残念ながら全英オープンでは予選落ちとなってしまったが、事故から復帰したタイガー・ウッズのスウィングはアマチュアが真似られる基本がいっぱい詰まっているとプロコーチ・内藤雄士は言う。ポイントを細かく解説してもらった!

右脚の粉砕骨折から奇跡のカムバックを果たしたタイガー・ウッズ。そのリハビリ中、タイガーは自分の全盛期のスウィングだけではなく、子供の頃のスウィングをよく見ていたのだそうです。

子供の頃のスウィングというのは、いい意味でクラブの重さに振られていて、無理をすることがない。タイガーは、そんな時代の自分を見ることで、自分にとって自然な動き、体に負担のかからない動きを探っていたのかもしれません。

たとえば、正面のフォローのポジションに注目してください。全盛期であれば、右足がもっと粘って、右のサイドベンド(体の右サイドが屈曲して、体が右に傾く動き)も強かったはずです。しかし、現在は、自然な体重移動で左の股関節に乗り込み、クラブの自然な動きに任せていて、いかにも体の負担が少なそうに見えます。

タイガーの場合、人並み外れたパワーとスピードが原因で体に負担をかけ、故障を繰り返してきたという過去もあります。そうした経験と、事故によるケガを経た現在、体にやさしく、ケガを再発させないスウィングは、タイガーにとっての大きなテーマになっているのではないでしょうか。

そんなタイガー・ウッズですが、ある意味、全盛期よりも現在のスウィングのほうが、アマチュアのみなさんの参考になりそうです。もちろん、ケガをして歳を取ったとはいえ、相手はタイガー・ウッズですから、すべてというわけにはいきません。でも、スウィングの基本的な部分は、全盛期よりもシンプルで、〝キツさ〟が感じられなくなったからです。

たとえば、バックスウィングでは右股関節、フォローでは左股関節に乗り込みながら頭の位置が変わらないところ。ダウンスウィングからインパクトにかけて前傾角度が変わらないところ(注1)。バックスウィング、ダウンスウィング、フォローとクラブが平行に収まり、クラブがシャフトプレーンどおりに振られるところ。ダウンスウィングからインパクトにかけて、いわゆるビハインド・ザ・ボール(頭がボールの後ろにある)が実現されているところ。それら〝基本〟とされている動きが実現されながら、力感が感じられないところなどは、いかにも教科書どおりで、誰がマネをしてもいいものだと思います。

近年のゴルフ理論のなかには、少しスウィングを複雑に考えるものが増えているような気がします。しかし、スウィングを難しく考えすぎると、ボールを狙ったところに運ぶというゴルフ本来の目的が失われる恐れがあります。

ゴルフが上手くなりたいのであれば、細かい動きにこだわらず、バランスのよい構え、頭の動きの少ない自然な体重移動(右股関節、左股関節に乗る動き)や体の回旋、クラブの自然な動き(クラブの重さに任せて丸く振る)など、基本とされるものをシンプルに追及していくことが大切だと、私は思うのです。

(注1)「タイガーの場合、切り返しで体が沈み込むクセがありますが、復帰後はその度合いもかなり小さくなりました」(内藤)