から続く

このような社会背景の中、2008年に放映が始まった『仮面ライダーキバ』(テレビ朝日系)。主人公に抜擢された俳優の瀬戸康史は、イケメンブームの中でも甘い顔立ちから「オトメン(乙男)」の代表格として注目されている。役柄の紅渡(くれないわたる)は人と接するのがちょっと苦手な優しい青年、というキャラクター。「女々しい」=「乙女系男子」の文脈をそっくり引き継いでいると言っていいだろう。

オトメンの本来の意味

だが、少し待ってほしい。オトメンは本来そのような意味として使われていないはず。

オトメンは、『別冊花とゆめ』(白泉社)で2005年から連載されている菅野文氏原作の少女コミックのタイトルだ。オトメンと友人に名づけられた主人公の正宗飛鳥(まさむねあすか)は、紅渡とは印象が違うキャラクターとして描かれている。眉目秀麗で学業優秀な剣道部主将と傍目から「漢(おとこ)」な高校生に見えるが、実はぬいぐるみなど可愛いものが大好きで家事全般に天賦の才を持つ少女マンガ好き、という設定なのだ。


少女コミック「オトメン」
他の男性登場人物たちも、実は少女マンガ家だったり、コスメが大好きだったり、本来は女性がメインターゲットのコンテンツを愛している。しかし、だからといって「女々しい」わけではない。

彼らは皆、学業や剣道といったものに対して、プライドを持って取り組んでいるし、自らがオトコであるというセクシャリティに疑問は一切持っていない。そして…何より典型的な美男子だ。

逆に、飛鳥が想いを寄せている同級生・都塚りょうというヒロインは、武道全般が得意で家事がまるでダメだという逆転したキャラ付けがなされているのだ。

この作品では、「オトメン」を次のように定義づけている。

1、 乙女的趣味、考えを持つ若い男性。
2、 料理、裁縫など家事全般に才を発揮する若い男性。
3、 乙女な心を持ちつつ、男らしさを兼ね備えた若い男性。

このどれかが当てはまれば「オトメン」だとすると、敷居はぐっと低くなるし、意味合いもずっとポジティブなものになるのではないか。

街に溢れるカワイイ

実際、街にはカワイイものが溢れている。例えば、JR東日本は「SUICA」のペンギンを全面に出したプロモーションを行っている。定期券を持つと否応なくペンギンを共にすることになる。「大のオトコがこんなキャラクター物をもてるか!」と怒る男性は… あまりいないように思える。

スイーツの店舗はデパ地下などを中心に和洋問わずに増えている。ジェラート、カップケーキ、ドーナツ…枚挙の暇もない。男性カルチャー誌でも、スイーツの店舗が紹介される記事が目立つし、ファミレスなどでパフェを注文しているスーツ姿の男性も珍しくない。「甘いものは女性」こんな考えはイマドキ古い、というより話題にすらならなくなっている。

つまり、都市自体が、「乙女化」の方向に進んでいる、とさえ言えるのではないか。

このような状況を多角的に考察するのが「乙女男子研究所」だ。統計資料を 交え研究所らしく連載をスタートさせたが…基本的なスタンスは乙女男子らしく、ゆるーくやっていきたい。三十路なので「若い」かどうかは微妙だし、男らしさを兼ね備えているかどうか自信はないけれど、時にはオフ会なども催して乙女男子の輪を広げて行ければいいな、と考えている。アップルパイだってタルトだって、シュークリームだって作っちゃうぞ!


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    乙女男子研究所…カワイイもの、オイシイもの、ファンシーなもの大好きな「乙女男子」が増えている!?当研究所では、「男らしさ」に縛られない新しい男子のライフスタイルを社会・文化と絡めつつ探求して参ります。

    ふじい りょう(Parsley)
    1976年東京都生まれ。埼玉の団地育ち。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物」らしく』にてメディア、カルチャー、ネット情報を題材に運営している乙女男子。好きな食べ物はプリン。ハマっているのは『桜蘭高校ホスト部』。


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