ソチ冬季五輪がいよいよ始まりました! フィギュアスケートの日本人選手の活躍に注目と期待が集まっています。フィギュアスケートは美しい音楽にのって自由に滑って跳んで回っているかのように見えるので、氷上のバレエとか、ダンスなどと表されることも多々。でも、ショーではなく試合の場は「アスリートが技術と体力の限界に挑戦する競技」なので、そこには厳密なルールがあり、演技をチェックする採点があるのです。それでは競技としてのフィギュアスケートにはどんなルールがあってどのような採点がなされているのか。五輪の試合を観戦する前の予備知識として、男女シングル競技を中心に説明したいと思います。(美容ジャーナリスト・渡辺佳子)

 前回は、採点には技術要素を見るTESと演技構成を見るPCSの2つの評価があることや、TES採点の俎上にのせる要素について触れました。2回目の今回は、フィギュアスケートの技術面の採点は要素をどう評価していくのか、という話に移りたいと思います。

 ○ TESの採点法(1)〜まずは要素の「認定」で基礎点が決まる〜

 日本の実況解説は昔からジャンプに比重を置いた説明をしますが、要素はジャンプだけでなくスピンもステップシークエンスも、フリーではコレオグラフィック・シークエンス(コレオシークエンス)というものもあり、同じく重要な得点源になっていますが、評価は一面的ではなく立体的かつあらゆる方面からなされています。

 評価のひとつの面は、テクニカルパネル(技術審判団)が3人で行うもので、その主なものは――

(1)ジャンプの「回転数認定」と、
(2)スピン、ステップの「レベル認定」です。 


 ジャンプについては跳んだジャンプの回転が足りているかどうかを判断します。これは、ジャンプ回転後の着氷が、踏み切りに対して360度完全に回っているかどうかの判定で、360度回りきっていればOK。また、不足が90度未満の範囲であれば、回転数は認定されることになっています。

 けれどもここで90度以上180度未満の回転不足と見なされると「アンダーローテーション(under-rotation=UR)」として、基礎点が7割に減らされ、さらに180度以上の回転不足と判断されると1回転下のジャンプと見なされて「ダウングレード(down-grade=DG)」となり、基礎点がぐっと落ちてしまいます。
(◆試合後に発表になる採点表には、ジャンプ要素表記の隣りに、URの場合には記号「<」がDGの場合には記号「<<」が記されています)

 よくあることですが、実況が「決まった!」と言っても、実はURで基礎点が7割にされていたり、さらにはDGで1つ下の基礎点になっていたりする時があるため、その言い切りにはとても違和感があります。「決まった」かどうか決めるのは技術審判なので。たとえば4回転トゥループがきれいに決まって着氷も流れて完璧だ!……と思っても、URだと基礎点10.30がx0.7の得点に減らされ、DGだと3回転トゥループの4.10点になってしまう。というわけで、この差はとても大きいのです。

 ですから、実況がどう言おうと惑わされずに、「ジャンプは着氷時に選手の足下に集中して見てみる」ことをお薦めします。とはいえ、「これは回りきったきれいなジャンプだったなぁ」と思っても、あまり得点が伸びず、後で採点表を見るとしっかりURの「<」がついている場合もあって、なかなか素人目には難しい部分ではあります。

 同じようにスピンとステップに関しても技術審判団がレベル判定を行います。具体的なレベルはレベルBから始まりレベル1,2,3,4と上がっていって最高が4という5ランク評価。レベルが上がれば基礎点が上がります。レベルアップのために注意する目安はそれぞれ細かく指標があり、スピンでは入り方やエッジ換え、脚換え、回転速度、姿勢換えなど。ステップでは細かいターンとステップが判定ポイントとなります。
(◆その他、テクニカルパネルが見るものは、転倒1回ごとの1点減点。演技の制限時間違反の1点減点などの減点。また踏み切り時のエッジのチェックもあり、違反があると「e」マークがついてきます。)

 こうしてテクニカルの認定を経ると、各要素の基礎点が決まってTESの基盤となります。でもこれだけでは終わらないのが今の採点法! そこが難しいところです。