新年と言えば今年一年の抱負を決める絶好の機会。とはいえ無茶な目標を立てるわけにもいかないわけだが、プロも教えるメンタルコーチ・池努氏によれば「現時点でもっともエビデンスのあるゴールの設定方法がある」という。詳しく話を聞いてみよう。

あけましておめでとうございます。新しい年、2022年がスタートしましたね。2021年シーズンのゴルフはいかがだったでしょうか? 飛躍のシーズンになったという方もいれば、思うようなシーズンにならなかったという方もいるでしょう。

さて、新年におこなう恒例行事のひとつに一年の抱負を決めること、つまり「目標設定」がありますね。あなたは2022年、ゴルフでどんな成長を目指しますか? これまでに設定してきた目標をヒアリングしてみると「今年こそはベストスコア〇〇を達成する!」「大会で〇位以内に入る!」「○○さんを今年は越える!」など設定されることが多いようです。

効果的な目標設定についてはさまざまな研究が行われているのですが、今回は実際のプロゴルファーやプロ野球選手にもメンタルコーチとして提供している、効果的な目標設定術について紹介していきます。自身の2022年シーズンのゴルフの目標を考える機会にして頂ければと思います。

ではズバリ効果的な目標設定術とはどのようなものか。それは「MACの原則」と呼ばれ世に知られています。オランダのアイントホーフェン工科大学の研究チームが推奨する効果的な目標設定手法であり、現時点でもっともエビデンスのあるゴールの設定方法のひとつと言われています。

MACの原則の「MAC」は3つの単語の頭文字から取られており、次の重要な3つの要素を満たした目標設定を推奨しています。

ひとつめがMACの「M」。「Measurable(予測可能性)」=目標が数字として測定することができること、です。

たとえば、ベストスコア〇〇更新や大会での順位などだけではなく、飛距離、アベレージスコア、平均パット数、パーオン率、フェアウェイキープ率、筋力など目標スコアや順位を達成するために必要な要素を数値化します。

ふたつめがMACの「A」、「Actionable(行動可能性)」=目標を正確に把握し、そこにたどり着くまでのプロセスを明確に書き出せることです。

ゴルフでいえば、目標スコアをクリアするためにショット、アプローチ、パター、コースマネジメント、メンタルマネジメントなど具体的にどこが課題であり、その課題をクリアするためにどのような練習をしていくべきか? などのプロセスを立てることができるようになることですね。

そしてラストの3つめがMACの「C」、「Competent(適格性)」=目標の高さが自分の伸びしろや能力に対して適切である。また、目標を達成することが、自分の価値観を満たすことであることです。

より噛み砕いて言えば「目標のスコアや順位が自身のポテンシャルから見て達成可能かどうか?」ですね。たとえば、現在ベストスコア90の48歳のゴルファーが今年の目標を72に設定することは適格性からして簡単ではないでしょう。もちろん、これは年齢やスポーツの能力で変動します。

また、ここで言う「自分の価値観を満たすこと」とはシンプルに「目標を達成することに価値を感じ、達成することで嬉しく思うことができるか?」です。

たとえば「飛距離は人に負けたくない。すごい飛距離を出してみんなを驚かせたい。しかし、じつはあまりベストスコア更新にはあまり興味がない」という方は「ベストスコア更新やアプローチ、パターで5打スコアをよくする」といった目標は価値観に沿っていないので機能しづらいでしょう。

「スコアより綺麗なスウィングを追求したい」。「飛距離や綺麗なスウィングではなく結果であるスコアで示したい」。私たちはそれぞれ価値観が違います。自分が大事にしたい価値観に沿った目標であれば、その目標に対してモチベーション高く行動することができるでしょう。

MACの原則、いかがだったでしょうか? 折角ですのでノートやPCなどでMACの原則に沿った目標を設定してみることをおすすめします。頭の中で目標を考えることも悪くはありませんが、自身の想いを言語化することで記憶としても残りやすいですし、しっかりと動機付けされることで目標へ向けた行動も取りたくなるものです。ぜひ、2022年シーズンを素晴らしい時間になるように目標設定に着手しましょう。