松山英樹が日本人男子初のメジャー制覇という快挙をマスターズの大舞台で成し遂げた。4日間噛み合ったショットとパット、そしてメンタルにマネジメント……勝利をもたらした「微調整」をプロゴルファー・中村修が解説。

2011年に日本人として初めてマスターズのローアマチュア(アマチュア選手の最上位)を獲得してから10年。松山英樹選手がついに初メジャーのタイトルを、マスターズという最高の舞台で手に入れました。

優勝を決めた瞬間は、涙が止まりませんでした。きっと同じような感動を、日本中の人が味わったのではないでしょうか。子どもの頃からテレビで観て憧れていた夢の舞台、そこで日本人が勝つ日が来るとは……日々の鍛錬の積み重ねは、いつか大きな成果となる。10年前と比べて大きくなった体でグリーンジャケットに袖を通す松山選手の姿を見て、そんなことを改めて感じました。

目澤秀憲コーチとタッグを組んで初のメジャー参戦となりましたが、そのスウィングは少なからず変化していました。トップでシャフトがターゲットの左を向くレイドオフ傾向となり、スウィング中のフェースの開閉は以前より少なくなっています。

ティショットでフェアウェイをキープし、得意のアイアンでチャンスにつける。そのことがより精度良くできていましたし、飛距離も十分に出ていました。

パッティングにも微調整が施されていました。アップライトに構えるスタイルで、パターのライ角も調整しているようです。重い転がりのボールが打てていましたし、初日の硬いグリーン、2日目の重いグリーン、3日目は雨で中断される前後でコンディションの変わるグリーンと、刻々と変化する環境に上手く対応できていました。

そして、メンタル面でもすごく落ち着いているように見えました。本人は朝から緊張していたと語っていましたが、ときにミスしながらも笑顔が垣間見られましたし、マネジメントも冷静だったと思います。

たとえば16番パー3のティショット。前のホールまで4連続バーディで猛追してきたザンダー・シャウフェレ選手がティショットを左の池に入れた直後、前のホールで池に入れてボギーを叩いている松山選手はシャウフェレ選手のようにピンを直線的に狙うのではなく、右の段を狙ってきました。結果、右の段の上にオンし、そこから3パットのボギーとなりますが、ボギーを消しながら攻めたあのティショットは最終日のベストショットだと個人的には思います。

逆に、シャウフェレ選手は松山選手が崩れないことで攻め続けるよりほかなく、ついに松山選手の背中が見えたというところでのミスに泣きました。

2019年に渋野日向子選手が全英女子オープンを制し、先週は梶谷翼さんがオーガスタ女子アマを制しました。そして今日、松山英樹選手がついに男子海外メジャーの扉を開いてくれました。日本の選手たちがこれからどんどん海外に出て行って、メジャーのタイトルを獲得する。そんな未来まで夢見させてくれる、松山選手のマスターズ制覇でした。