英BBCなどによると、12月30日早朝に執行されたイラクのサダム・フセイン元大統領に対する絞首刑について、処刑室で携帯電話を使って隠し撮りされた映像が公表され、立会人らが刑執行の直前まで元大統領に罵声を浴びせていたことが明らかになった。インターネットなどに流出した映像を、カタールの衛星テレビ局アルジャジーラが放送した。イスラム教スンニ派信者だった元大統領をシーア派政権が侮蔑した証拠だと、スンニ派から激しい反発が起きると同時に、死刑制度に反対する欧州諸国を中心に国際的非難が高まっている。イラク政府は、事実関係の調査に着手すると発表した。(gooニュース)

複数報道によると、サダム・フセイン元大統領に対して絞首刑が執行される現場の映像は、絞首台の下から見上げる形で、携帯電話に付属のカメラで撮影されたもの。室内の人々は、元大統領の指示で処刑されたシーア派指導者ムハンマド・バキル・アル・サドル師の名前と、その息子ムクタダ・アル・サドル師の名前を挙げて、元大統領を罵倒。元大統領がそれに言い返している。ムクタダ・アル・サドル師は民兵組織マフディ軍を組織し、スンニ派と激しく対立している。

インターネットに流出した映像には、絞首台の仕掛け床が落ちて元大統領が死亡する瞬間とその後の様子も含まれているが、アルジャジーラや英BBC、米CNNなどが放送した映像における元大統領と、処刑室の立会人や執行人らのやりとりは以下の通り——。

元大統領「ああ、神よ」
室内の声「神の祝福がムハンマドとムハンマドの家にありますように」
室内の声「神がすみやかに現れ、神の敵に急ぎ呪いを下されますように」
室内の声「ムクタダ! ムクタダ! ムクタダ!」
元大統領「(嘲る口調で)ムクタダか。これがお前たちの男らしい勇気だというのか」
室内の声「ムハンマド・バキル・アル・サドルよ永遠に」
室内の声「地獄に落ちろ」
元大統領「これがアラブの勇気だというのか」
室内の声(撮影を制止しながら)「やめてくれ。この人は処刑されようとしているんだ。頼むからやめてくれ」
元大統領「アッラーは唯一の神であり、ムハンマドはアッラーの使徒であると証言します。アッラーは唯一の神であり、ムハンマドは……」
(この時点で、元大統領が立っていた絞首台の仕掛け床が落ちた模様)
室内の声「独裁者は死んだ! のろわれろ!」

このやりとりが交わされた携帯電話映像に先立ち、イラク政府は死刑執行当日、処刑室の音声なし映像を公開。これは絞首台の上から公式にビデオ撮影されたもので、サダム・フセイン元大統領の首にロープが巻かれた時点で途切れていた。一方で、非公式に流出した上記やりとりの映像は、その後の出来事を携帯電話で撮影したもの。

BBCなどによると、隠し撮り映像の公開を受けて、イタリアや英国など複数の欧州政府高官は、刑執行の手順を非難。元大統領が埋葬されたティクリート・アウジャなどでは、シーア派主流の現政府がスンニ派の元大統領を宗教的な対立感情から辱めたものと反発し、報復を誓う抗議行動が続発している。

報道によるとイラク政府は2日、刑執行の手順が適正だったか検討し、また処刑室にいた14人の誰が携帯電話で撮影したのかを調べる調査委員会を立ち上げると発表した。


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