地域に根ざした大衆的な中華料理店「町中華」にスポットが当たって久しいが、同じように地域に根ざしたゴルフショップといえば「ゴルフ工房」がある。経験豊かなクラフトマンが使い手の要望に合わせ、ヘッドとシャフトを組む「カスタムクラブ(地クラブ)」が人気だ。そこで、人気工房の「飛ぶスペック」を週イチで紹介! 試打者はゴルフダイジェストで四半世紀にわたり世に出たほぼすべてのクラブを打ってきた堀越良和プロだ。

168gヘッド×30g台シャフトの組み合わせ

連載第6回目は、世田谷区でザ・クラブワークスを主宰する村上宏貴さんがオススメする1本を紹介! 村上さんはゴルフ場の受付でアルバイトをしていた18歳のときに所属プロに勧められ、ゴルフを開始。初ラウンドで驚異の87を記録。そこからゴルフにハマり、JGRA(全日本練習場連盟)の認定プロも取得している。

スウィングとクラブの両方のプロである村上さんは「店頭に置くクラブは私が試して納得した製品のみです。いまは世田谷区でショップ運営とインドア練習場でレッスンをする毎日。クラフトマンの目からだけでなく、プロとして競技をしているからこそ気づけるゴルファーの悩みや要望を細かくサポートします。また、計測器などの数値だけを判断してクラブを組み立てただけではお客さんの要望に100%応えることはできません。その数値で表れない微妙なフィーリングもくみ取り、お客さんが納得する1本、そして14本を仕上げることがモットーです」と言います。

「うちは世田谷という土地柄、お客さんはシニア層が多く、今回オススメするドライバーも、その層のゴルファーに受けがいいです。ジオテックの『クロト RE168cc MT 高反発仕様』は、ヘッド重量が168gしかない、超軽量ヘッドです。シャフトも同じくジオテックの『無双 スーパー エアリアル ドライバー』を46.25インチで仕上げています。フジクラ『エア スピーダー』もいいのですが、価格がちょっと高額というお客さんもいて(笑)。この『無双』はフジクラの技術で作っているので、『エア スピーダー』に近い。だから、こっちをオススメすることが多いです。この組み合わせで130Yほどしか飛ばなかったシニア女性が200Y越えを記録し、ゴルフの楽しさを再確認できたといってもらっています。超軽量ヘッドと超軽量シャフトなので、グリップも超軽量。25gのグリップを入れているので、ドライバーの総重量は240g未満。前述の女性だけでなくヘッドスピードが上がって飛距離が伸びたという男性も多いんです。ヘッドは高反発だけでなく、SLE適合モデルもあるので、競技ゴルファーにはそちらを提供しています」(村上さん)

●●ヘッド/ジオテック クロト RE168cc MT 高反発仕様(10.5度)

「クロト」シリーズで初のカーボンクラウン採用することで低重心化。ヘッド重量が軽くなると落ちる可能性が高い、ヘッド慣性モーメントは一般的なヘッド(195g)と同水準で、ミスヒットへの寛容性の高さを維持。空気抵抗を軽減し、軽量ヘッドとの相乗効果で旧モデルとの比較ヒューマンテストでHS1.1m/sアップしたモデル。価格(税込)/ 5万9400円

●●シャフト/ジオテック 無双 スーパー エアリアル ドライバー(Uni-1、46.25インチ)

「しなやかな一振りの中に輝る強さ」がコンセプト。フジクラ社の持つ軽量化技術と特殊な素材を組み込み込んだ。超軽量でありながら、高性能素材を使用することで、バット側のしなりも重視し、全体の剛性バランスを調整。またハイトルクにすることで、曲げ、ねじれ、潰れの剛性バランスを調整し、しなりが感じやすい振り抜きやすさを実現した。価格(税込)/4万1800円

HSが遅ければ遅いほど恩恵を受けるクラブ

ここからは堀越プロの試打結果とインプレッションをお届けしよう。

まず手渡した瞬間に「何これ、めちゃくちゃ軽いね」と驚きを隠せない堀越プロ。構えてみると「メーカー公表値でいえば59.5度とややアップライトなライ角ですが、構えてみると、もう少しありそうな印象です。アップライトなだけあって、しっかりつかまって飛んでくれそうなイメージがあります。素振りをすると、先ほどの感想のとおりすごく軽いのでHSはかなり上がりそうです(編集部で計測したところ総重量は236g)。ヘッド重量はかなり軽いのにワッグルしただけでシャフトがたわむので、かなり軟らかいシャフトだということがわかります。高反発ということでフェース面が薄いと思うので、HS40m/sくらいでまずは試してみたいと思います」と堀越プロ。

弾道計測器(ラプソードMLM2PRO)では、HS40m/sで打った1球目は、ボール初速が55.5m/sと高反発にしては速くなかったが、キャリーでは201.2Yとなかなかの飛距離性能をみせる。「打ち出し角が17.1度と高く、またスピン量も2721rpmと適度に入ったので、しっかり飛距離が稼げました。とはいえ、高反発なのに初速がでないのは何故だろう」といい、続けて数球試打。どれも打ち出しは高く、飛距離は出るが望む初速が記録されない。「飛距離性能が低いということはないのですが、おそらくボール初速が思ったより伸びないのはヘッド重量の軽さだと思います。いまは素材の改良で慣性モーメントが大きくなり、改善されているはずですが、かつては『ボール重量の4倍のヘッド重量がないと当たり負けして飛ばない』と言われていました。おそらくですが、このモデルは168gということで、HS40m/sくらいだとボール初速が出にくいのではないでしょうか」と分析する。

HSを落として打っていくと、HS35m/sくらいでミート率が1.5近くを記録する球が出始めた。「このスピード帯で初速がいい感じになったということは、クラフトマンの村上さんが言っていたように、ふつうのクラブでHS30〜33m/sくらいゴルファーがこのクラブに替えて、ヘッドスピードが速くなり、飛距離アップしたというのは理解できますね」とのこと。

なお、ヘッドスピード40m/s前後で5球を打っての平均は下記のとおり。

ボール初速●56.3m/s
打ち出し角●17.4度
スピン量●1949rpm
キャリー●205.5Y
総飛距離●227.3Y

●総括

「先ほど述べたとおりで、基本的にはHS30〜33m/sのゴルファーが恩恵を受けるクラブだと思います。また、アベレージゴルファー限定ですが、スウィングプレーンがアップライトなゴルファーだと、シャフトのしなりの影響でかなり手前をダフる可能性がかなりあります。女性やシニアなど、背が低く、スウィングプレーンがフラットなゴルファーのほうが振り心地も良く、スムーズに振り切れるでしょう。
加えて、切り返し以降で右肩が前に出てしまい、ヘッドが遅れてくるようなスライサーには、この軟らかいシャフトはヘッドがかなりはしってくれて、遅れることなくインパクトを迎えるので、スライスの改善が見込めます。この組み合わせであれば、HSが速くなく、フラットなスウィングのシニア層がドンピシャでハマると思います」(堀越)

ザ・クラブワークス

クラフトマンとプロゴルファーという2つの視点から、自身にあったクラブとスウィングを提供する

住所/東京都世田谷区桜3-2-14
営業時間/11時〜19時(定休日/月〜水曜・金曜)
☎03-6432-6941