「猛烈に臭く、食品を扱う菓子博になじまない」。この春、兵庫県姫路市で開かれた「第25回全国菓子大博覧会」で、会場に隣接する市立動物園で飼育されているツチブタのにおいが問題となり、コンクリートで囲まれた猛獣舎に緊急隔離されてしまうという出来事があった。どこの動物園にとってもにおい問題は避けては通れなくなっており、特に札幌市円山動物園のような住宅地に近い都市型動物園ではなおさらだ。一方、飼育員からは「においも動物園の楽しみ」という声もあり、悩みは深い。(山村寛)

「換気扇や消臭装置など、においを取り除く設備は導入していませんし、導入する予定もありません」


子ども動物園の羊
円山動物園の施設管理を担当する堀江透係長によると、においをゼロにするためには、大規模な空調設備の導入が不可欠だが、予算の関係で現実的には不可能という。ただ、におい対策を怠れば動物園離れが進む恐れもあることから、同園の屋内施設では「来場者と檻の間にガラス板を入れ、人と動物を隔離することでにおいが漏れないようにしている」。

一方、子ども動物園の担当飼育員三浦圭さんは堀江さんの意見に異を唱える。
「動物臭の原因のほとんどは動物の糞と尿です。これらをきちんと処理すれば、動物臭は発生しないのです。ただし、熊とゴリラを除きますけど…」
姫路で話題になったツチブタは、夜行性でお尻の近くにある臭腺からにおいを放つことで自分の存在を仲間に知らせているが、円山動物園にはこのような強烈なにおいを発する動物は飼育されていない。むしろ、ほとんどの動物はにおいがしない。
三浦さんは「目」だけでなく、「鼻」でも動物を楽しめることを伝えるために、子供動物園を訪れた来園者に羊のにおいを嗅いでもらう。ほとんどの人が、羊の『いいにおい』に驚きの表情を示すという。実際に嗅いでみるとクリームのような匂いがした。三浦さんは「ガラス板で動物を隔離するのではなく、動物本来の匂いを楽しめる動物園が理想」と話す。

実際、隔離されていない猛禽類館では、嫌なにおいが来園者の不快感を誘っている。「くさい!」と叫ぶ小学生達や鼻をつまんだカップルが出てゆく姿も見られた。
ガラスで隔離した動物園に関して意見を聞いたところ、「デートに使える」「においを我慢する必要がなく、ゆっくり見られる」とポジティブなものがある一方、「カメラのフラッシュがガラスに反射するために写真が撮れない」「動物の声が聞こえにくい」といったネガティブな意見もあった。
園では、今後10年以内に、猛禽類館を含むすべての施設でガラス板による隔離を行う予定で、水族館のような回遊型の施設を目指しているが、においを封じ込めるのか、それともにおいを楽しむのか、都市型動物園の悩みは深い。

 

この記事はgooニュースと北海道大学科学技術コミュニケーター養成ユニット(CoSTEP)のコラボレーションによるものです。