アウトドアゴルフ施設(以下、アウトドア)は減少しているがインドアゴルフ施設(以下、インドア)は昨対比約20%増と大幅に伸びている。インドアとは室内型練習場のことだが、シミュレーション機器や弾道測定器の進化で多様なビジネスモデルが誕生している。

インドアが全国で20%増。今後も増加傾向にある

公益社団法人全日本ゴルフ練習場連盟(JGRA)の調査によると2021年10月末現在で、全国のアウトドアゴルフ施設数は2,395(26減)、インドア1,265(241増)、合計3,660(215増)とリリースされている。中でもインドアは、関東755(154増)、関西225(46増)、中部・東海84(14増)、九州69(16増)の5エリアで230増と全体の増加数の95%以上を占めており、おおよそ昨対比20%増となる。

コロナ禍におけるゴルフブームがこの数字を見ても明らかである。インドアは、複数の試打席を設けてレッスンプロが常駐する有料会員制が多いが、細かく分けると別表のようになる。

インドアが増加したのは、大型アウトドアの閉鎖、機器とオペレーションシステムの進化、レッスンプロの増加などが要因だ。機器は大きく分けて2種類あり、ドライビングレンジやゴルフコースのシミュレーションが主軸の機器とボールのインパクトを解析して数値化する弾道測定が主軸の機器がある。

また、レッスンプロはPGAやLPGAをはじめ多くの認定団体があり、1万人以上とも言われているが、安定した収入を得ているレッスンプロは20%以下とも言われている。しかし、インドアを新規で開場するオーナーはゴルフ業界以外が多く、運営を任せられるレッスンプロを確保することが難しいとの意見もある。本来であれば、認定団体が会員情報を持っているので紹介制度があればスムーズになるはずだが、現状ではそこまでのサポートを行なっている団体が少ないためオーナーは優秀なレッスンプロを独自で探す必要がある。

魅力的なシステムだが投資回収が課題?

シミュレーションゴルフの最大メーカーであるGOLFZONが販売している機器はおもに2種類あり、全国120コース以上でラウンドが可能な「VISION」シリーズとドライビングレンジによる練習が中心の廉価版「GDR」がある。「VISION」は自動ティーアップや電動床傾斜システム、レフティ用などのオプションが揃っており、本体が580万円にフルオプションを追加すると800万円近くになる。「GDR」は本体が300万円で弾道測定器「TRACKMAN」と同価格となっている。

次に内装工事費だが、これは打席数により1打席当たりの工事費が変わる。5打席以上の大型施設だと100〜150万円、1打席のみの場合は250〜300万円が相場となっている。1打席当たりのコストが最も安いケースは、5打席以上確保して「GDR」を導入することだが、機器と工事費で500万円ほどかかる。予算の最大値は工事費に上限がないためオーナーの要望によるが、1打席に「VISION」フルオプションを導入した場合1,000万円超えとなる。

例えば、家賃が月額30万円で5打席に「GDR」を導入する時の初期コストと運営費を算出した場合、初期コストは工事費、機器代、賃貸契約にかかる費用を合算すると最低でも2,500万円かかる。運営費はスタッフ人数にもよるが月額150万円はかかるだろう。初期コストを5年で償却する場合、年間500万円、月額40万円強かかることになる。運営費を加算すると月額200万円となる。

一般的に1打席当たり40名という会員獲得の目標があるようで、月謝1万円で設定すると40万円となり5打席で200万円、200名以上の会員が獲得できれば黒字化する。

いっぽう、昨年当たりから増加傾向にあるのが無人による24時間運営だ。インターネット予約と決済が連動したシステムを導入すること、レッスンプロを常駐せず、機器のメンテナンスを外注契約することで人件費が抑えられる。利用者は時間を気にせず予約ができるので自由に利用できるので運営側から見ると稼働率が高まり初期コストの回収が早くなる。今年だけでも首都圏だけで無人の24時間運営のインドアが100店舗増える予定だ。

また、ローコストオペレーションで人気を誇るステップゴルフは、80店舗超えで延べ会員数4万人超えと業界ナンバー1の規模を誇る。「月謝を4,980円〜に抑えて使いたい時に自由に使えることで初心者や若い方、女性の利用客が多いです」と同社代表取締役の榎本考修氏は言う。同社はFCだけでなく様々なプランを用意してオーナーとの関係を強化している。初期コストが抑えられて運営費も抑えられるので初期コストの回収が4年以内に黒字化できると言うことで、200店舗までの出店計画が見えているようだ。そのため、異業種からの参入が店舗数増加につながっている。

注目されるインドア施設はオンラインによる対戦?

シミュレーションゴルフ機器メーカーGOLFZONがインドアで開催するプロゴルフトーナメント「WGTOUR JAPAN」を2017年から開催し、2021年は「JPN-CHIN-KORGOLFZON SKINS CHALLENGE」を2月に開催した。日本チーム(吉田優利、藤田光里)、中国チーム(スイ・シアン、リウ・ウェンポ)、韓国チーム(キム・ハヌル、ユ・ヒョンジュ)が最新シミュレーターで3ヶ国によるオンライン対決が開催されGOLF TVで有料生配信され、大接戦が繰り広げられて韓国チームが優勝を勝ち取った。

これは、GOLFZONがオンライン対決でのタイムラグを解消した最新シミュレーターのアピールをするために企画されたようで、今後はGOLFZONが導入されている店舗のソフトウェアをバージョンアップすることでどこでもオンライン対決が可能になるようだ。

3月に開催されたジャパンゴルフフェア2022で一般社団法人日本バーチャルゴルフ協会が主催した「VR GOLF TOURNAMENT THE 1ST」が開催され大勢の来場者で賑わった。女子プロが6名出場して3名ずつの予選を行い1名の勝ち抜きで2名での決勝。見事、初代優勝者に輝いたのは幡野夏生プロだった。

「私も若い頃はプロゴルファーとして活躍しましたが、身体を壊して断念しました。多くのプロゴルファーは賞金やスポンサードで生計を立てることが難しいです。そんなプロゴルファーに試合出場の機会を増やすため、ジュニアや一般ゴルファーに試合の楽しさを体験して頂くために、6月に観光名所の浅草に巨大なインドアをオープンしましたのでバーチャルゴルフトーナメントを定期的に開催していきます」と運営会社の代表取締役兼協会代表の柏木勝人氏は力説する。

アメリカでも同じような動きがあり、タイトリストが「TRACKMAN バーチャルリーグ」を開催して既に1,200名以上が参加したようだ。比較的ゴルフ場が安価でラウンドできるアメリカでシミュレーションゴルフが人気とは俄かに信じられない。この動きはアメリカだけに限らず、韓国や中国でもシミュレーションゴルフによるトーナメントやコンペが多数開催されているという。

このように、インドアゴルフは練習するだけでなく、コンペやトーナメント、オンラインでつながる対戦が増えそうだ。今年は、バーチャルゴルフトーナメントの元年とも言える。