「MT-28」「MTIウェッジ」など数々の名器を世に送り出し、日米両ツアーで多くのプロ支給品を手がけたクラブ設計家、宮城裕治氏が流行に惑わされないクラブ選びとクラブ設計の真実をクールに解説。今回はアイアンのロフトについて教えてもらった。

みんゴル取材班(以下、み):主要メーカーから2022年モデルとして発売されているアイアンのロフト角を調べてみたところ、アスリートモデルからエントリーモデルまで含めた全体の平均値が7番で約30度、5番で約22度でした。

宮城:7番アイアン30度時代を裏付ける数字ですね。ロフトが平均で1番手以上立ってきたのは、ストロングロフト化が飛び系アイアンに止まらず、マッスルバックなどアスリートモデルでも進んできた結果だと思います。

み:確かに。少し前までマッスルバックは35度前後でしたが、最近は33度くらいのモデルもあります。いっぽう、飛び系になると7番で25、26度はざらです。ストロングロフト化に伴ってアイアンを選ぶ際にはどんなことに気をつけたらいいですか。

宮城:とくにダウンブローで打っている中上級者ほど注意が必要です。以前、計測器を使ってゴルファーがアイアンでどれくらいハンドファーストにインパクトしているのかを調べたことがあります。その結果、もっともダウンブローのきついプロは30パーセントもロフトを立てて打っていることがわかりました。クラブのロフトが30度なら21度で当てているわけです。

み:21度といえば3番アイアン並みのロフトですね。

宮城:だからこそ7番で190ヤードも飛ばせるわけです。ところが同じプロがロフトの25度くらいの7番を打ったらアベレージゴルファーよりも飛ばなくなることがあります。ダウンブローで打つがゆえにインパクトロフトが立ち過ぎて球が上がらないからです。

み:25度のクラブで30パーセントもロフトを立てて打てばインパクトロフトは18度以下ということになりますね。

宮城:逆にレベルブローでロフト通りに打ったり、しゃくり上げて打つアマチュアはそれなりに球が上がって飛びます。

み:ストロングロフトはアベレージゴルファーにとって都合がいいわけですね。

宮城:ただし、問題は7番で180ヤード飛んだとしてもボールがグリーン上に止まっていないこと。いくら飛んでもそれはミスショットと同じです。もう一つの問題はウェッジを増やさなければいけないこと。7番のロフトが30度ならPWは42度くらいになります。AWが52度とすれば間にもう1本入れなくてはいけませんが、その距離ならふつうにアイアンで打てばいい。また、マッスルバックだけどロフトを立てて飛ばしたいという相談もたまに受けますが、その時は逆に寝かせてマッスルバックのよさを生かしましょうとアドバイスします。飛距離が必要なら1つ上の番手を使えばいいわけですから。