ノルウェーのノーベル賞委員会は12日、今年のノーベル平和賞を、地球温暖化問題に取り組んでいるアル・ゴア前米副大統領(59)と、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)に授与すると発表した。ゴア氏の平和賞受賞が、2008年の米大統領選にどう影響するか注目されている。(gooニュース編集部)

同委員会はゴア氏とIPCCについて、「人為的な気候変動についてより多くの知見を集積・分析するための努力と、そうした人為的な気候変動を是正するための措置の基礎を構築するための努力に」と授賞理由を説明した。米国人が平和賞を受賞するのは2002年のジミー・カーター元米大統領以来。賞金はゴア氏とIPCCとで計1000万クローナ(約1億8000万円)。授賞式は12月10日、ノルウェー・オスロで開かれる。 ゴア氏は早くから、平和賞の有力候補とみなされていた。また温暖化対策に取り組むほかの活動家や、IPCCとの共同受賞も可能性として指摘されていた。

ノーベル賞委員会は、「広範な気候変動は、多くの人類の生活状態を変更させ、脅かす恐れがある。大規模な人口移動を引き起こし、地球資源をめぐる競争を激化させる恐れもある。こうした変化は、世界でも特に弱い立場にある国々に、より大きな負担を強いることになる。国内部あるいは国同士の、激しい対立や戦争の危険も拡大する」と授賞理由を説明。地球温暖化がまさに地球平和への脅威となり得ると指摘した。

IPCCについては、「過去20年にわたり発表してきた科学報告を通じて、IPCCは人間活動と地球温暖化の関連について、情報に基づいた幅広い世論を作り出してきた。100カ国以上から参加する何千人もの科学者や政府当局者の協力によって、温暖化の規模についてより確かな確信を得られるようになった。1980年代には温暖化というのは単に興味深い仮説に過ぎなかったものが、1990年代には温暖化を立証するより確かな証拠を得られるのようになった。ここ数年では、(人間活動と温暖化の)関係性はより明らかになり、もたらす影響もさらに歴然としてきた」とその活動を評価。

ゴア氏については、「アル・ゴア氏は長年にわたり、世界有数の環境保護に熱心な政治家として活動してきた。世界は気候変動の危機に直面していると、早い段階で気づき、この問題に強い意志をもって取り組んできた。ゴア氏の政治活動や講演、映画や著作は、気候変動への取り組みを大いに支えてきた。ゴア氏の活動のおかげで、私たちが何をしなくてはならないのか、世界中に理解を広まった。理解を広めるため、一個人として最大の貢献をした人物だ」と称えた。

○ IPCCとゴア氏の活動 米政治への影響は?

IPCCは1988年、気候変動の研究のために国連機関として設立。国連の気候変動枠組み条約を実施するための科学的知見評価などを担当しており、自然科学分野の科学者数千人が参加。今年発表した第4次評価報告書では、気候システムに温暖化が起きていると断定するとともに、温暖化の原因は人為起源による温室効果ガスの増加だとほぼ断定。それまでの「人為的な可能性が高い」とする表現から大きく踏み込んだとして注目された。

ゴア前米副大統領は上院議員時代に、環境破壊に警鐘を鳴らす著書「Earth in the Balance」 (邦題「地球の掟」)を執筆。1992年に副大統領候補となる直前に発表された同書は、ベストセラーとなる。同年秋から2001年1月まで、クリントン政権の副大統領を務める。1997年12月に京都で開かれた地球温暖化防止京都会議(第3回気候変動枠組条約締約国会議、COP3)に出席し、京都議定書の採択を働きかけるなど、早くから地球温暖化問題への取り組みを呼びかけてきた。

2000年の米大統領選では、全国的な得票数では勝ったものの、フロリダ州の再集計の是非をめぐる司法判断に破れ、大統領に選ばれるに必要な選挙人数を獲得したジョージ・W・ブッシュ・テキサス州知事(当時)に敗北した。

副大統領としての任期満了後は、複数大学の客員教授やアップル社など複数企業の役員を務める傍ら、地球温暖化問題についての講演活動を精力的に展開。これをもとに2006年に著書「不都合な真実」を発表。同年公開の同名映画「不都合な真実」は今年2月、アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞した。さらに5月には、ブッシュ政権を徹底批判した新著「The Assault on Reason(理性への攻撃)」を発表。9月には、温暖化問題の国連ハイレベル会合でも演説し、「私たちは人類の文明そのものを脅かす、惑星レベルの危機に直面している」と警告。出席した各国首脳に「今こそ行動しなくてはならない」と呼びかけた。

ゴア氏が2008年の大統領選に出馬するかどうかについては、複数報道によると多くの消息筋やゴア氏側近は「出馬しない」と発言している。しかし本人はまだ100%否定していないという見方もあり、出馬を求める市民団体が10日にニューヨーク・タイムズ紙に全面広告を掲げて出馬要請したり、署名を集めたりという支援者の活動も続いている。一部の州では予備選参加表明の締め切りが今月末に迫っているだけに、今回の受賞がゴア氏の判断にどう影響するか注目される。

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