー(26歳)、全米オープン優勝のマシュー・フィッツパトリック(27歳)、そして全英オープン優勝のキャメロン・スミス(28歳)と今季は3名がメジャー初優勝者を飾り、若く新しい波が世界でも起こっています。来季のメジャー初優勝は誰になるのか楽しみです。