横浜FC 三浦知良選手を追った2か月間 「キング・カズ 走り続ける理由がある」
(gooニュース)

走る。走る。練習グラウンドで、キャンプ地で、そして開幕試合で。カメラはただひたすら走る選手の姿を追う。三浦知良選手。43歳。最年長のJリーガー。

さまざまな分野で活躍する人物に密着し、その素顔に迫るNHK「プロフェッショナル仕事の流儀」。これまで取り上げてきたプロは140人にものぼる。記念すべき141人目はサッカー界の「キング・カズ」こと三浦知良選手だ。今もなお、ピッチに立ち続けるカズのプロフェッショナリズムについて、取材を終えたばかりの池田由紀ディレクターに伺った。

記念の回に三浦知良選手

goo「プロフェッショナル 仕事の流儀」はこの回で半年の予定でお休みに入りますが、記念の回に三浦知良選手を取り上げた理由について教えていただけますか。
池田これまでの番組の多くは、今まさに旬という方を取り上げてきました。そういう意味ではカズさんの場合は少し異色かもしれません。ご存知のようにカズさんはJリーグのスーパースターですが、ドーハの悲劇と98年の代表メンバー落ちでW杯には出場できませんでした。所属チームからも戦力外通告を受け、そのあとで海外やJの5チームで活躍。現在J2横浜FCで若い選手と一緒にサッカーを続けているわけです。番組としてひとつの区切りとなる回ですから、どなたにご登場いただくかプロデューサーとかなり話し合いました。40歳を過ぎてもプロのサッカー選手として、ピッチで闘い続けていることは驚異的なことですし、これほどの人生経験を経た方だからこそのプロフェッショナリズムを聞きたいと思い、出演交渉をしました。また、『プロフェッショナル』で、是非カズさんを取り上げてほしいという声が、これまで番組に繰り返し寄せられていたということもあります。
goo今年がW杯イヤーだということも関係しますか?
池田制作サイドはとくに意識していませんが、カズさんは今もW杯に出たいという気持ちをもっていると思います。それは43歳という年齢を考えると現実的には厳しいかもしれませんが、「なぜ今もピッチに立ち続けているのか」という、誰もがカズさんに対して抱く思いに対して、番組なりの見方を、日々地道にサッカーに打ち込む姿を通してお伝えできる気がします。

キング・カズの素顔

goo取材はいつごろから始められたのですか。
池田1月2日の初蹴りからですね。毎年、静岡の小学校で子どもたちを集めて初蹴りをしているんです。そのあとはグアムの自主トレに帯同、1月中旬のチーム練習、1月末から2月中旬までの沖縄・宮崎キャンプ、開幕までと、2か月におよぶ密着取材でした。
goo一日はだいたいどんなかんじなんですか。
池田とにかくひたすらトレーニングですね。グアムの自主トレは朝6時くらいからランニング、午前と午後の練習は体幹を鍛えるトレーニングが中心で、練習のあと2時間くらいマッサージを受けていました。35歳過ぎてから体のメンテナンスには特別気を遣うようになったということで、一日何回も体重を量り、フィジカルトレーナー、マッサージトレーナー、栄養士さんは個人で雇い入れてます。
goo余分な脂肪を体につけないために、鳥のささみしか食べない、トーストもバターを塗らないというのは有名な話ですね。
池田それは2、3年前までの話しだそうです。今は食べないことで体力が落ちるのもよくないので、栄養士さんのアドバイスを受けながら、なんでも食べているということでした。
gooなるほど年齢に応じて体の管理方法を変えるとは、徹底していますね。ところで、撮影など取材はどうしていたのですか?
池田撮影は、朝、カズさんが来たときに挨拶するところから始まり、夕方、練習が終わるまでずっと一緒にグラウンドにいさせてもらいました。ずっと見ていると、言葉ひとつで状態が見えてきたりするもので、その人の流儀もなんとなくわかってきます。いつもそばにいるものですから、だんだんカメラも意識されなくなりますし(笑)。
gooそうやって見続けてきた三浦選手は一言でいえば…。
池田(しばし考えたのち)「本当の本物」ですね。Jリーガーの平均年齢が25歳、43歳のカズさんとは親子ほどの年の差がありますが、練習は別メニューでなく全く一緒にこなし、むしろランニングなどでは、いつも先頭に立って走っています。朝一番にグラウンドにあらわれるのもカズさんでした。説教くさいことを言うわけでもなく、若い選手はカズさんの背中を見て頑張るような、そんなプロとしての姿勢がぶれることはありませんでした。たとえば、おなかがすいたからごはんを食べるのではなく、サッカー選手だから、きちんと同じ時間に朝ごはんを食べ、毎日同じ時間に起きる。休みの日に公園を走るのもサッカーのため。カズさんの生活の基準はサッカーを中心にまわっていて、それを25年間続けてきたのだそうです。
goo驚くべきストイックさですね。その原動力となっているものはなんなんでしょうか。
池田取材してわかったのですが、とにかく純粋にサッカーが好きなんです。喜びも、悔しさも、悲しみも、社会というものも、すべてサッカーに教えられた。サッカー以上の感動、情熱を味わったことがない。生き方をサッカーに教えられたと言っていました。