親子連れが集うサル山で、ある光景が目に焼きついた。飼育員がサルの「うんち」やゴミを、ホースの水で「ジャージャー」と流している。この水はどこに流れていくのだろうか。まさか、そのまま川になんてことは… 札幌市円山動物園で飼育している動物の数は、合計174種900点(8月末時点)。これだけの動物たちの排泄物はどのように扱われているのだろうか。(柴田章子)


サル山を掃除する飼育員
「うんちの処理は大きく二つに分かれます。水に流す処理と、流さない処理です」。円山動物園の堀江透管理係長が説明してくれた。水で流す処理をするのは、コンクリートの空間で生活しているサルや、水の中に排泄するカバなど。衛生面から施設を洗い流したり、水を入れ替えたりする必要がある。
動物園全体で一日に使用する水の量は、多い日で400トンにもなる。大量の汚水は、園内にある排水処理施設に送られ、下水の基準に適合するように、木やワラといった大きなゴミや排泄物の中の繊維質が取り除かれる。詰まり防止のため、水量を調節しながら下水に放流された後は人間の排泄物と同じように処理される。

水に流さない処理は、主にコンクリート以外の施設で生活する動物に対して行われる。園内の片隅に「堆肥庫」と呼ばれる、白い大きな平屋建ての小屋があるという。名前から察するに「肥溜め」のことであろうか。勇気を出して覗いてみる。小屋の中は薄暗くてよく見えなかったが、地下に穴のようなものがある。ここに排泄物が投入されるようだ。なぜか、驚くほど臭いが少ない。


円山動物園の堆肥庫。運び出したばかりで何もない
堆肥庫の容量は500立方メートル。一般家庭用風呂桶のおよそ2万5千倍もあり、動物園で出る約1年分の排泄物、残飯、ワラといった不要固形物をためることができる。集められた固形物は半年間そのまま寝かせて自然発酵させ、春と秋の年2回トラックに入れて、園内の南側にある別の場所に移動させる。固形物を運び出した後、ウジの発生を抑えるのに、堆肥庫内に消毒薬とホルモン剤を散布する。これで、臭いが抑えられるそうだ。

運搬された固形物は、上に土を盛って層にしていく。3〜5年間おいて、土とよくなじませる。もしかして、肥料として利用するのだろうか。大阪市の天王寺動物園では、ゾウの排泄物をリサイクルして作った有機肥料を市民に無料配布している。

堀江管理係長によると堆肥として使用する予定はないそう。「円山動物園では、ひづめ動物の足を守るために砕石をまいています。排泄物に土や砂が入るので、肥料には向かないんです」。固形物は、今後予定されている園の改修工事での利用が検討されている。「臭い」「汚い」と敬遠されるやっかいものは、動物園作りに役立つことになりそうだ。

 

この記事はgooニュースと北海道大学科学技術コミュニケーター養成ユニット(CoSTEP)のコラボレーションによるものです。