5月のAT&Tバイロン・ネルソンで5年ぶりに優勝したジェイソン・デイ。その3カ月後、PGAツアープレーオフシリーズのBMW選手権で撮影したクラブセッティング。優勝を支えたアイアンを新調し、パターは全盛時のスパイダーがバッグに戻った。

ドライバーはピンG430LST。ピンで3代目のエース

デイといえば、チームテーラーメイドのイメージが強いが、現在のクラブ契約はフリー。エースドライバーはピンのG430LST。昨年は9度ヘッドのロフトを8.5度に立てて使ったこともあったが、今は逆に10度に寝かせて使っている。

G430 LSTは、ロースピン仕様で440ccの小ぶりヘッド。ヘッド後方のウェイトはニュートラルポジション。デイがピンのドライバーを使うのはG425 LST、G410 LSTに続き3モデル目。

シャフトはTPTシャフトというスイスの精密器具メーカーのもので、シャフトスパイン(肉厚の偏った部分)がない完全円状が特徴。世界ドラコンの選手にも人気のメーカーで、デイはNITRO RANGEという新シリーズのプロトモデルを挿している。

撮影時はSIM MAXの3Wと、ステルスの7Wという組み合わせだったが、コースや天候によって3WとSIM MAXの5Wを入れるケースもある。フェアウェイウッドのシャフトはどれも三菱ケミカルのクロカゲに統一。

アイアンはタイガー・ウッズモデルのP7TW。5月の復活優勝時は同じテーラーメイドの鍛造キャビティP7MCを使っていたが、全米オープン前にこのマッスルバックにスイッチ。この変更について、デイは「P7MCで勝つことができたが、もう少しスピン量が欲しかった。P7TWのほうがスピンが強く入り、自分の弾道イメージにぴったりだったから」と米国ギアメディアのGolf WRXに話している。ちなみに4Iは中空のP770を入れている。

アイアンのシャフト、KBS Cテーパーはバット側とチップ側の剛性を近づけたシャフト全体でしなる、癖のない振り感が特徴のシャフト。Xフレックスではなく一段軟らかなS+を入れるのは腰痛対策の一環かもしれない。

ボールはブリヂストンのツアーB X。きっかけはタイガー

ウェッジはボーケイデザインのSM9。ロフト52度はラフに強いFグラインド、56度はライの硬さやバンカーにも合うSグラインド、60度はフェースを開いて使いやすいMグラインド。

そして、パターにも変化があった。AT&Tバイロン・ネルソン優勝時は小ぶりスパイダーのイッツィービッツィーGHOSTだったが、現在は‟ザ ジェイソン デイ パター”とも言うべきスパイダーツアーのレッド。いかにも長年使い込んでいる感じの外観だ。

仲のいいタイガー・ウッズの使用球と同じブリヂストンのツアーBのXを愛用。同社とは昨年の3月からボール使用契約中。「ある試合で、タイガーと同組で回って、このボールの性能を目の当たりにしました。砲台グリーンとバンカー越えの2度のアプローチで、僕は絶対に止まらないと思ったタイガーのショットが特別な打ち方はしてないように見えたのに、ピタッと止まった。それが印象的で検討に入ったんです。理論派のデシャンボーが選んでいたのも後追しになったと思います」(デイ)

長期の不振に陥った原因は、腰に負担のかかるスウィングによる腰痛と背筋痛だった。昨年、小誌でインタビューした際、「スウィングのメカニズムを腰に負担がかからないようにイチから変えました。今は腰を気にせずに振れています。飛距離も戻っているので、必ず復活してみせます」と話していたとおりの優勝につづき復活2勝目へ向け、ギアも盤石に近づいている。

ピン・テーラー・タイトリストの3ブランドで組む
1W/ピン G430LST(10度)・TPT NITRO RANGEプロトシャフト
3W/テーラーメイド SIM MAX(15度)・クロカゲ80(X)
7W/テーラーメイド ステルス(21度)・クロカゲ80(X)
4I/テーラーメイド P770(22.5度)・KBS Cテーパー125(S+)
5I〜PW/テーラーメイド P7TW・KBS Cテーパー125(S+)
AW・SW・LW/ボーケイデザインSM9(52・56・60度)・DGツアーイシュー(S400)
PT/テーラーメイド スパイダーツアー レッド(3.5度)
BALL/ブリヂストン ツアーB X
※スペックは編集部調べ、1Wのロフトはネック調整で9度→10度

※週刊ゴルフダイジェスト2023年9月12日号より(PHOTO/Blue Sky Photos)

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